45.刹那とのデート
「いいよ!」
と元気よく返答をくれる刹那。
ちなみになんで12日かというと刹那の誕生日が8月12日だからだ。誕生日のお祝いとデートを両方やろう!
というなんとも安直な考えである。
刹那とはこれまでも誕生日を互いに祝ってきた。だから、俺の考えは刹那にはバレバレである。
「それじゃあ、どこか行きたいところとかある?」
「私は、隣町の水族館に行きたいかも、永遠は何か行きたいところとかあるの?」
「俺は別に刹那と一緒に行けるところならどこでも楽しいぞ」
と返答をする俺。
「それは、私もそうだけど、せっかく2人で決めているんだから私と永遠が2人とも行って楽しめるところにしようよ」
刹那が若干不機嫌なのか頬を膨らませている。
正直なところ、今までそういった経験もないし、どこか特別にあそこに行きたいなということを考えたことがなかったので、自分には行きたいところがないので刹那に合わせようと思ってた。それに刹那の誕生日でもあるので刹那が行きたいところを大事にしたかった。
てか、今思い返すとデートに誘っておきながら肝心の自分がノープランだったということに今更気づく俺なのであった。
「そうだよな、なんかごめん。刹那の行きたいところを中心にして行きたいなって思ってた」
言えない、行きたいところが思いつかないから全投げしようとしてましたなんて。
「ふふ、ありがとう永遠。だけど私の誕生日のことを意識してくれているのはわかるけど、それ以前に私達2人のデートだよ。2人で楽しめるものにしよう!・・・・
・・・・・だから、永遠もね、行きたいところがないからってそういうのはダメだよ」
「!?」
やばい、ばれてるー!
刹那の最後に言葉で一気に俺の心境は焦り始めた。背中には冷や汗が流れている気がする。
刹那が笑顔をこちらに向けているのだが、その笑顔がなんか怖いよ。なんか黒いものが周りを覆っているように見えるんだけど。
俺の体が危険信号を発しているので、
「すみませんでした。刹那に全投げしようとしておりました」
と素直に頭を下げる。
「はぁ、別にそこまで気にしてないから大丈夫。それよりもはやく決めようよ」
と言ってなんとか許しをもらい、お互いに行きたいところを考えてプランを立てた。
とはいえ、若干まだ刹那は怒っているのか少し当たりがきつかったです。
でもよくよく考えたら刹那が自分の行きたいところだけを行って楽しめるかと言われたらそりゃあ楽しめるわけがないし俺に対して申し訳なくなるだろう。俺としたことがデートを誘うのに舞い上がってそういった配慮が全く足りていなかった。
今度はちゃんと刹那のことを考えてプランを立てようと反省した俺であった。
ただ今午前9時23分、今日は待ちに待った刹那とのデート日である。
そして、俺はというと駅に一人で佇みながらスマホを見ている。隣に刹那はいない。
なんでかというと、これは刹那の案なのだが、
『駅に集合ということにして、永遠には申し訳ないんだけど先に行っててくれる?私も後から行くから』
と今朝言われてしまい、先日の刹那を怒らせたばかりの俺は素直に言うことを聞くのが良いと判断し刹那の案に賛同することにした。
だからこうして俺は一人先に駅に着き、刹那を待っているのだが、さっきからソワソワして気持ちが落ち着かない。
これが刹那が彼女になって初めてのデートになるのだと意識すると緊張と恥ずかしさ、今日がどんな日になるのだろうと楽しみであり、逆に不安にもなったりと、始まる前からドキドキである。
頭の中でプランを何度も流す。自分でも何があるのかしっかりと調べ考え直した。
よし、大丈夫だ。俺も刹那も楽しむことができるだろう。
ちなみに、自分一人では不安だったので、実は昨日晴生に電話で相談にのってもらった。
『なんで、彼女いない俺が彼女持ちのデートの相談なんかしなきゃならんのだ!』
とボロクソに言われたが、俺の刹那との日常話を話すことと、晴生の言うことを1つ聞くということを条件に相談にのってもらった。
普通に考えてもかなり不平等な条件には間違いなかったが、刹那と恋人になって初めてのデートを俺にとっても刹那にとってもいいものとするためと思えば全然問題ないだろう。
晴生自身には彼女はいたことがないが、多くの恋愛相談を経験してきているので、相談にのって損はない。
いくつかアドバイスももらえたしな。それをいくつか実践していこうと思う。
とまぁ、そんなことを考えていると、
視界の隅に刹那がやってきたのが見えたので、スマホをしまい刹那の方に向かう。
駅前は人混みが多くまだ俺のことを探しているのかキョロキョロと辺りを見回している。
かく言う俺も人混みの中から刹那の顔がチラリと見えているだけにすぎない。
そんな時、刹那が誰かとぶつかっていた。お互い軽く当たっただけのようだが、何か話し掛けられているようだ。
ぶつかった人は男性なのだが、なんか刹那に対して一方的に話し掛けているように見え、それを刹那は俯きながら迷惑がっているように見える。
そして、見知らぬ男性が刹那に手を伸ばし始めたのを見て俺は人混みを避けて走り出した。
周りの人には申し訳ないが少々強引に押し入らせてもらう。
そして手を伸ばして叫ぶ、
「刹那!」
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デート編と言っておきながらなかなか始まらないスタイルで申し訳ない・・・・




