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41.テスト後の

 期末テストは無事終わった。

手応えとしては理系科目は上手くいったが、文系はなんともいえない感じだった。

午前中でテストが終わり、所持品を整理していると、


「おつかれー」

と晴生が荷物を早くもまとめてやって来た。

「おつかれ」

と返しておく。


「んで?今回はどうよ?」

「別にいつも通り」

「ふーん、理系科目はできたと」

「まっ、そんなところだろ」

「なんで、理系じゃなくて文系に来たんだよ?」

とニヤニヤしながら晴生が聞いてくる。まるで答えは知ってるぞとでも言わんばかりの顔で。


「それは、・・・」

「あぁすまん、愚問だったな。刹那と一緒になりたかったもんな」

とニヤニヤしている。


「はっ!そんなんじゃないし!」

と慌てて否定するのだが、

「まあまあ、そう照れるな、照れるな」

と聞く耳を持たない晴生。


一応、俺が文系を選んだのは刹那と一緒にいたかった・・・のではなく、

文系科目の方が好きだったからだ。決して刹那が目的だったわけじゃない・・・決して・・・。


とそんなことを考えていると、


「おーい、永遠!早く昼ご飯食べようよ」

「というわけで、私も行くからよろしく」

と刹那と愛華が側に来ていた。


「あっ、あぁ。すぐ準備する」

「じゃあ、俺も行くわ。どうせなら午後は部活あるし部室で食べないか?」

と提案する晴生に皆賛成し、部室に移動した。


 部室に着き、昼ご飯を食べながら、テストの出来を報告し合う俺達。

「私は、いつもどおりよくわからんかった!」

と自慢げに言ってくる愛華。


「愛華はわからないんじゃなくて、勉強をやってないだけでしょ」

と突っ込む刹那。

「まぁ、大丈夫大丈夫。赤点にはならないギリギリを狙ったから。補習さえ食らわなきゃ全然OK!」

と「ははっ」と笑う愛華に対して、


「勉強やってないのに、補習は回避するスキルはムカつくな。俺なんか勉強してても順位は普通なんだが」

と晴生が愚痴をこぼす。


「それにしててもあんたらはいいよねぇ。刹那は理系の最初の理解には苦戦するけど最終的には理解しちゃって。

全教科そつなくこなすし、永遠も理系科目はバッチリで文系科目も苦手と言いながらそこそこできるし。

どうせ、今回のテストも出来がよかったんでしょぉねぇ?」

とジト目で見てくる愛華。


そんなに言うなら、アイドルを追っかけるのを少し自重して勉強をやればいいものを。と言いそうになったが、

そんなことを言った暁には笑顔で絞め殺される未来が見えるのでやめておく。


「まぁ、今回もそこそこ出来たかな。いつも永遠が理系科目は私が理解できるまで丁寧に教えてくれるからね。ありがとう、永遠」


「まぁ、そうだね。俺も苦手な英語や古典を教えてもらってるし、こちらこそありがとうな。刹那」

と2人で見つめ合いながら、クスッと笑う。


「はいはい、イチャつくのはよそでお願いね~」

と愛華が呆れたように突っ込む。


「てか、お前ら学校が終わった後でも一緒に勉強してるんだな。どっちの家でやってるんだ?」

と晴生に聞かれてしまう。


しまった!

背中にヒヤリと汗が流れる。

この2人にもまだ同居のことだけは伝えていない。別に信頼していないわけじゃないのだが。


でもいきなり、2人の前で同棲してますなんて言ってみろ。冷めた目で軽蔑してくるに違いない。

目に浮かぶぞ。お前ら2人がゴミを見ているかのような目で俺を見る顔が。


かといって、刹那の家って言うとなんか恥ずかしいし、俺の家はそもそもないし・・・

と何を言おうか考えていると、隣で刹那が、


「私の家だよ」

となんともないように答えた。

「てっ、おい刹那!なんで言っちゃうんだよ」

と慌てていると、


「永遠の家が近いから、永遠は私の家で勉強してから帰ってるの」

と補足する刹那。さりげなく俺と目を合わせてくる。その目線は「私に任せて」と自信に満ちた瞳だった。


「なんなのよこいつら、勉強とイチャイチャを両立してやがって・・・」

とガクシっと肩を落とす愛華。

「永遠のこのやろうめぇ、女の子の家を行き来していただとぉ!本当になんもまだ悪いことはしてないよなぁ・・実は脅してるんじゃ・・・」


と晴生がニコニコしながら、俺の肩をバンバン叩いてくる。

あの、痛いんですけど、しかも顔のニコニコがなんか怖い!


「そんなことするわけないだろ!刹那の家にはかなり行ってるけど、弁当箱を洗ったり、勉強するだけだって!」

と俺は弁解する。


「そうだよ、晴生くん。永遠はそんなこと絶対にしないから大丈夫だよ」

と、カバーしてくれる刹那。助かるぞ刹那。

しかし、そう安堵したのも束の間、


「愛華もほら!別に私達、両立できてたわけじゃないから、永遠ともっと近くにいたいのを我慢して、寂しかったから。だからね、永遠にねテストが終わったら1個だけなんでもお願いを聞いてもらえるようにしたんだぁ!」

と子供みたいに嬉しそうにしながらも少し顔を赤くして暴露しちゃう刹那。


俺はそんな幼い笑顔もかわいいと思いながらも、

「なんで言っちゃうの・・・・」

と気が重たくなるのだった。

今回も読んでいただきありがとうございます。

新たにブックマーク登録ありがとうございます!

面白い?続きが気になるかも?と思った人はブックマークや評価も是非。

今後もよろしくお願いします!


次は刹那のお願いかな・・・

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