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4.残った疑問と・・・やってしまった~

 あの後、検査をし、体の何処にも異常は無く、すぐに家に帰れることになった。

 

 検査後、運転手もやってきて、警察も交え事故の状況説明が行われた。


刹那の親は来られなかったが、電話を通じて親にも謝罪され、賠償を請求してもらっても構わない。

っと言っていたが、

俺も刹那も心身共に外傷は無く、荷物も今日は特にこれといったものは持ってなかったので、

親と話し合い、着ていた制服などの衣類のみを請求することにした。


 どうやら、事故から1日経っており、俺は外傷が見られなかったが今朝まで寝ていたようで、刹那がずっとそばにいてくれたようだ。

そうして、昼過ぎに検査や説明等を済ませ、ただ今病院から家に帰る最中である。

今日も学校は半日で、学校にも連絡したら提出書類も明日渡すそうで、今日はゆっくり休めと言われた。


 そして、ただ今帰宅途中なのだが、

「・・・ねぇ・・本当に大丈夫なの?」

「えっ!・・・うん・・・大丈夫・・・」

「・・・そう・・・」


気まずい、さっきからずっとこんな感じだ。

それもそのはず、病院で俺は刹那を抱きしめてしまったのだ。


その時俺は刹那が生きていることに喜んでいたが、刹那当人は事故当時の記憶は一切ないみたいで、あの時の刹那の悲惨な怪我具合のことも覚えていないらしい。


なので、特に大した怪我もしてないのに、いきなり抱きしめられて相当困惑したに違いない。

その時を思い出すだけでめちゃくそ恥ずかしい・・・うぅ・・。


嫌われただろうか?嫌われたにちがいない。

刹那はその時のことを『!・・気にしてない!・・大丈夫・・』と言ってはいたが、

顔を赤くして背かれてしまった。

どんなに良くても変人には見られてしまっただろう。  

最悪だ。


今も刹那の顔を恥ずかしすぎて見ることはできず、

いつもだったら平気なのに、話しかけることもできない。


なぜか刹那も俺とは反対方向を向いて何かぶつくさ言っている。

髪の合間から見える耳が赤い気がするのが疑問ではあるが。

まぁ、今はこのまま黙って帰ることにしよう。

俺がしゃべれないし!


 しかし、今回の事故には多くの謎があった。

最大の謎は2人とも一切怪我をしなかったことだ。


説明の時に事故現場の写真を見ることができたが、大量の血やタイヤのブレーキ痕が鮮明に残っていた。警察も医師もこの状況で無傷なのはありえないと言っていた。


しかも、運転手によると、当初二人とも怪我をしており、刹那は頭部と腹部から出血していた。

と証言しており、ここまでは意識があった俺の記憶と一致する。


だが、運転手がやってきた救急隊員を案内しに現場を離れ、

戻ってきた時には、2人とも無傷の状態になっていたらしいのだ。

外傷は見られなかったが、脳等の異常がないか検査するために病院に搬送されたが、異常なし。


刹那は搬送されている最中には既に目を覚まし、

検査後、家の事情を説明し病院で俺の看病兼自身の経過観察のために


病院で1日基本寝ている俺の隣でずっと手を握っていて、泣いていたらしい。

(これはニヤニヤした看護師から聞いたが)


とりあえずは運転手が事故のショックで大げさに見えてしまったとし、

俺が1日、目を覚まさなかったのも事故の精神的ショックが原因と一応結論付けた。


しかし、現場の状況から、2人とも致命的な怪我をしたのは確実で、

運転手が現場を離れた僅かな間に何かが起こり、完治することになったのだろう?

だが、短時間で完全治癒は現代医療でも不可能なのは確実である。


謎が残りまくりだが、これ以上考えてもわからないため思考をやめる。。


隣を見る。

未だに何かぶつくさ言っているようだが。


刹那に泣かせるほど心配を掛けてしまった。

不謹慎なことだが、看護師から刹那の様子を教えてもらったとき嬉しいと思ってしまった。

だけど、同時に胸がズキりと痛む。

なんでもっと早く俺は起きられなかったのかと。

そもそも、俺があの時袋に躓くことさえなければこんなことにもならなかったというのに。


でも、感謝しなければならない。

意識が落ちる前に願ったことが叶ったのだから。

ありがとう。刹那生きててくれて。



 この事故が俺達の運命を変えたことになっているとは、この時の俺達は知る由も無かった。

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