34.今までよりも
今日はゴールデンウィークを終えて、久々の学校である。
ここ最近のいつも通り刹那と手を繋ぎながら登校し、登校する生徒の姿が見えたら、手を離して学校に向かう。
はずだった。
もう、周囲には生徒がちらほらといるのにも関わらず、手を離そうとしない刹那。
俺から離そうとするのだが、刹那に強く掴まれて振りほどけない。
周囲の目線が痛い。
「あの、刹那?そろそろ離さない?」
「・・・」
刹那は返答をしない。その代わり握られている手がさらに強く握られる。
ちょっと力強すぎません?
「ここらはもう学校の近くだし、生徒にも見られて恥ずかしくないか?」
「・・・」
さらにぎゅっとしてくる。やばい、手が死ぬ。
「痛い、痛い」
「あっ、ごめん・・・」
握られる強さが先程に戻る。
「もう周りなんか気にしなくてもよくない?」
と少し寂しそうな顔で刹那が言ってくる。なぜか吹っ切れたような物言いだが顔はなんだかんだで赤く染まっている。恥ずかしいがそれ以上に手をつなぎたい。そういうことなのだろうか。
「流石に恥ずかしくないか?それに、刹那の顔真っ赤で刹那も恥ずかしいんじゃないか」
「そんなのわかってるよ・・・でも」
「でも?」
「やっと好きって言えたから、なかなか想いを伝えられなくて、我慢してきて、やっと恋人になれた。
私はこうやってもっと永遠と一緒に過ごしたい・・・なぁ」
と頬を赤く染めながら、目をうるうるさせて、寂しそうに甘えた声で言う。
「・・・」
「だめ・・かな?」
そんな風に美少女に甘えられて鼓動がさらに加速する。マジで内蔵飛び出るんですけど。
そんなことを言わせる俺は最低だな。俺もちゃんと覚悟を決めないと。
「ありがとう。一緒に過ごす時間をそんなにも大切に想ってくれて、すごくうれしい。
俺ももっとこの時間を大切にする」
そう言い、握っている刹那の手を優しくぎゅっと握る。
いきなりでびっくりしたのか少し肩をびくっとさせた後、握り返してくれる。
「ふふっ、これで私達のことばれちゃうね」
「はは、こんなかわいい女の子と一緒にいるんだもんな」
「へっ!かっ、かわいい!?」
落ち着かずあたふたする刹那。そうやって、照れる刹那もかわいい。
「いきなり急すぎるよ~」
と、プイっと顔を背ける刹那なのだが、めちゃくちゃ嬉しそうな顔をしている。
周りをチラッと見るがやはり周囲の目線が痛い。特に男子の目線が鋭すぎてグサグサ刺さる。
これは俺もちゃんと覚悟しなければ。
だが、そんな視線も、刹那と登校していると何か気にならなくなり、この時間を満喫する。
そして、今学校に着き、教室に入ったのだが、教室中から視線が注目する。
俺達が席に着くと、クラスの皆が刹那のもとに駆け寄り、質問攻めに遭っていた。
俺には来ないのな。わかってたことではあるがなんだか悲しい。
俺はそんな様子を見ながらも、席に座ると、男女2人がこちらにやってきた。
「いったい、どういうことかな?」
と、俺の肩をがっしり掴んで質問、尋問しようとする男子。
「やっと、付き合ったの、あんた達」
と呆れた顔で言う女子。
「黙秘します」
と俺は逃げるためにトイレに行こうと立ち上がろうとする。
しかし、男子にがっちりと抑えられ
「んで?」
とニヤニヤする。離れようとあがいているのだが向こうの力が強いのか自分が弱すぎるのかは知らないがびくともしない。
「白状します」
そう言うしかなかった。
こうして、俺達は同居の話を除き、付き合うことになった。という話をするのであった。
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次回から新たに2人追加します。恋人どうしとなった永遠と刹那の学校生活はいかに。




