28.抱き枕にされて
まずい・・・・。
えっ、何がまずいんだって?
やばいのだ。少しでも気を抜けば一瞬でやられてしまうに違いない。
そう、俺は今刹那に抱き締められている、というより、抱き枕にされているようだ。
一番問題なのは俺の顔が刹那の白い胸に埋まってしまっているのだ。
刹那が呼吸するとともに胸が膨らんだり、へこんだりしてして2つのやわらかいものが顔に押しつけられる。
動かそうとしても頭は刹那の腕でがっちり抑えられ、足も組まれていてほんとに動けない。
俺の耳には甘い寝息が聞こえるだけでなく刹那の息もかかり、少しくすぐったい。
起こさなければならないのはわかっているが、起こすのはそれで気まずい。
まぁそんなのは言い訳でもう少しこの状態が続いて欲しい。
しかし、そんなことが続いたら理性がもたない。どうしようかと迷っていると、
「永遠~・・・好き~・・・」
「!?」
うっとりとした甘い声でいきなりすぎる告白に頭がショートしそうになる。
刹那が俺のことを・・・・好・・・き・・・!?
「すーー」
「なんだ。寝言か」
と安心したががっかりしている自分もいた。さっきから鼓動が音を立てて止まらない。
結局、俺は起こさないことにして、刹那の温もりを感じることにした。刹那は温かった。
しばらくしていると、
「ふわあぁん・・」
どうやら刹那が起きたようだ。
「えっ・・・」
刹那が驚きでフリーズする。
やっとこの状況を認識してくれたらしい。
ほんとはもう少しこうしていたいが限界がちかいため覚悟して俺は固まっている刹那に声をかける。
「刹那、起きた?そろそろ離してもらっていいかな?」
「へっ!永遠!起きてたの!」
刹那は慌てて俺から離れて距離をとる。
「ほんとにすまん!俺もさっき起きたばかりで何がなんだかわからなかったんだ!」
すみません、嘘です。ずっと起きてました。
刹那は自分の胸の前で腕を交差させて体をぷるぷる震わせ、顔をトマトのように真っ赤にしながら、
「永遠の・・・・えっちーーー!」
と涙まで流し始めてしまった。
ぐはっ。俺は心臓をナイフで貫かれたような感じになった。なにもしていないから、理不尽なんだが!
終わった。刹那からのその言葉は俺に深く刺さって抜けない。嫌われた。もうダメだ。
「・・・すみませんでした・・」
ということしか言えなかった。
刹那はぷいっと顔を逸らして俺と向き合わない体勢をとった。
そのまま、互いに話さず動けずに固まっていたら、まだ夕暮れと呼ぶには早いが日が傾き始めていた。
流石にずっとこのままはダメなので、意を決し刹那に話し掛ける。
「せっ刹那、怒ってるなか悪いんだけどそろそろ帰らないか?」
「・・・」
刹那は何も答えてくれない。
俺はどうしたらいいかわからなくなり下を向いて俯くことしかできなかった。
すると突然ザアっと近くで音がしてこちらに近づく音がする。
そして、俺の右腕に何かがもたれかかってきた。
俺は顔を上げて隣を見ると俺の右腕に体を預けた刹那が顔を真っ赤に染めながら恥ずかしそうにこっちを見ていた。
「・・・」
「・・・」
お互い顔を見合ったまま何も話さない。なにより刹那の顔がオレンジ色の夕陽に照らされて、それが美しくて、かわいくて顔を動かせない。
「さっきは、ごめんね」
刹那が口を開く。
「いや、こっちのほうがすまない。刹那に嫌な思いをさせて」
「ううん、永遠が悪くないのはわかってる。なのにひどいこと言ってごめん」
「とりあえずよかった。もう一生嫌われたのかと思った」
「ううん!そんなことない!永遠を嫌いになることなんかできないよ。むしろ私が幻滅されちゃったかなって思ってた」
刹那は下を向いて俯いて弱々しく言う。
「・・・刹那のことを幻滅したりなんかしない」
俺の言葉を聞いた刹那は安心したのか笑みをこぼす。
なんだろう、さっきから鼓動が落ち着かない。
今のその恥ずかしそうに赤く染めながらも嬉しそうにする笑みも、
俯いて気弱になっている顔も、恥ずかしそうにする様子も。刹那への愛おしさが溢れてとまらない。
「でさ、そのぉ。どうだったの?」
いきなりすぎる刹那からの問いに俺はただ
「はい?」
としか返せなかった。
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