2.絶望
今回の話は血などの描写がありますので、苦手な方はご控えください。
「・・・おい!お前!大丈夫か!」
声が聞こえ目を覚ます。
「しっかりしろ!救急車呼んだからなもう少しのしんぼうだ!」
救急車?そっか、確かトラックに轢かれて……。
瞬間、全身を激しく鋭い痛みが襲ってきた。
「ああっーーー!」
全身の色々な所が骨折し、内臓も損傷しているのだろうか。
そんなことを考える余裕もない、激痛で意識が吹っ飛びそうだ。
なんとか意識を保たせようとしばらく痛みと闘い吹き飛んでいく意識を繋ぎ止める……。
……刹那!そうだ、刹那は!
痛みに耐えながら周囲を見渡す。
どうやら自分の首と背中は大丈夫なようだ。
見渡すのだが、激痛のためなのか、ぼんやりとしか視界が見えない。
その最中、右手に何か生温かい液体が触れた。
なんだ?と思い、それを、視界に入れる。
真っ赤で赤黒い液体だった。
血だ!でも、いったい誰の?
自分を確認するが痛みはあれど、自分には血は出てないのがわかった。
嫌な予感がした。
あってほしくない光景を想像しながらも、血が流れている方へ目を向かわせる。
そして、次の瞬間今までぼやけていた視界が急に鮮明になった。
そしてそこには俺にとって最悪の絶望が広がっていた。
刹那だ!見ると近くに運転手もいた。
しかし、運転手が呼びかけているが、反応する気配はない。
それもそのはずだ、刹那は飛ばされた時に電柱にでもぶつけたのだろうか。
頭から血を流しており、腹部からも血を大量に流している。
一目でわかる刹那の死へのカウントダウンが刻まれているようで全身が震える。
いてもたってもいられず、刹那のもとへ這いつくばって近寄ろうと体を動かす。
さらなる痛みが襲い、悶えるも必死に体を動かす。
そして、俺の右手が刹那の左手に当たり、握る。
とても繊細で雑に触ったら壊れてしまいそうな手だったが、その白く美しい肌だったはずなのに、
赤く染まり、その手はとても冷たい。
「っ、刹那!」
なんとか声を絞り出す。すると、
「・・永・・遠?」
刹那が意識を取り戻した。しかし、その手はどんどん冷たくなっていく。
それは死を連想させるのに十分すぎた。
「刹那!」
必死に名前を呼ぶ。
声を出す度に体が痛むが気にしている場合じゃない。
「ねぇ・・っ・・・て」
「もういい、大丈夫!、だからしゃべるな」
何かを言おうとする刹那を遮る。
とにかく、出血を止めないと・・・・
でも・・・こんなのどうするんだよ。
何をしたらいいのかわからず、
ただ、刹那の手を握って俯くことしかできなかった。
「・・・永遠」
また、名前を呼ばれる。
「だから、しゃべるな・・・て」
喋るのをやめさせようと刹那の顔を見上げる。
しかし、刹那は怪我しているとは思えないほど、優しい笑顔で、
「……と、あ…………あり……が、とう……だい……す、きだよ………………」
刹那の目が閉じる。
そして、僅かに感じてた手の温もりも消える。
「刹那!・・・・・・刹那!」
「……」
喋らない、目も開けない刹那。
絶望した、好きな人がいなくなる恐怖、好きな人を守れなかった自分への無力感、怒り、後悔。
頬に何かが伝う。
やめろ、っやめろーー!。
俺達から、刹那を奪わないでくれ・・・・・
目の前が急に真っ暗になった。
絶望という無の空間が広がる。
それでも、願った、祈った。刹那を救いたい、救ってほしい。
俺がどんなに苦しんでもいい、どんな罰でも受ける。
だから……
その瞬間、白い眩い光が襲う。
次の瞬間、全身を先程とは比べものにならない痛みが襲う。
全身がバラバラにされ、ズタズタにされた。
死ぬはずなのに、死ななくて、尋常じゃない痛みが俺を襲う。
死すら生ぬるいと思うほどに。
「っ・・・」
声も出せない、息もできない。
俺は耐えきれず、一瞬で意識を失った。
はじめまして、こんにちは。読んでいただきありがとうございます。
昨日から投稿をし始めました。よろしくお願いします。
これからしばらくはこのくらいの内容量で毎日1話ずつ更新していきます。(目標)
文章になっているかどうか。
拙くはありますが、
この世界を作り上げていきたいと思います。
明日にはやっと平和な話が上がる予定です。