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13.一方で(その2)・・膝枕してみたり・・

 今日は土曜日、部活は部室の安全点検のため休みだ。

そんなものは部活の無い日曜日にしてくれればいいのにとも思うが、まあこれはこれで好都合だ。

今は昼ご飯を終えたところで、永遠はソファで昼寝をしている。


今日の私はものすごく気分がいい。

なぜかって?


昨日は永遠に頭を撫でられ、永遠と手を握れたのだ。少しは恥ずかしかったが、何より嬉しかった。

あまりにも嬉しすぎて、もうちょっとだけ、とおねだりしてしまった。

そんなわけで昨日の興奮がまだ収まらないのだ。


「すぅ・・・すぅ・・」

静寂な部屋に永遠の寝息が響く。気持ちよさそうな寝顔だ。


「あっ、そうだ」

私は永遠が起きないように近づくと永遠の顔をゆっくり持ち上げて、ソファに座り、私の膝の上にのせた。


何をしているかって?膝枕に決まってるでしょ。

起きてたら恥ずかしいけど、寝ている今ならそういうことしてもいいかなぁって。


永遠の頭を撫でる。

永遠の髪は女子ほどとまではいかないが、髪がさらさらしており、撫でているとこっちも気持ちいい。


昨日はありがとうね。

そんなことを想いながら永遠の顔を見つめる。


そういえば、昨日の持ち手の血は結局なんだったのだろうか。

いくら考えてもわかるはずのないことだが、考えが止まらない。


やっぱりなんか怪我をしてそれを隠したのかなぁ、でもそんな傷はないしなぁ。

永遠の手を見るがとくになんともない。


「考えすぎなのかな」


あの事故以来、永遠と離れるのがすごく怖いのだ。離れたら最後もう会えなくなる気がしてしまう。

そんなことはめったにないことだとわかってはいるがどうしても不安になってしまう。

できることならずっと近くにいたい。そうすれば不安はなくなるし、なにより永遠といれる時間がさらに増えるのはもっと嬉しい。


体が小刻みに震えだす。

「やばっ」

余計なことを考えすぎた。振り払おうとするが、なかなか振り払えない。

それどころかますます恐怖がより募っていく。


もう1人ではどうしようもならないその時だった。


私の手が何かに優しく握られた。

それは永遠の手だった。


まさか、起きちゃった?・・・・・・・しかし、永遠は寝たまんまだった。

「温かい・・」

永遠の温もりを感じる。

気づけば心も落ち着き、震えも止まっていた。


昨日もそして今もこうやって、優しく手を握ってくれる。

『ここにいるよ』と伝えてくれるかのように。まぁ今回は偶然だろうが。


永遠は本当に優しい。

気に掛けてないような素振りをしてても、ちゃんと見てくれていて、助けてくれる。


昔ほどの表立った明るさは今は隠されてしまったが、永遠の優しさは変わってないなぁ。


「ありがとう・・・・大好きだよ。永遠」

と寝ている永遠の耳に近づきささやく。聞こえるはずもないか、いや、聞こえてちゃまずいんだけどね。

顔が熱くなる。自分の心臓の音がバクバクいっているのがわかる。


永遠の温もりにドキドキしつつも、安心すると、落ち着いてきてなんだか眠たくなってきた。

思えば昨日はあまり寝られなかった。

「寝よう・・・」

そうして、私は永遠に膝枕をしたまま寝てしまったのであった。


 私が次に目を覚ますと、私はソファーの上に寝転んでおり、薄い毛布が掛けられてあったのを見て、

膝枕をしていたことが永遠にばれたと恥ずかしくて死にそうだったのは、ここだけの話。

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