10.夏山家
ちなみに、その後刹那を寝かしつけ、刹那の両親が帰ってくるまでの間、代わりに家事をやった。
大変だった。
しかも精度が刹那と比べて悪すぎる。
家のことは小学校から交流が深く、ある程度中学に入る前から知っていたので、困ることは無かったが、
この圧倒的な作業量を刹那が毎日していたと思うと、罪悪感が凄まじい。
そして、両親が帰ってくるとすぐに俺はすぐに人生初の土下座をした。
いきなりすぎて、両親も固まっているが、今までの謝罪、感謝。刹那、両親をたくさん傷つけたこと。
そして、こんな俺はこの家を出るべきだ。っと。
覚悟していた。しかし、刹那の両親は何も言わず、土下座している俺の体を起こして抱きしめ、
「ありがとう」
ただその一言だけだった。そこに俺への怒りはなかった。優しさで満ちあふれた一言だった。
そして、本日2度目の涙腺崩壊である。この家族は優しすぎである。
俺はひたすら「ごめんなさい」と謝罪を繰り返し続けて、お義母さんは「うん、うん」と抱きしめながら聞いてくれて、お義父さんは無言で頭を撫で続けてくれていた。
その後、俺の謝罪を連呼する声で起きてきた刹那が割入ってきて抱きしめられ、頭を撫でられ続けた。
流石にもう恥ずかしくてたまらなかったが、離してくれなかったので大人しくしていた。
まぁその後は2人とも顔真っ赤だったが。
その後は、刹那と協力して家事をするようにする等の様々なルールをつくり、学校についても登校し始めた。まぁ、欠席しすぎて、夏休みは補習だらけだったが。
こうして、俺は復帰を一応、果たした。
そして、去年の4月俺達が高校1年生の時に、両親は海外出張をし、帰って来るのは正月ぐらいだった。そこからは、刹那との同棲生活である。
まぁだいたいこんなものだ。つまりだ、俺は刹那のことが好きでいるが、
そんな資格はとうの昔に自分自身で剥奪しているのだ。俺には伝える資格はない。
あったとしても、刹那が俺のことを好きなわけがない。
不意に先の事故を思い出した。今でも鮮明に思い出せてしまう。
『・・永・遠・・・あり・・が・とう・・・・・だい・・す・きだ・・よ・・・・・・・・』
・・・・んなわけないか。
時間を見ると6時だった。
「夕飯つくるか」
そう呟き、キッチンへ向かった。
誤字報告ありがとうございます。修正しました。
今回で過去編は一旦終了です。次回からは永遠の不思議な力について迫っていきます。




