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第九十六話 岩波文庫にトライ

お読みくださり、ありがとうございます。

 ピアノのコンサートに行ってきた。

 演奏は、素晴らしかった。

 休憩時間に、CDを2枚買った。


 ラフマニロフが好きなので。

 ピアノソナタを買ってみた。

 

 CDの解説文を読んだら。

「ピアニストにとって、拷問のような曲」とあった。


 ゲーテの戯曲「ファウスト」の愛読者だったラフマニロフは。

 登場人物をイメージして、それぞれ作曲した。


 第一楽章は、主人公ファウスト。

 第二楽章は、主人公の恋人グレートヒェン。

 第三楽章は、悪魔メフィストフェレス。


 極度に技術的に困難とされる第三楽章。

 メフィストフェレスなら、納得だ。


 音楽で悪魔を表現しようとした結果。

 難易度も鬼レベルに上がったんだな……


 選ばれしピアニストのみが、立ち向かうことができる怪物。

 みたいな扱いになっちゃってる。


 しかし、こうなると。

 原作が気になる。


 悪魔と取引した主人公。

 恋人は、巻き添えでヒドい目に。

 主人公は、ギリ助かるんじゃないっけ……?


 未読だが、あらすじはそんなカンジだったような気がする。

 岩波文庫に入ってる。

 図書館で借りてこよう。


 岩波文庫のエンタメ小説は。

 ときどき、とんでもなく面白いのが混じってる。


「モンテ・クリスト伯」とか。

「クオ・ワディス」とか。


 今も読み継がれる話って。

 基本的に、面白いから残ってる。


 訳が、古めかしかったりするけど。

 逆に、それがいい味わいだったりもする。


 現代のエンタメ作家の新刊だと。

 図書館では、順番待ちだが。

 岩波文庫だと、待ち時間ゼロだ。


 最初は、民話集とか、短編集とか、薄い本とかを読んで。

 慣れてきたら、厚い本にトライ。


「スペイン民話集」には、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の元ネタが載っている。

 タイトルは、「聖女カタリーナ」


 聖女カタリーナは、根性悪で地獄に落ちた実母を助けようと。

 神に救いを求めたが……というのが、原話。

 

 娘のコネで、神様に引き上げてもらうあたりがリアルだ。

 コネがあっても、救われるかどうかは、本人次第。

 

 皮肉な結末なのに、ちょっとだけ救いがある。

「蜘蛛の糸」より、「聖女カタリーナ」の方が、心に残る。


「ファウスト」はどうだろう。

 面白いといいな。



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