第二十一話 確定申告……?
お読みくださり、ありがとうございます。
ついに、この時がやってきた。
失われたお金を取り戻すのだー!
持株会の配当金支払証明書と源泉徴収票を持って、いざいかん!
えーと、市役所へ…?
還付金もらった時に、市役所の人に配当金の手続きって、今後どうしたらいいのか聞いた。
2月頃に広報に案内が載るから、その時に手続きすれば良い。
税務署の手続きはしなくていいという回答だった。
え、いいの?
e-TAXやってみようかなって、思ってたんですが……
そのために、税務署からIDとか、パスワードとかもらったのに。
さよなら、e-TAX……
脳内に疑問符が渦巻いていたが、市役所に行けばすべて解決するはずだ。
広報に持ち物が載っていた。
配当金支払証明書、源泉徴収票、マイナンバー、運転免許証、印鑑、振込先のわかるもの。
よし、全部準備したぞ!
我に、還付金を与え給へ。
受付で、株の配当金と答えると、受付票をくれた。
会議室で、受付番号を呼ばれるまで、しばし待つ。
高齢者が多い。
それ以外は少数派だ。
高齢者の方々は、よくここまで自力で来れたなーと思うくらい、歩き方がおぼつかない。
「免許証は?」と職員に聞かれたおじいさんは。
「車の中にある」と明るく答えていた。
じいちゃん……
「取りに行けない」って。
「車の中にあるんだよね、家じゃなくて」と内心ツッコんだが。
冷静に考えれば、足腰の弱ったお年寄りにとって、駐車場までの道のりは果てしなく遠いのだ。
職員は、おじいさんに名前と生年月日を聞くことでカバーしていた。
待つこと三十分。
番号を呼ばれて、ブースで真剣な面持ちの職員と向き合う。
言われるままに、必要書類を一式差し出す。
職員がパソコンに入力を始めた。
やり方がわからないのか、分厚いマニュアルをひもとき始めた。
それでもわからないのか、先輩職員に聞きに行った。
で、最後に私に聞いた。
「二つの方法がありますが、どうしたらいいんでしょうか?」
こっちが知りたいわ!
と思いつつ、秘密兵器を差し出す。
会社作成の「配当金支払証明書の手続き方法について」だ。
税務処理方法について詳細に記されており、一読した税務署員が感心していた代物だ。
君も、読めばわかるだろう。
わかってくれ、頼む。
戦いが、終わった。
手元には、市民税・県民税の申告書と確定申告書の控が残された。
よく見たら、振込銀行の名前、住信SBIじゃなくて住申SBIになってるよ。
ちゃんと振込まれるんだろうか……




