第百七十八話 匠の技
お読みくださり、ありがとうございます。
期間限定の。
ラデュレのいちごのケーキを。
買ってしまった……
ラデュレのお菓子は。
二刀流。
見た目が最高で。
中身も美味だ。
お値段を見て。
尻尾を巻いて去った日々は。
数え切れぬ。
しかし。
今回ばかりは。
我慢ができなかった……
保冷バッグに入れて。
日本橋三越から。
自宅まで輸送した。
途中。
何度も。
バッグを傾けたり。
倒したりという失態を重ねた。
もうダメだ。
いちごのケーキを死なせてしまった。
箱を開けてみたら。
中身は無事だった。
買ったときと。
変わらぬ姿。
倒れないように。
厳重に固定してあった。
匠の技をもつ店員さんに。
救われた……
家族に内緒で。
こっそり食す。
お味は。
パーフェクトだった。
すまぬ。
これは「試食」だ。
今度買ってくるから。
三越の店員さんといえば。
湯呑み茶碗を買ったとき。
展示品と。
在庫品を見せて。
複数ある在庫を。
ガラステーブルに乗せ。
安定性を確かめて。
一番良いものを選んでくれた。
立て続けに。
湯呑み茶碗をクラッシュさせたことは。
黙っていよう……
お手入れの仕方を教わる。
今度のお茶碗は。
長いおつきあいになるといいな。
旅行中に。
デパ地下を徘徊すると。
お土産探しと。
ゴハンをどうしよう問題が。
一挙に解決する。
お弁当を買うもよし。
イートインを利用するもよし。
イートインは、老舗揃い。
ハズレがないので、助かる。
上階のレストラン街と比べると。
敷居が低くて。
おひとりさまでも、入りやすい。
ただし。
こじんまりしてるので。
座席数が、限られる。
入店時間を間違えると。
ひたすら待つことになる。
デパ地下は。
お腹が満たされた状態で行こう。
空腹だと。
理性が飛ぶ。
過去の経験から。
学んだことだ。
理性を保って。
巡回すると。
お試しセットとか。
切り落としとか。
お買い得商品が見つかる。
家庭用のお土産なら。
これで充分だ。
気がつくと。
二日続けて。
デパ地下にいた。
「当日中にお召し上がりください」という罠に。
まんまとハマった。
賞味期限の短いモノって。
なんであんなに旨いのか。
デパ地下は。
ダンションだ。




