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第一話です。

ケース0:ぼく(1/2)

ぼく「うわ!」


ガシャーンッ!グチャア・・・


バイト「ちょ!ぼくさん!なにしてんすか!」

ぼく「あ、ご、ごめん・・・」

バイト「7番卓さんっすよね!?なるはやっすよ!」

ぼく「ご、ごm」

バイト「謝んなくていいですから、早く作り直してください!・・・チッ、使えねえ」

ぼく「うん・・・。佐藤もごめん・・・」

佐藤「あ?ドンマイどんまいwwww」ガハハwww


ドタバタドタバタ!!


ぼく「お疲れさまでした・・・」

バイト「おつかれっす」

佐藤「おつカレーwwwカツカレーwww」ガッハッハww



バイト「ハァ・・・店長、ぼくさんってなんであんな使えないんすか?給料泥棒っすよ」

佐藤「ん?そうか?」

バイト「何年務めてんすか、あの人。おれ入った時からいますよね?使えなさすぎっしょ」

佐藤「いやぁ、まあバイト君は覚えがいいからねぇwww」ガハww




ぼく「・・・ただいま」

ねこ「にゃーん」

ぼく「おーよしよし」

ぼく「またやっちゃったよ・・・なんでぼくはこんなに無能なんだろう、給料泥棒だよね・・・」



 母が他界して7年が経つ。高校は中退、30までニートで引きこもりだったぼくは、結婚して実家に戻ってきた弟から逃げるようにこっちに引っ越した。もちろん母の遺産の取り分でだ。

 そこで出会ったのが今のバイト先のファミレスの店長、小中とクラスメイトだった佐藤だ。再会したときはぼくの顔を覚えていたことに驚いたが、まさか自分の店でぼくの面倒まで見てくれるとは思わなかった。

 今思うと佐藤がいなかったらいわく付き物件を一つ増やすだけだっただろう。



ぼく「クロ、ごはんだよ」

クロ「にゃーん」テチテチ

ぼく「はぁ・・・ぼくも猫に生まれてこれたらよかったのにな」

クロ「にゃん?」

ぼく「もっとうまくいくはずだったのにな・・・」



カタカタカタカタ・・・


~~~~~~~~~~~~~~~


[ニート卒業したンゴ]


1 名前:にーとまん

ニートどもwww今日もクズやってるか??www


2 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

またニートがスレ立てしてる


3 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

くそスレ定期


4 名前:ニートまんこ

お仕事終わりか?おつかれさん。わいには真似できんな


5 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

↑ここまでニート

↓ここからニート


6 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

はたらけ

~~~~~~~~~~~~~~~~



ぼく「ははっ、ニートを卒業してもなにも変わらない・・・ルーティーンに仕事が増えただけだ」


 おそらく日本一の掲示板サイト「3ちゃんねる」にくそスレ立てて反応を見るぐらいしか趣味のないぼくは前と何が変わったのかなんてわからないままだ。



クロ「みゃおん」

ぼく「ん?なんだこれ?封筒?え、電気代も払ってるし、保険料も払ってるぞ・・・払ってるよな・・・」


 クロが怪しげな封筒をくわえてきた。一人暮らしというかニートあるあるだがなぞの書類が届くと過剰に警戒する。おそるおそるぼくは封を切って中身を見てみる。


 ・・・請求書ではないみたいだ。




———————————————————



『日本ニート更生機関JNRO』



 ~~~~様


更生労働省長官:二糸 直三




 ~~~~様、この度あなたは私たちの政策「ニート更生プログラム」の

一人目の成功事例となりました。


 つきましてはあなたの生活を今後のプログラム要項の向上、実践例として

サンプルを提供していただきます。



 なお、この要請に法的な強制力はなく、あくまでもご本人のご希望・ご意志

を尊重いたします。





———————————————————





ぼく「ははっ、なんだこれ、手の込んだイタズラだなぁ」

ぼく「ニート更生プログラムてwサンプル?wwこのぼくにかwww」


 なぞの書類におびえていたぼくがますます馬鹿らしくなって、笑い転げる。皮肉なものだがこんなイタズラのおかげで久々に笑えた気がする。

 同封されていたもう一つの書類「サンプル提供」の日程に目を向ける。


ぼく「えーなになに、・・・ふーん、ただの健康診断かよwそれと・・・面接?」


 高校中退から職歴なしのぼくはもちろん面接なんてしたことがない。今のバイトも佐藤のコネで入ったし、面接エアプってやつだ。とたんにぼくは体が熱くなる。後悔や羞恥を感じるとおこるニート特有の発作みたいなやつだ。


ぼく「くそがっ!!」


 思わず書類を床に叩きつける。さっきまでの大爆笑はどこに消えたのか、嫌な汗がじんわりと皮膚を濡らし、ぼくはわけのわからないイタズラに自分勝手なイラ立ちを隠せない。

 「3ちゃんねる」で目も当てられないような自分より落ちこぼれな奴を見て気を落ち着かせる。このツールがなければぼくは後悔と羞恥の海に沈められているだろう。世界は広いものでぼくなんかより落ちこぼれは意外にも大勢いるのだ。


 この書類でスレ立てでもするか・・・。カタカタ・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~


[【画像】政府からヤバい書類がとどいた]


1 名前:にーとまん

steps://i.image.cum/n2ee1t110.jpg


2 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

イッチついにやらかしたか


3 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

まーたニートスレか、なんか手法変えてきたなw


4 名前:最速のコバルトブルー

無能だからこうなる


5 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

あーあ消されるよ、いっち


6 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

釣れますか??


~~~~~~~~~~~~~~~


89 名前:ニートまんこ

なんや更生労働省って、わい更生してもらえるん・・・?

 

90 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

とりあえず行け、ガチもんだぞ、それ


91 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

政府に消されるニートww


92 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>51ニート期待しててわろたwww

~~~~~~~~~~~~~~~



ぼく「フヒッw伸びてる伸びてるww」


自己顕示欲が満たされていく。ぼくはご満悦だった。



~~~~~~~~~~~~~~

104 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

これ、ガチだぞ

steps://jb.wikimedia.og/wiki/ウィキ


105 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>104ガチもんやんけ・・・


106  名前:最速のコバルトブルー

>104有能www


107 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>104まじまじのまじかよ

~~~~~~~~~~~~~~



ぼく「う、うそだろ!?」カチッ

ぼく「え、こんなのニュースでもやってなかったはず・・・政策が始まったのが7年前!?」


思いがけない驚愕の事実に冷や汗が止まらない。


・・・カタカタカタ



~~~~~~~~~~~~~

162 名前:にーとまん

い、行くわけねーだろwwww


163 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>162は?、つまんね


164 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>162だからいつまでたってもお前はにーとまんなんだよ


165 名前:最速のコバルトブルー

>162無能www


166 名前:ニートまんこ

>162わいのためにぶっ壊してきてくれ


167 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>162ちょっとあせっててわろたww


168 名前:以下、名無しからBIPがお送りします

>162行かないと国家反逆罪やで。 ニッコリ

~~~~~~~~~~~~




ぼく「くそ、どいつもこいつも!」パタン!


 ノートパソコンのディスプレイを勢いよく閉じる。もういろいろ疲れてしまったぼくは突然送り付けられた書類を眺めながらベッドで目を閉じた。



クロ「にゃーん、にゃーん、にゃおーん」

ぼく「う、うーん・・・クロ、おはよう」

ぼく「今日は午後からか、バイト」

ぼく「クロ、ごはんだよ」

クロ「にゃーん」


 クロに叩き起こされると昨日のことはすっかり忘れてしまっていた。録りためていたアニメを見ながら食事をとる。昨日の書類に目をやると、昨日のレスの数々が脳裏にちらついた。


ぼく「くそニートどもめ・・・3日後か、行ってやる!!」



ぼく「おはようございます」

JK「あ、ぼくさんおはよーでーす」

佐藤「おっはろーwww」ガッハハーww


JK「ふぅー!お客さんやっと減りましたねw」

佐藤「それなーwww」ガハハw


ぼく「佐藤、め、面接ってどんな感じなんだ・・・?」

佐藤「え!?まさか!ほかの店に浮気する気か・・・!?」

JK「ははw店長の面接なんて参考になりませんよぉw」

ぼく「い、ぃや、そういうわけじゃ・・・」

佐藤「いやだぁぁ!いがないでぇぇぇ!」

JK「ぶはっww店長みっともなーいwww」


 少し面接の流れを聞いておきたかったのだが、早とちりした佐藤がぼくに泣きついてきてそれどころではなかった。


 だめだ、参考になるか以前に会話ができない・・・



ぼく「んじゃ、先に上がる、おつかれさまです」

佐藤「ういー、おつかれいwww」ガハハww



 今日はミスも少なかった。すこし浮かれ気分で帰路に着く。3日後も休みをもらえたし、準備万端である。


 正直驚いていた。政府という名前の圧力のせいかぼくは「ニート更生プログラム」とやらに乗り気なことに。




ぼく「なにやってんだ、ぼくは・・・w」

ぼく「ただいま」

クロ「にゃーん」



つづきます。

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