よく来たな、侵略者
「魔王、遂にたどり着いたぞ!世界平和のために、お前を退治しに来た、勇者だ!」
「くはははは!!よく来たな、侵略者」
「な、なに?」
「だから、よく来たな、侵略者、と言ったのだが?」
「なぜ、俺が侵略者になるんだ!」
「いや、だってお前ら人類のほうから先制かましてきたじゃん?」
「え?そうなの?」
「そうそう、我々は反撃してるだけよ?」
「そ、それでも、貴様らが残虐非道な性質を持っていることに違いはない!!」
「それってさ、一部のゴブリンとか、オークとかの所業のこと?」
「そ、そうだ!」
「それってさ、戦争じゃ普通のことじゃね?どんだけ、生真面目で倫理的な奴でもさ、戦争おっぱじめれば、心が壊れそうになるよな、だからさ、略奪行為とか凌辱行為とかが黙認されるんだぜ?お前らもやってんじゃん!」
「う…」
「じゃ、じゃあ!お前ら戦争の仕方が卑怯だろうが!」
「は?卑怯、戦争に卑怯だと」
「な、なんだよ」
「……こちとら、テメェの命かけて戦ってんだぜ。生き残るために卑怯な手段を取ってなにが悪い。そも、戦争のルールは一つ。ほどほどにして辞めるか、圧倒的に勝って、官軍となるだ。そもそもだ。テメェらだって、卑怯なことやってるぜ?表立った争いは、古臭いルール持ち出すくせしてよ。テメェらは、俺たち魔族を奴隷にするために、散々罠を張り巡らせてくれたよなぁ!あぁ!」
「ひっ!?」
「それで、侵略者殿、貴方はこれ以上こちらからなにを奪おうと言うのか?」
「え、えと、その……すいませんしたーー!政府上層部の腐敗を正してきます!許してくださーい!」
「うん、よろしい。わかればいいのだ。それでこそ、真の勇者というものよ、では、逝ってこい。狐狸の類は、魔王よりも手強いぞー」
「はひぃーー!?」