裁判所と呼ばれる家で③ 7/2019に向けた、ある年の10月より
こんにちは、エミリー・ミレットです。
このお話は、
Q誰が? A.僕は、私は、、、
Qどこで? A.東京で、名古屋で、神戸で、中国で、アメリカで、ドイツで、フランスで、、、
Q誰に?
『エミリー・ミレットに、出会った。』
という構成で、
私が出会ったひとたちを、フィクションも織り交ぜて、お相手視点からお話にしてお届けします。
(内容はお会いした方々の了解をとっています。)
楽しんでいただけたら幸いです。
Here are the short stories about the people I met in the world.
The stories are developed from the lover’s sight, not my side.
All stories(maybe) are produced with the certain amount of fictions and reality.
These are more than essay, more likely, yes, “the love story”.
I hope you to enjoy them!
Ciao!
四丁目の中京銀行の裏。
茶色くて真四角い裁判所のインターホンを開けると、丁寧な挨拶と2階の温室へどうぞ、
と細い声で言われた。
目の前の背の高い黒い門扉が、開く際に鈍い獣が唸るような金属音を響かせる。
なんだかホラーハウスを思わせた。
裁判所、と呼ばれるのはこのお宅が醸し出す、冷たくて硬い雰囲気のせいだろうか。
背筋が冷える。
秋口で背筋が冷えるなんて、真冬にはどうなることだろう、、。
そのとき、カラスが鳴き黒猫が目の前を通り過ぎた、ら完璧だったが、
世界はサービス過剰を奨励してくれなかった。
でも、
僕はこの荘厳な感じが好きだけどな。
回廊を歩きながら、ジロジロ四方八方を観察する。
門扉から玄関ホールまでの回廊には、大げさな美術品があるわけでもなく、建物の中は簡素だった。
床は大理石で敷き詰められているが、それ以外はいたって簡素な、白塗りの内装だった。
ただ、玄関ホールから見えるドアというドアは全て閉じられていて、家屋らしさをあまり感じなかった。
生活感がない。
食べたり飲んだり、跳ねたり跳んだり、よもや風呂上がりの人間が歩いているなんて画を、
イメージできない建物だった。
インターホンに応じた人以外は外出しているのか、
それとも弁護士も、黒縁眼鏡ミニスカートの書記官も、裁判長も、
今日は定休日なのかもしれない。
ロビー中央から始まる吹き抜け階段で二階へあがると、建物西側から生暖かい隙間風が吹いてきた。
10月に?
ぬくい風?
もしかしたら、届け先の温室から吹いているのかもしれない、
僕は西側の風のありかへ向かった。
お待たせいたしました。
私は、お盆休みというものを、心底待ちわびておりました。
引き続きお楽しみください。
なお、9月8日の大阪文学フリマに遊びに行きます。(10月は福岡文学フリマに出店予定です。)
大阪でお友達出来たら嬉しいな、なんて。