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ホラー短編  作者: 森の民
2/6

キラキラ°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

女子というものはキラキラが好きだ。


何でだかわからないけど見栄えにこだわる子が多い。

可愛い髪型とか。

オシャレな服とか。

流行のメイクだろ?

美味しそうなスイーツに。

カッコいい彼氏!

それと皆が憧れる生活って言うの?ああいう感じ。


最近はSNSとかもたくさんの種類があって、その中から好きなものを選んで自分のキラキラした生活を投稿。まあそれは別にいい。俺には関係無いし、個人の趣味だからな。ただ。


ブランド物の鞄を買ったように見せかけるために店で勝手に撮影。

店のオシャレコスメのお試し用を勝手に使って店でメイク。下手すりゃ買うふりして店員さんにやってもらう。

自分がオシャレに見えるように友達や店から高価な服をレンタル。場合によっては試着して試着室で撮った写真にどっかから引っ張ってきた背景写真を合わせて加工。

無理して高い店に入って豪華な食い物を頼んで周りの事も気にせず写真を撮る。

写真のためだけに高い金を払って旅行に行く。普通逆だろ?旅行に行ったから記念に写真を撮るんだろ?

挙句の果てには自分可愛いを主張するためだけにペット買って。世話しないくせに。

酷い時には自分のカッコいい彼氏を作るためにレンタル彼氏。もしくは寝取り。浮気。セフレ。

とどめには自分の子供を捏造…。


そんな話を知ってからというもの俺はキラキラとしたものに恐怖を感じるようになった。

関係無いし個人の趣味だから良いんだろって?冗談じゃない、見かける人見かける人やってるんだぞ?

いつ隣に座ってる同僚の女の子がそんな風になってるか。

いつ仲のいい女友達がそんな風になってるか。

いつ自分の家族がそんな風になってるか。


想像するだけで空恐ろしいね。絶対にありえない。

被害妄想乙wwwとかお前らは言うんだろうけど、俺は怖くて怖くてたまらない。


だから今の彼女には満足してる、地味だし金遣いも荒くないし化粧も控えめ、オシャレも身の丈に合ってる。料理は手料理がメインだし、外食マナーだってちゃんとできてる。旅行だって一緒に楽しんでくれる。ペットの犬だって可愛がってて、ちゃんと世話してる。彼氏の俺の事だって大事にしてくれるんだ。

いずれは結婚して幸せな家庭を作りたいな。孫の顔を見せたら親父もお袋もきっと喜んでくれるさ。

安定した仕事、安定した恋人、安定した生活。

キラキラの無い俺の生活の何て素晴らしい事か!そもそもそういうキラキラなんてのは作るもんじゃあない。身の丈に合った暮らしの中にあるふとした素敵な瞬間を投稿してこそさ!


そんな訳で俺は能天気に今日も彼女といちゃついたりしていたわけなんだが、風呂上りに彼女のスマホが無造作に置いてあるのを見つけた。浮気なんて疑っちゃいないが、つい覗きたくなった。

いけないいけない。だけど何で今日に限って俺の目につく所に置いてあるんだ?いつも自分の近くに置いて手放さないのに。ふっと上から覗き込むとロックが甘かった。ほら、指で上にスワイプすると簡単に起動しちゃう状態。これじゃすぐにスマホの中身を覗かれてしまう。


えー…危ないじゃん。

俺は後で注意しなくちゃな、とビールを飲みに台所へ向かおうとした。

振り向いたら目の前に彼女が立っていた。


「うわっ!」


びっくりして後ずさると笑顔で自分のスマホを手に取る。


「なーんだ、覗かなかったの?」

「…何言ってるんだよ、人の携帯を勝手に覗くなんて普通ありえないだろ?そもそも何で今日に限って…」


彼女はいきなりスマホを操作しだした。そしてしばらく無言で弄ってから俺の方に画面を向ける。


SNS。


驚愕に固まる俺の前で彼女は画面をスワイプした、そこにはキラキラとした生活。俺との生活。


それもかなり誇張されたもの。


「…実はね、借金があるの、でもね、限界なんだ、駄目なんだ。もっともっとキラキラさせないと。キラキラ女子になれないの。」


何だ、何を言ってるんだ。


「ね?協力してくれるよね?恋人だもんね?」


迫るSNSの画面…俺とのいつ撮ったかわからない、やたらごてごてとした豪華な光り輝く写真。


「ね?」





キラキラが俺の生活を壊しに来た。

ゲームの課金もこれに似ている気がします。箍がなければ際限なく。

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