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湯気の向こうの男の娘  作者: 小鳩
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第3話

 佑奈と真白の後を追い勲も牧場内へと入る。さすがにお盆が明けた平日ともなると人影はまばら。探すのも非常に容易ですぐに少し前を歩く二人を発見する。

「お待たせしました。じゃあ案内しますね。と言っても1回しか来たことはないんですけど」

「カピバラいますか?」

「ここ動物園じゃないんで…」

「バクは?」

「夢も食いません」

「マレーバク」

「同じです」

「ニホンオオカミ」

「いたら学会提出もんです」

 何か勘違いしてここを選んだのか確信犯なのか。勲に訳の分からんいるいないクイズを吹っ掛けてくる。それに対し全て「No」と答える。ここ数か月での彼のツッコミスキルの上達は目を見張るものがある。大学に通ってもこうはいかない。

 そんな問答をしていると程なく視線の先に「牛が現れた」となり、二人牛に駆け寄る。

「OH、なまにくー」

「ぎゅうにゅうー」

「食われるためにいるわけじゃないんだけどな、アイツは」説明も面倒なのでスルーを決め込む。

「ここらへんなんですかね? ハラミ」人間の言葉がわかるのか、佑奈に腹を叩かれた牛が振り向く。その顔にはなぜか焦りが。

「いい肉付きしてますね。いつバラすんですか?」飼育係に衣着せぬ質問をする佑奈。回答に困る飼育係の人。

「えっと、乳牛ですので…。食べることはしません」

「じゃあ、絞った牛乳飲めますか?」

「それは、向こうに行っていただければ飲むことはできますよ」

「名前なんて言うんですか?」質問が飛び過ぎ。

「この子ですか? アッ○イです」

 一頻り牛と飼育係をからかったあと、ゴルフ、アーチェリー、馬車、ありとあらゆるものを遊び尽す三人。乗馬の際、なぜだか真白が才能を開花させ死ぬほど上手く馬を転がし、係の牽引無しで馬走り回らせている。そんなもんだからちょっとした注目の的になっている。

「ハイヨー、シルバー!」

 なんだかんだで時間は2時間近くは経過して、今度こそお昼の時間に差し掛かる。

「なんだかんだで動いたからお腹減りましたね。どうします?」勲が二人の希望を取る

「ピザとソフトクリーム」

「肉じゃなくていいですよね、朝食べましたし。じゃああっちですね」

 てこてこ歩いて食堂のある建物へ。ここも昼にもかかわらず割と空いているのですぐに着席できる。

「すいませーん」と、さっそく勲が店員を呼ぶ。

「はーい」と駆け寄ってくる店員。「お待たせしました、ご注文は?」

「えっと…」勲がメニューを開き三人分の注文を伝えようと店員と目を合わせる、すると。

「…、え!?」その店員を見て驚く勲。

「えっ…て。どうかなさいましたか?」その言葉に反応する店員。

 そこにいたのは勲の地元の同級生。「なんでこんなところにいるんだよ!」と言いたくても言えない。だって今はユウナになってるんだから。

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