↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/32

プロローグ

 



 世界の科学技術は目覚ましい発展を遂げた。AIが日常的に存在し、今までの生活が嘘のように暮らしやすい世の中になった。様々な物に最新技術が利用され、それに伴って生活水準も引き上げられたのだ。


 日常生活だけではなく、娯楽だってそうだ。特にAIと共に発展したヴァーチャル・リアリティ―――仮想現実は人々の暮らしの一部として浸透していった。

 中でもゲーム業界、つまりVRゲームは飛躍的な成長を見せた。黎明期のような高額のデバイスは必要とせず、家庭用ゲーム機と遜色ない値段で専用のヘッドギアが販売されるようになったことで、誰もがファンタジーの世界に足を踏み入れていった。


 それは一躍社会現象となり、社会現象はやがて日常となっていく。現在ではスポーツと肩を並べる程の一大産業と化していた。


 成長の細かな要因を語るには、とあるVRMMOゲームを避けては通れない。

Region(レギオン) Saga(サーガ) Online(オンライン)』。通称“レギオン”。VR流行の元となり、現在でもプレイヤーは増加の一途を辿っておりその勢いは衰えることを知らないVRゲーム界の金字塔だ。


 天界、魔界、人界という三つの異なる特徴を持った世界から一つを選び、プレイヤーは広大な世界を冒険するも良し、気ままに物作りをするも良しという自由度の高さを売りにしている。

 ゲーム内の大規模イベントは地上波放送され、発売から3年が経ったというのに世帯視聴率は未だに40%を切ったことは無い。


 そんな世界に飛び込もうとする人間がここにも。




「それじゃあ今日の講義はここまで。次回レポート提出があるので忘れないでくださいね」


「なあシン、飯行こうぜ」


「悪い!今日は用があるからパス!」


「あー、そういや買うんだっけか、ギア」


「そういうことだ!また今度誘ってくれ!」




 彼の名は糸島(いとしま) (シン)。この春に高校を卒業したばかりの大学一年生だ。

 親に実家を追い出され―――家族仲は極めて良好である―――新生活を余儀なくされたのだが、親から渡された支度金で一念発起、レギオン対応の最新ヘッドギアを購入することに決めた。

 ヘッドギアを購入するまでには幾つか手順があり、在庫はあるが事前予約制という形が取られている。その煩雑な手続きが終了し、本日ようやく実物を受け取れる。


 そのためシンは講義が終わるなり唯一の友人からの食事の誘いも断って、予約したゲームショップへと向かっていた。




「すみません、予約してた糸島なんすけど……」


「糸島様ですね。お待ちしておりました、先に保証書などの書類のお渡しがあるのでこちらにお願いします」



 最新鋭のVR機器って言っても保証は付いてくるんだな。あとアカウントと生体情報を紐付けるのに使うパスキーも受け取った。どうやら登録した生体情報じゃないとその端末は使えないらしい。技術の進歩ってすげー!


 そして待ちに待った本体が渡される。厳重なケースに入っている訳でもなく、ただ普通のゲーム機と同じような感じだ。曰く、盗難に遭っても識別番号で追跡が可能になっているそうだ。技術の進歩ってすげー!



「ありがとうございました。良きVRライフがありますように」



 よし、さっさと帰ろう。ようやくレギオンをプレイできるんだ、今日からひたすらVR漬けの毎日が始まるぞ!せっかくのゴールデンウィークだが悪いな友人よ。俺は少しばかりこいつと旅に出てくる。


 事故物件を疑うレベルで家賃が安い我が家に帰還し、汗がベトベトして気持ち悪いからシャワーだけ浴びる。ドライヤーで髪を乾かしたらお待ちかねの時間だ。


 一緒に買ったソフトはダウンロード済みだし、電源ボタンを押して頭に装着。後はベッドに転がるだけだな。



「さぁ、待ってろレギオン―――!」



 こうしてシンのVRライフが幕を開けた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。