表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

子供でも読める短編

夏の切ない、きな粉の思い出

作者: 響音(ひびね)
掲載日:2026/04/21

会社の談話室で、女性社員3人でお昼のお弁当を食べていた。

今は夏真っ盛り。最高気温は毎日30℃を軽く超えている。

「毎日、ほんとに暑いね」

「ね」

「もうイヤ」

「対策、どうしてる?」

「冷えピタ貼って寝る」

「クーラーと扇風機の併用は必須」

「あ、それ、私もやってる」

「私も」

そこで会話がふっと途切れ、1人が話し始めた。

「扇風機と言えば。私ね、家で『好きなだけあんみつ』やってるのね」

「なにそれ」

「すごい興味ある」

「あんこと、寒天と、フルーツの缶詰と黒蜜を買ってきて」

「あんこ派なんだ」

「あんこ派というより、黒蜜派」

「ああ、なるほど」

「全部売ってる?」

「売ってる売ってる!めんどくさいからどれも作らない。あ、白玉だけ作るけど」

「うんうん」

「それで?」

「それぞれタッパーに入れて、冷蔵庫に入れておくと、好きなときに好きなだけあんみつが食べられるの」

「なにそれ!」

「最高すぎる!」

「バニラアイスなんて買ってきたときには…」 

「それは!」

「最高すぎる!」

「お風呂あがりに毎日食べてるのね」

「太りそうだけど」

「最高ー」

「で、昨日は白玉を作ったの。ストックがなくなったから。置いとくと固くなるし」

「そうだね」

「そんな感じする」

「出来立ての白玉見てたら、『今日は黒蜜きな粉で食べようかな』って思って」

「ああ…」

「至福じゃない…」

「でね、私、きな粉も大好きだから、白玉に黒蜜かけたものか入った皿と、きな粉の袋を持ってローテーブルに座ったのね」

「うん」

「で、きな粉をかけようと袋を傾けたら、首を振ってた扇風機がちょうどこっちを向いて」

「…うん?」

「もしかして…」

「きな粉がファサーって舞ったの」

「ンフッ」

「フフフッ」

「思い切ってかけようと思ってたから、思いっきり舞って」

「待って、ブフッ、やめて」

「フフフッ」

「思わず、『黄砂に〜吹かれて〜』って歌っちゃった」

「フハハハッ」

「切ない、切なすぎる!」

「スローモーションだったなぁ、部屋が扇風機の風向きにあわせて黄色くなっていくの。今年の夏の思い出」

「ちょ、ちょっとやめて」

「アハハハハハ」

談話室の他の人々がカタカタと震えている。

「もー!笑って余計に暑くなったじゃない!」

「どうしてくれるのー!」

「ごめんごめん。最高だからやってみて」

「黄砂に吹かれてが?」

「ッンフフ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ