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相坂フットボールラブ  作者: 佐和田


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3/4

再会


-ロンドン-

純花に指定されたホテルに来たけど…でかいなぁ。


「蓮くん!」

「純花!久しぶり」


純花のほうからハグしてきた。


「会えてうれしいよ」

「私も、ロレッタちゃんは、来てない?」

「あいつは仕事だよ、純花によろしくだって」

「そっか、それは、残念だなー。それよりさ、順調?蓮くんのクラブ」

「あぁ、なんとかシーズンイン出来そうだ」

「よかった、私も蓮くんたちを心配してたから、それでさ、そのー」


純花はもじもじしながらも、真っ直ぐ見つめていった。


「ロンドン、観光しない?私今日オフだし、せっかくだからいろいろ周りたいなーって」

「あぁ、俺も最近仕事ばっかだったから、行こうか」

「うん!へへ」


そうして2人でロンドンの観光地をまわった。食事もして、いっぱい写真を撮った。あっという間に夕方になり、帰りの電車まで送ってもらった。


「キングスクロス駅すごいね、9と3/4番線もちゃんとあるんだね」

「あぁ、あそこはいつも人が多いな」

「蓮くん、今度はいつ会えるかな?」

「どうかな…シーズンが始まったら忙しいだろうし、昇格にむけてやることはいっぱいだからな」

「そっか…私ね、もしかしたロンドン本社に転勤するかもしれないの!そしたらさ、また会おうね」

「もちろん、今度はロレッタも連れてくるよ」

「無理は、しないでいいから、2人でもいいし」

「それじゃあ、また会おう」

「後で連絡するね、じゃあね」

「あぁ」


そう言い残して、帰路についた。



-自宅-

「おかえり、純花はどうだった」

「相変わらずだよ、そういえば、今度ロンドンに転勤になるかもって言ってた」

「そうなんだ、そしたらまた3人一緒だね」

「そうだな、俺たちはどこ行っても一緒みたいだな」

「それでさ、今日選手に会いにいったんだけど…」


ロレッタは神妙な顔で話した。


「士気は低かったわ、みんな降格しなければいいやーって感じ、仮にもプロの選手なのに」

「そうか、今度ベイルに話しつけとくよ、人員整理の参考になるし」

「でも補強はできないって言ってたじゃない」

「4部以下にも上昇思考があって、安い給料でもやってくれる若手が1人はいるだろう、今度スカウトに話つけるから」

「そう上手くいくのかな…」



-2日後-

「1人、ピックアップしました」


スカウトから俺に、そう報告が入った。


「本当か、詳細を送ってくれ」


俺がそう言うとスカウトは、部屋をでた。


「蓮、さっきの人は?」

「彼はマイルズスターリングスカウトだ、たまにはお茶出しじゃなくて本業もしたいと言っていたから、スコットランドに派遣したんだ」


そう説明しているうちに、パソコンから選手情報が送られてきた。そしてスターリングも部屋に入ってきた。


「彼はレオシンクレア19歳、ポジションはボランチ、ロンドン生まれ、かつてはアーセナルのユースにいましたが競争に負け、そこからユースを転々とし、今はスコットランドのU-21に所属しています。本人ばイングランド志望で出場機会を1番求めています」

「ピッタリだ!僕たちは強い選手じゃない、地元で多くの試合に出場する期待の若手が欲しかったんだ!それにこぼれたとはいえアーセナルのユースにいたというのは非常に期待できる、直ちに交渉だ」

「はい!これでしばらくはコーヒーの買い出しにいかなくてすむぞー!」


スターリングは軽快に部屋を出た。


「よし、てことだから行ってくる」

「えぇ、気をつけて」


翌日、俺とベイルとスターリングの3人で、スコットランドのユースチームにお邪魔した。


「はじめまして、ウェイクフィールドのceoジョナサンベイルです」

「同じくスカウトのスターリングだ、久しぶり」

「よろしくお願いします」


その子は困惑した表情で俺の方を見た。


「あなたは…?」

「オーナーの相坂蓮です、よろしくね」

「はい、お願いします」


彼と握手を交わし、席についた。


「早速本題です、シンクレア、君を私たちのチームに加えたい」

「はい、僕もそのつもりです」

「それはよかった、スターリングから君の能力の素晴らしさは理解している、早速だが交渉してもいいかな?」

「あ、ちょっと待ってください。お父さんが来るまで何も話すなと言われてるので」

「そうですか…」


その後すぐ、彼のお父さんらしき人が入ってきた。


「すいませんお待たせして、代理人のマークです」


なるほどな、父親が代理人か。


「それでは、我々はシンクレアにこちらの給与を用意します」


マークはその紙をじっくりと見つめた。


「ふっ、失礼、これは本当にトップチームの給料ですか?」


彼は不機嫌そうに答えはじめる。


「いくらリーグ2とはいっても、これじゃあ平均以下じゃないか?彼はまだ19だ!アーセナルにもいた!この有望株にたったそれだけの給料しか用意しないのか!」


我々はこの父親の気迫に押されかけていた。


「いいですか?」

「ん?君は誰だ?誰か中華のデリバリーでもしたのか!」

「オーナーの相坂です、たしかひ私たちは彼に対する評価が金額に現れていません。しかし、私たちは彼に十分な出場機会と、移籍をさせないことを約束します!」


俺が移籍という言葉を使うと、シンクレアは小さく反応した、そしそれはベイルとスターリングにも伝わっていた。

「シンクレア、ウェイクフィールドは南部の都会的な部分は少なく、ほとんどのサポーターが顔見知りばっかだ。だからこそフットボールに熱い情熱を持っている。だが君が求めているのは出場機会と、本当のホームにいることじゃないのか?」


そう熱心に説得すると、シンクレアは口を開いた。


「お父さん、僕もう移籍したくないんだ…」


そう悲しく語り始めた。


「アーセナルにいたときも、みんなと仲良くできない、ライバルなんだ。他のチームでもそう。同じポジションの子にはシューズを隠されることもあった。それからチームを転々としても、仲間も友達も出来ない、出来てもすぐにいなくなる、こんな生活もういやなんだ!」

「レオ!お前はまだ幼いんだ、世の中金だって言っただろ?仲間?そいつらを蹴落としてでもスタメンを取れ!そして金を稼いで家族を助けること!これはお前が言ったことなんだぞ!」

「嫌だ!これ以上こんな生活が続くなら、フットボールなんかやめる、叔父さんの工場を引き継ぐ」

「レオ!」

「お願いお父さん!このチームがいい!ここで成功すればもっとお金が稼げるんだよ?もっと有名なチームにスカウトされるかもよ!」


後半の言葉にはチクリと来たが、それでも彼の情熱は本物だった。


「……出来高をのせろ、10ゴールだ、それから契約書もってこい」

「はい!ありがとうございます!」


俺はこの父親に頭を下げた。


「ねぇアイサカ、僕のことはレオって呼んで」

「あぁレオ、これからよろしく」

「うん!」


その反応は、純粋な青年そのものだった。


-電車-

「オーナー、すごい交渉でしたね」

「ありがとう」

「オーナー…アイサカさん、交渉のしがいがありましたね!」

「なんとかなりそうだな」

「えぇ、あとは2人でやります。あなたがしれっと許可した"出来高"についても話し合うので」

「すいません…」


今日はひどく疲れた1日だった、通り過ぎる夕焼けに照らされた田園風景をみながら、ゆっくりと目を閉じた。

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