ウェイクフィールド
-日本の幼稚園-
「蓮くん、将来はなにになるのー?」
「サッカー選手!」
「すごいねー」
「蓮!うちとお外いこ!」
「ロレッタちゃん!行く!」
「純花もあそぼ!」
「私は、外きらい」
「ふーん、じゃあ蓮!2人で行こ!」
「あ、まっ…て」
-高校-
「蓮、進路決まった?」
「あぁ、あの大学に行くよ」
「まじ?うちもなんだー」
「たしか、純花もだったような」
「え?そうなの純花?」
「あ、うん、そうだよ」
「なんだ、やっぱこの3人は一緒なんだね」
「本当、腐れ縁だな」
「ちょっと言い方!」
「あはは、たしかに…」
-イングランド-
「それじゃあオーナー、自己紹介を」
「はい!相坂蓮26歳です、今日からここのオーナーです!」
ここはウェイクフィールドという小さな町、そこのリーグ2つまり4部相当のチームのオーナーになったバカがこの俺だ。なんでここのチームかって?1番安かったからだよ、え?なんでこのチームを買い取ったんだって?そりゃもちろん!
「目標は、プレミアリーグ昇格です!」
そう、イングランド最高峰のリーグに、昇ることだった。
「ぶっ、あっはっはっはっは!面白い日本人だ!君にはイギリスがお似合いだよ!」
「ありがとう!」
「ばかにされてんのよ、あんた」
「え?そうなの?」
「じゃあ…あなたも自己紹介を」
「はい、このバカのパートナーをしているロレッタマルティン、彼と同い年で父はスペイン母は日本人です、よろしく」
「なんだ、この子は真面目そうだ」
「君はイングランドにお似合いだよ」
「どうも、あなたのブリティッシュにはかないません」
「はっはっは!最高だよ、私はブラウンだ、よろしく」
「ブラウンはこのスタジアムの清掃主任なんだ」
「愛し合うのは家でしろよ!じゃあな!」
「…私はジョナサンベイル、ここのCEOだ」
「よろしく、ベイル」
「よろしく!ジョナサン!」
「ちょっと、いきなりファーストネームは失礼よ」
「あぁ気にしないで、好きに呼んでくれ」
「蓮!」
「ソーリー」
「それじゃあスタジアムを案内しながら、挨拶に行こうか」
-キッチン-
「この2人が中心にフードを提供している、フルードとクレアだ」
「エイデンフルードだ」
「イザベルクレア、よろしくね」
かなり高齢に見えるけど、頑張ってるんだなー。
「チケット部門のキングだ」
「キャリーキングよ、座席数は増やさなくていいからね、またメガネ変えなきゃいけなくなるから」
「そうはいかないですよ…」
その後も、様々な人に挨拶にまわり、最後に案内されたのは、パブだった。
「なぜここに?」
「さ、2人とも入って」
中に入ると、ウェイクフィールドユナイテッドのユニを着たお客さんが数十人いた。
「みなさん!新しいオーナーを連れてきましたよ!」
そこには、労働終わりであろう人たちが何人も集まってお酒を飲んでいた!
「おぉ!お前が噂の東洋人か、名前はなんだ?ソンか?」
「相坂蓮です、日本人です!よろしくお願いします」
「私はマルティン、彼のパートナーです」
「マルティン?マーティンの間違いじゃないのか?」
「失礼、スペインハーフです」
「なるほどな」
「それでそのスペイン人と東洋人がここのオーナーになるのか?」
「おいおい!スタジアムがパエリアとスシしかおかなくなるぞ!」
「紅茶じゃなくてウーロンティーか?だはははは!」
「みなさん、彼はプレミアリーグ昇格を目指していく、そうです」
「プレミア?お前正気か?」
「笑わせるなよ!地元で楽しく観戦出来ればいいんだよ!」
「プレミア行くならここじゃなくてリーズに行けよ!」
彼らはお酒の勢いもあり、本音を口にしているようだった。そんな中、1人の中年男性が声を上げた。
「面白い!この日本人を信じよう」
その小太りな男性は、俺の前に立ち、握手を求めた。
「ジューダスワーグナーだ、よろしく」
「はい!相坂蓮です!」
「おいおい!変わり者のワーグナーの登場だ!」
「お前!本当に白人かよ!」
「うるさい!私は目の前の新しいオーナーに挨拶したいだけだ、文句があるならリーズに引っ越せばいい」
「チッ、ほっとこーぜ」
「酒追加で!」
「あの、ありがとうございます」
「気にするな、北部はロンドンと違って労働者の街が多い、特に君たちみたいな、外から来た富豪を嫌う奴が多いんだ」
「そうなんですか」
「だがな、労働者の街だからこそここのフットボールは特別なんだ」
「なるほど」
「リバプール、あれだってスタジアムの外は田舎町だ、ロンドンとは全く違う、でもスタジアムに入ったとたん、大量のサポーターと大量のスポンサー、そして多額のお金で移籍した選手が集まっているんだ」
「確かに、キングさん曰くチケットが売り切れないことは珍しいって」
「そうなんだそれぐらい我々はこの競技への熱は強い、もちろん、ラグビーもな」
ワーグナーは相坂の肩に手をおいた。
「本気でプレミアリーグを目指すなら、私は信じる、いい試合を見せてくれよ、オーナー」
「はい!がんばります!」
再びオフィスに戻った。
「先ほどのワーグナーさんの言うとうり、ここは労働とフットボールの街です、どうか、長い目で見てください」
「はい、お願いします」
「奥の部屋は小さいですが、オーナーたちが使ってください。それと、ここは資金が少ないですから、補強はできないと思ってください、それでは」
2人は奥のオーナー室の整理を簡単に済まし、早々と家に帰った。
-自宅-
「家はアパートの一室で、2人の共同生活をする拠点だ」
「のぞきしたらころすから」
「しないって…」
2人はソファーに座りながら、今日のことを振り返った。
「本場のジョークは、やっぱすごいね」
「本当、あと東洋人とか名前はソンか?とかも嫌だったな」
「うちも!ハーフっていってんのにスペイン人がーとか、うるせーって思った」
「でもそれ以外はそんなに、悪くないかもな」
「そうね」
「ロレッタが来てくれたからかな」
「いっとくけど、うちはあんたの金目当てだから、残念でしたー」
「堂々と宣言されちゃ困るなー」
かくして2人は、長い1日を終えた。




