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第二話 心霊番組 一、白井ののによる序

 私の師匠である霊能者の星野小百合先生は、テレビに出たがりません。人前で話すのが苦手だから、と本人は言いますが、テレビ番組は時として興味本位の俗悪ものだったりしますので、そのせいもあるのでしょう。


 ある日、先生の千早寺(ちはやじ)に呼び出され、頼まれました。どうしてもしがらみで出演しなければならない番組があり、でもその日にちょうど仕事が入って行けなくなってしまったので、自分の代わりに行ってくれないか、と言うのです。



「お願い、のの。あなたしか頼める人がいないの。あとで埋め合わせするから、ね、この通り」

 などと、普段は生真面目な先生らしくもなく、必死の媚びた苦笑いで、手をあわせて頭を下げるのです。私は何か気持ちがいいので、なかなか返事をしないで、何度も繰り返させました。まじめな先生は、腰まである長い髪が乱れるのもいとわず、何度もへこへこしました。うーん楽しい。


「うーん、べつにぃ、いいですけどぉー」と生返事ぶる私。

「な、なによ、いやなの? 大丈夫、局のほうには代わりが来るって言ってあるから」

「私なんかでいいんですか?」


 言いつつ机の台本を取って目を通すと、それは心霊スポットの取材でした。場所は○○廃病院、と書いてあります。聞いたことのないところでした。

「もし私で手に負えないようなヤバいところだったら、どうするんですか」

「どうせいい加減な番組だから、たいしたところじゃないわよ。そんな有名でもないスポット、ガセに決まってんだから」

 くどいようですが、小百合先生は生真面目です、普段は。その反動か、なんらかのスイッチが入ると、このようにとたんにアバウトになりますが。


「ねえ、のの、頼むわ。あとでアイスもおごるし、ステーキだって食わすから」

「食わすって、動物ですか。うーん、どうしようかなー」

「ののぉー」

 泣きそうな顔の先生、ほんと可愛い。

 でもステーキなんかいらないから、たんにどこかで一緒にお茶するとか、遊園地にでも行って二人ではしゃげたら、それでいいんですけど。


 まぁそんなこんなで、最後には承諾し、遊園地デートの約束を取り付けました。そんなわくわくの付録が付いてるなら、霊といわず、怪獣が出ても平気です。



 なんて、気楽に考えていたんですが。

 まさか、あんな恐ろしいことになろうなんて。

 そのときは、思いもしませんでした……。

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