運の使い方
数日という時間はかかったがそれでもことは着々と進んでいった。影山は机にいるだけでそれという事件もないのだろうかと思ってしまった。捜査一課の一部の班は動いているらしいが、大事にする必要もないほどの事件でしかないのだ。
「影山さん、そろそろ来るんですよね。交番勤務だった彼に刑事の仕事は向きますかね?」
「白石、何を言っているんだ。誰もが交番勤務から始めるというのに、少しでも長くやっていたら色眼鏡を持ち出すのはいけないんだ。そういう人ほど見え方がわかっているものだ。それに何にも染まっていない正義感ほど磨く必要があるもんだ。」
白石はぐうの音も出ないほどの言葉だった。警視庁にいればキャリアだノンキャリアだというものに隔離をされてしまう。そこから逃げ出すことが簡単なのだろうからと思っていた。今は2人しかいないが、他の人は捜査一課の動きをマークしているのだ。それをしていないとわからないものがあるのだからと思ってしまう。
「警察庁長官も直近で会いたいといっていたようですよ。影山さんは一体どんな人脈をもっているんですか?」
「いずれわかると思うさ。俺も此処にいたくているわけじゃない。上からの命令みたいなものさ。」
つくづく運がないといっているようだった。白石には分からない部分だった。