案内状
「俺にも逆らえない人でもあるから立場をわきまえてほしいともいいたくてな・・・。」
ドアが無言の中を開く音が響いた。それは緊張感を切ってしまえるほどのあっけないものであった。
「そりゃあんたが悪事をばれたくないからでしょうが。ただでさえ、あんたにはパワハラやモラハラっていう話はずっと聞いているから俺なら何時でもキレてしまうことだよ。」
署長はおびえ切った顔をこちらへと向けた。むしろ、印籠を出すために訪れたとしか思えなかった。入ってきた彼には何もおびえもなかった。早くから決まっていたことがあったが、俺の言動に対して決めようとしているようだった。
「本部からですよ。それも人事から。懲戒処分で降格ってことになるので早急に荷物をまとめてほしいと思ってきたんだ。居座り強盗されても困るからね。」
淡々と告げているように言っている。彼は名乗ることはなかったが、雰囲気が変わっていた。署長という肩書によってしまったが故に陥ったという感じだ。
「名乗るが遅れたね。君を捜査一課に呼んだは俺だよ。影山明人というんだ。一応、階級は警部だ。」
次いでにいう言葉がきれいなものに感じた。
「光畑です。光畑標といいます。まだ、巡査ですけど・・・」
「階級なんざお飾りと一緒さ。俺はそんなのとっくに捨てたよ。」
影山は寂しそうに言った。