新しい場所
捜査一課というのは誰もが憧れを持つ場所だ。それは認められたうえでしているのならとなってくるだろう。どの場所にいたとしてもそれがつきものだ。
「光畑、資料を仕上げたのか?」
「はい。まぁ、小さな事件に過ぎないですけど・・・。」
光畑は上司である上田の言葉に答えた。光畑はいわば交番勤務にしか過ぎない。また、本部とは別物な上に大した実績を上げないとダメなのだろうから。警察官になって少しばかり時間が経過しただけだ。それに不満をもっていないのだから。
「そういえば近くの署に顔を出せって言われたな。終わってからでいいらしい。まぁ、今の署長は気分屋らしいから気をつけろよ。あの人には鍛えてもらったけど、仕事以外じゃ学ぶところなんてないんだから。」
「わかりました。」
上田が交番勤務になったのはその署長の不祥事を被ったからに過ぎないのだ。被ったではなく、被らせられたのだという。そこで出世コースを外れてしまったということだ。光畑は言われた通りに仕事を終えてから所轄の署へと出向いた。そこには刑事やら事務やらがいた。こじんまりとした場所とは違って見えた。だが、そこには憧れを抱いた時とは違っても見えた。闇と光と力にまみれたものしかなかった。