夜に棲んでた
掲載日:2024/08/21
(短歌十首)
毒を飲む
悦びを知る色をした
血濡れたこころを机上に置きたい
空き缶が
転がる残暑の過疎の村
身動き取れずに停止する足
城跡に
石垣をみに登るとき
飛ぶ血しぶきの如き小雨が
寂しさを
患ったのは少年時
入院をした個室の夜から
まっしろな
髪の王妃の塊が
「あした」を奪われただ横たわる
そういえば
病院にある図書室で
「あした」を夢みて寝落ちしていた
知性とか
にんげんだから持ちたいと
本に栞を挟んだりした
嫌われる
ことがちっとも怖くなく
老キホーテが大好きだった
いつまでも
「あした」がある訳ではないと
観葉植物眺めた図書室
忘れない
ちと輝いてた空気さえ
透明だった夜に棲んでた




