夜に棲んでた
(短歌十首)
毒を飲む
悦びを知る色をした
血濡れたこころを机上に置きたい
空き缶が
転がる残暑の過疎の村
身動き取れずに停止する足
城跡に
石垣をみに登るとき
飛ぶ血しぶきの如き小雨が
寂しさを
患ったのは少年時
入院をした個室の夜から
まっしろな
髪の王妃の塊が
「あした」を奪われただ横たわる
そういえば
病院にある図書室で
「あした」を夢みて寝落ちしていた
知性とか
にんげんだから持ちたいと
本に栞を挟んだりした
嫌われる
ことがちっとも怖くなく
老キホーテが大好きだった
いつまでも
「あした」がある訳ではないと
観葉植物眺めた図書室
忘れない
ちと輝いてた空気さえ
透明だった夜に棲んでた




