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10 能力テスト

ほんっとうにすいません、投稿サボってましたあ!!!

「はい,じゃあ気を取りなおして,本来なら今学園の説明などをするはずなんですけど,俺はめんどくさいので飛ばします。なので早速――、能力測定を開始します!」

 またまたハイテンションになったアルセンの一言に、クラスは一気に沸く。

 能力測定――魔力や体力を測定し数値化する年初めの恒例行事のようなもので、クラス内のランクがハッキリとする、自己肯定感爆上げもしくは爆下げイベントである。

 俺は前世ではなかったこのイベントに内心興味を抱いていた。

 団体の中でのランクなどは拳で渡り合ってはっきりさせていた前世と比べ、今世ではかなり温厚な方法が発達したものだ。

 

 それからは今だそれぞれのクラスでオリエンテーションが行われている中で静かな見学がてら校舎内をアルセンの引率で移動し、大きな訓練場へと向かった。

 そこにはただ一つ、鎧があった。

 広い訓練場の中で、真っ黒な鎧は異質な雰囲気を放っている。

「皆さん、あれがなんだかわかりますか?」

(あれは――、鋼の鎧だ。ちょっとやそっとの攻撃じゃあ傷一つつかないほどには頑丈な代物だけど量産が可能で主に軍人が使用しているようなものだけど、こんなところにあるものではないと思うんだが……。)

 ほかの生徒たちの中でも、何人かはそれに気づいた者がいるように見える。

「鋼の鎧です!」

 リージェが答える。

 さすがは優等生だ。こういう場合、わかってはいるが答えるのは気が引けるという人が多く、先生が仕方なしに行けそうな人を当てるというのが定番だ。そういう場合に限ってわからない問題で当てられることが多いから嫌なんだ。

 だからリージェのように先陣を切れる人間はとても重宝される。

 

「正解。ただ、ここでの訓練のためにちょっと特殊な方法で打たれた一品ですが……。今回はあの鎧にそれぞれ最高の技を使い傷をつけてみてほしい。もっとも、傷をつけられるかさえも通常の生徒なら微妙だが――、Sクラスのみなさんなら大丈夫でしょう。」

 なんとかテンションが安定してきたアルセン。どれが本当の彼なのかわからなくなるが、正直見てる側としては飽きなくて楽しい。

「殿下にかかれば、こんなもの粉々の粉末に成り果てるのがオチだな!」

 ジルフォンが誇らしげにつぶやく。それにリージェとエドガーも満足げにうなずいている。

(確かに、王家の呪いの効果もあって今の俺の力は前世に少し劣る程度。だいぶこの体にもなじんで、前世の技もいくつかは使えそうだ。一回使ってみよっかな。どうせみんな気づかないだろうし。)

 俺の頬が無意識に緩む。

「誰からでも大丈夫だから、とりあえずやってみてください。これはあくまでも自分の出せる最高の力を把握するためのテストなので、数値化はされません。」


「よーし、じゃあまずは俺から――」

「いえ、姫様は最後のトリなので下がっていてくださいませ。」

 意気揚々と歩み出た俺を、リージェが連れ戻す。俺は早く魔法を使いたかったのだが、そういわれてしまうと何も言えなくなる。

 なんてったって俺は王族。今期の新入生のなかで最も高い地位にある。それに誰も口にはしないが、王家の呪いの影響も考慮すると仕方がない。


「では僕がやりましょう。姫殿下、見ていてください!!」

 エドガーが一歩前に出ておもむろに空に手をかざす。そこに現れたのは巨大な斧。木こりが持っているものとは違い、優れた武器職人の手で打たれたミスリル製の斧に金のシンプルな装飾が施されている代物だ。

(あの文様……カナルディアの町で打たれたのか!あそこは国が直接集めた優秀な武器職人たちの町で、あそこに頼めば間違いないとまで言われる世界随一の製武具特区だからこそ、かなり高価なものなんだが――、さすがエドガーの家は金持ちだな。)

 騎士ならば誰もが憧れるカナルディア製の武器。それをあの年で持つというだけでも異質だが、それを軽々と持つ齢9歳の少年はもはや神々しいまである。


「――それでは、参ります!!!」

 

 エドガーが勢いよく飛び出し、走りながら詠唱を開始する。

「誇り高き力の神よ、今ここ我に力を分けてくれ給え!!斧炎激攻(オックス・アタック)!!!」

 斧使いならではの力強い攻撃が鎧に命中する。それに加え、斧の纏う炎は弧を描き、鎧をじわじわと侵食する。斧の直撃した部分は破損し、切り傷が大きく入っている。

「素晴らしいですね。斧の遠心力をうまく利用し、体重を乗せて技を繰り出すことができています。」

 アルセンが呟く。

 エドガーは不満足そうな様子で戻ってきた。どうやら全力を出し切れなかったらしい。

 9歳でスキルを扱えるというだけでもすごいというのに、しょんぼりしているエドガーはさすがSクラスといえるものだろう。

 

「次は私がいきますね。姫様、あの不甲斐ないエドガーと私の違いをとくとご覧くださいませ!!」

 エドガーとリージェが視線を交わせる。その中にあるのは、対抗心。

(いつの間にあの二人仲良くなったんだ?)

 

夜想曲序奏セレナーデ・オーバーチェア。」


 リージェの指先から放たれる見えない刃は、風に乗り鎧へと届く。その刃は音もなく鎧を切り裂き、真っ二つになった鎧の断面は違和感のわくほどにきれいだ。

(無詠唱――、その魔法を発動するのに慣れ切っていないとできない技。ピアノを譜面を見ずに演奏するのと同じで、体に焼き付けないとできない。俺との練習の成果かな。)

 なんだか誇らしい気持ちになる。

「どうですか、姫様!!」

「ああ、よかったよリージェ。いつの間に無詠唱を覚えたんだ?」

 そう言うと、リージェは嬉しそうに小さく笑い、エドガーにも視線をちらっと送った。エドガーは少し苦し気に視線を返し、二人の間にはバチバチと火花が舞うのが見えるのはきっと俺の幻覚だ。


 その後も順調にテストは進んでいった。さすがSクラスというべきか、大体の人が鎧に傷をつけていた。

 

 そして、俺の番がやってきた。

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