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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
ミューマ大陸・人間の領地ガヴィメズ編

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ヱーヴェの階段と聖魔戦争の準備

 広場に大勢の人が集まっている、全員強そうな冒険者だ。

 雪月花の3人と僕とカトリーヌは近くに居たがピーフェだけが居ない。

 目の前に石碑と古びた階段がある……セントスのヱーヴェの階段だ。

 階段を駆け上がって行く冒険者が次々に消えて行く。

「ここってセントスだよな?転移したって事はまさか聖魔戦争?」

 哲がそう呟いているが、僕たちも初めてで分からない。

 雪月花の3人は少し前にBランクとなったので説明を受け登録だけしていたようだ。


「お久しぶりです、幻妖斎殿、カトリーヌ様。そちらの3名も同行者ですね」

 背後にラルドが立っていた、気配が無いから近づいてきたことさえ気が付かなかったぞ。

 雪村が僕に耳打ちをしてきた。

「なぁ、この人ってセントスの治安維持責任者のラルドって人だよな?言葉遣いがかなり違うんだが流幻って実は影のお偉いさんなのか?」

「エリアマスターと知り合いなんだ。それでだと思う」

 ラルドってフォーゲルと僕とカトリーヌ以外には高圧的なんだよな……神だから普通なんだろうけど。

「内緒話はもっと小声ではないと丸聞こえですよ、鵜藤雪村様」

 初めての参加の場合は説明を受けた方が良いという事で、係員の所へ雪月花の3人とカトリーヌが案内された。

 参加しないと言うカトリーヌも一応と案内されたが僕だけは別の場所へ連れて行かれた。


「お前はチェインのために1000体の妖精を倒す必要があるな。最短で終わる最も簡単な方法を教えてやろう」

 人気のない場所とは言っても大胆だな、と思ったが神の力で音声遮断の結界を張っているそうだ。

 元の世界に帰られると困るらしいが、協力は惜しまずしてくれるのは僕にとっては嬉しい。


 エッセンに入るとそこで天使と悪魔どちら勢力に付くかを決める、決めるとその開催中は変更が出来ない。

 僕は光の風の上位妖精シルフの加護があるため光側、つまり天使に所属すると妖精の加護の力が上がる。

 不死者であっても通常の死亡程度の損傷を受けると地上に戻り次回の開催まで参加不可。

 この辺りの説明はピーフェから聞いたので理解している。

 

 追加で受けた説明はこんな感じだ。

 自分の勢力の妖精が地上の人類に対し攻撃して来ることは無い。

 誤爆などで自分の勢力の妖精を巻き込むと、その巻き込まれた妖精に限っては自分に攻撃して来るようになる。

 相手勢力の領地の奥に進むにつれて、体に負荷が掛かり進み過ぎた場合は地上に戻される。

 相手勢力の領地の奥に進むにつれて、自分の勢力の属性魔法の威力が大幅に強化される。

 神剣の威力はどちらの領地で使用しても制約を受けず爆発的な力を放つ。


「えっと、つまり光側に所属して誤爆に注意しながら闇側の奥の方に攻め込んでシルフの力を使用すれば良いんですか?」

「逆だ。闇の悪魔側に所属しろ。私が一度だけ力を貸してやる」

「聞いた話では闇に所属するとシルフの力が使えないと聞きましたが使えるんですか?」

「妖精の力など飾りにすぎぬ、シルフとの契約も今回の段取りの一部でお前の神剣がそれを可能にする」

 ラルドの教えてくれた方法は…………僕には考えられないし実行したくもない方法だった。


 ヱーヴェの階段からエッセンへ入る前にラルドが神の力で光の風の加護を一時与える。

 ラルドの光属性の風の神の力で闇の所属でも妖精には光の所属に見えるという事だ。

 そこで闇、つまり悪魔側に所属するがラルドの力で妖精は光の勢力と勘違いする。

 何食わぬ顔で光の領地の奥へ進むと中程に大量の妖精が居る待機所があるのでそこを目指す。

 待機所辺りに1000体は軽く居るので、そこで神剣を抜き振るだけで良い。


 僕が前にエッセンへ行った際に風の神ルドラの名を使いシルフを呼び契約させたのも妖精に僕が光側に着くと思わせる効果を狙っているそうだ。

 実際あの後かなり光の領地で話題になったようだ。

 神の力を借り仲間のフリをして奥へ進み安心している妖精を一気に倒せと言う、誰がどう聞いてもだまし討ちで実行できるわけがない。

 

「あなたは自分の味方を騙して倒させようとしているのですか?」

「お前の目的はなんだ?元の世界に戻る事ではないのか。妖精を倒すことは避けられない、今回はそのための最短で最良の手段だ」

「しかし方法が卑怯すぎます!」

「元の世界へ戻ればグリアとは無関係になる、グリアの住人や妖精にどう思われようが、どうでも良い事だ。目的のためだと我慢しろ」

「でもカトリーヌはグリアに居ます。雪村たちや師匠も――」

「夢の中の世界だったと思えば良い。お前は元の世界に戻っても残った者は皆が幸せに暮らしていると想像しておけば実際の顛末を知らなくても良いだろう」

「僕はそんな卑怯な方法をしたくない!自分の力だけで達成します」

「チェインで強化された肉体、神龍の力による無限の魔法、神の装具、シルフの加護、それに微力だが6賢者の加護も……か。お前が行使する力は全て自分自身の力ではない」


 言い返せなかった、地球に居た頃の僕では鍛錬しても今の動きは出来ないし、魔法はもちろん使えない。

 だからと言って卑怯な手は使いたくない、考えが甘いだけなんだろうが嫌なものは嫌だ。


「私とした事が言いすぎたな。お前に与えられた力を制御しているのはお前自身の力だ。どう使うのかは自分で決めれば良い。健闘を祈っている」

 

 ラルドは最後にそれだけ言って去って行った。

 あれ?賢者の加護は受けた事が無いしあった事すらない。

 それに今6賢者って言ったけど賢者って7人だぞ、神も間違う事があるんだな。

 

 みんなも説明を受け終わって合流した。

 カトリーヌは説明を受けて安全だと分かった上でも不参加に決めてたようだ。

 雪村たちは折角だから2回は参加するつもりと言っている。

 天使と悪魔の領地を安全に見るために2回参加する必要があるからという理由だ。

 景色を見たりした後は記念に妖精と戦って帰る。

 死ぬような傷を受けるのは怖いが聖魔戦争では死なないし、痛みも軽減されると聞いて覚悟を決めたらしい。

「本当は悪魔側には参加したくないんだけどな、一応自称と言っても勇者パーティで聖女も居るからさ」

「え?聖女は悪魔に付いたらダメなんて初耳ですわ」

「俺たちが元居た世界では天使は正で悪魔は邪ってイメージなんだ。もちろんグリアで違うのは知ってるけど……な」

 雪村が助けを求めるように目くばせをして来たのでカトリーヌに説明した。

 何となくは理解したようで安心した。


「俺たちは先に行くぜ、妖精の世界ってどんな所か興味があるからな」

 そう言って3人は一足先に階段を上って行った。

 カトリーヌに行ってくると告げて歩きだすと呼び止められた。

「あまり無茶はせず無事に帰ってきてくださいね」

「うん?聖魔戦争では死なないし、僕ってほら……不死だから大丈夫だよ」

「そう言う事では無いです……どんなに強くても心配なんです」

「分かった、無事にきちんと帰って来るから安心して」

 カトリーヌの顔が不安そうなのを見て、安心させるために言った。

 少し表情が明るくなったのを感じて、カトリーヌが参加しなくて良かったと思っている。

 何事もなく終わるという事は多分無理だろう。

 僕は彼女の方を振り返らないようにしてヱーヴェの階段を上って行く。

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