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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
ミューマ大陸・人間の領地ガヴィメズ編

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族長面会と歌

 翌日、僕たちは宮殿の控室に来ている。

 先に面会をしている人が居るそうだ、族長だと面会も多いんだろう。

 族長と面会の前に夫人のメグと会っている。

 同じ孤児院出身という事もあって雪村たちとは面識があるようだ。

 アリエス院長を治療したピーフェに直接お礼が言いたいという事で先に面会している。


「メグ様、少しよろしいでしょうか?」

 兵士がメグを呼んだのでそろそろ族長と面会かな、と思っていた。

 少し話した後にメグが女の子を連れて戻ってきた……あれ?この女の子は昨日の子?

「あ、やっぱり昨日のお兄ちゃんだ」

「確かクレアさんだったかな?無事でよかった」

 まさか族長の子供と思っていなかったので驚いた。

「娘を助けて下さった方が幻妖斎殿だったとは。昨日は護衛隊長のグリースが休養日で居なかったので危ない所でした感謝いたします。」

 後ろに控えている厳つい顔の人がグリースと言う護衛隊長のようで、見るからに強いのが分かる。

「このお兄ちゃんがね、私を誘拐しようとした悪い人を倒してくれたの。グリースより強いよ」

 その言葉に反応したグリースが手合わせを申し込んできた、僕の力を確かめたいのだろう。

 強い人と手合わせするのは嫌いではない、受けようとしたが珍しくカトリーヌに猛反対された。

 旅の疲れがあり婚約者も心配するのでと言う理由で断ったため納得してくれた。

 後で聞いた話だが、護衛隊長は宮殿でもっとも強い者が選ばれるが一介の冒険者に負けたとなると解任される可能性がある。

 娘のクレアの護衛がおろそかになってはマズい、という事だったようだ。


「お礼にお歌を聞かせてあげる、いつでも君の声聞けば僕の心、落ち着くで――」

「クレア、お歌は後で歌いましょうね」

 メグが歌うのを止めさせたがクレアが歌い出した曲は聞き覚えがあった。

 僕の好きな曲調だからメロディーラインは覚えていたので口ずさんでいたらメグが僕の顔をじっと見ている……上手くないし耳障りだったかな?

 族長との面会準備が出来たと兵士が告げに来た、雪村たちは宴の報告書をかくと言って別行動だ。

 謁見の間に向かう通路で見るからに魔法使いと言う感じのローブを羽織った老人とすれ違った。

「今すれ違った人が僕たちの前に面会してた人かな?」

「え?誰の事ですか?」

 カトリーヌに話したが見ていなかったようだ。


 謁見の間に通された、結界のある窪みを探したが見当たらなかった。

 ガヴィメズにあったので人間の領地両方には無いんだろう。

 ルルド・レイモンド族長は大人しそうだが鋭い眼の青年だ。

「今さっき報告を受けたが我が娘の危機を救ってくれたそうだな。流幻妖斎とその妻カトリーヌに感謝し歓迎する」

 妻ではないんだけど否定しなくても良いかなと思っていたらカトリーヌが婚約中と訂正してくれた。

 僕が異世界人である事と機関に向けて情報を集めている事を伝えた。

 その後は儀礼的な面会が終わり、ルルドは質問があれば答えると言ってくれたので質問をする。

「ルルド様は賢者や大賢者について何かご存じの事はありませんか?」

「大賢者様は分からないが、賢者ノーリム様であれば先ほど面会が終わり帰って行かれたぞ」

「もしかして、さっきすれ違ったローブの老人かな?」

 僕の呟きにピーフェが反応して答えた。

「やっぱりそうか。魔法で姿を隠していたからな。カトリーヌや兵士には見えてなかっただろ?俺っちと幻妖斎だけに見えていたようだぜ」

「魔法?宮殿内は魔法禁止結界があるよね、何かの間違いじゃない?」

 僕の耳元にピーフェが飛んで来てこっそりと呟いた。

「賢者は守護する宮殿内では魔法が使えるぞ?一応これは族長も知らない可能性があるから秘密にしておけよ」

 ルルドは、賢者が次回来た時に僕が会いたいと言っていたと伝えてくれると約束してくれた。

 

 謁見の間を出て帰ろうとした時に僕だけ別室に呼ばれる。

 カトリーヌとピーフェは先に帰ってると言って宿に向かったようだ。

 何か失礼な事でもしたかな?

 急に僕だけ呼ばれて少し不安になるが、部屋に居たのはメグだった。

 中に入ると兵士に誰も入って来ないようにと指示をだす。

「あなたに聞きたい事があります、先ほどの歌を何故知っていたのですか?答えなさい」

 態度がさっきまでと違う、焦りや不安に喜びが混じっているような感じの話し方に思える。

「以前聞いたことがあります、歌詞は分かりませんがメロディーラインは覚えていました。問題のある歌なのですか?」

 本当に歌詞は覚えてないし、そもそも問題がある歌なら娘のクレアに教えるはずはない。

 彼女は少し言葉を選ぶように、ゆっくりと丁寧に説明してくれた。

 

 あの歌はミューマ大陸の亡くなった人間族長リリース・レイモンドに当時はまだ冒険者だったテイルが送った歌なのだと言う。

 リリースは美声で『その声で人の心を和ませる』と言われるほどだった。

 よく街を視察していた彼女が任務で滞在していたテイルに一目惚れをして交際が始まった。

 しばらく交際が続いたがテイルは愛情表現が苦手で、リリースは好かれていないと感じ身を引こうと思っていた。

 会えなくなった寂しさと、自分の気持ちを歌にしてテイルがリリースへ贈り結婚を申し込んだそうだ。

 この歌を切っ掛けで結婚したため2人は大切に歌っていたと言う。

 リリースは年下のメグを可愛がっていて仲が良く、歌をよく聞かせて貰っていた。

 彼女の死後はテイルも歌う事が無くなったと言う。

 宮殿内部の人は歌を覚えて居るかもしれないがテイルが悲しむからと言って誰も歌わなくなった。

 その歌を僕が知っていたので、何故知っているのか気になったようだ。

 

「誰が歌っていたのかは分かりませんが、テイルさんでは無いですし宮殿の中でもありません。長く旅をしているので何処で聞いたのか正確には覚えてなくて……すいません」

「いえ、謝る事ではありません。リリース様はお優しい方でした、どこかで誰かが歌っていたと言う事が嬉しくて。また耳にする事があれば、貴方も大切な人の事を思い出してくださいね」

 用件はそれだけだったそうで、宮殿を出て宿に向かっている。

 好きな人に歌を贈るなんて僕には出来ないのでちょっと羨ましい。

 カトリーヌに僕の気持ちを伝えるには……態度より言葉が良いのは分かっている。

 でもちょっと恥ずかしさが勝ってしまうのは、僕の彼女への気持ちが強まっているからだと思う。

 

 宿へ着くと雪村たちも帰っていた。

 食堂でお互いの、この後の予定を話したりしていた。

 僕とカトリーヌとピーフェは小人領へ向かうため、ガヴィメズへ戻り準備をする。

 雪月花の3人は千崖谷を見に行きたいのでドワーフ領ヴィルゲータの東の地へ向かうそうだ。

 フォーゲルも険しい所って言ってたけど何かあるのかな。

「千崖谷って何かある場所なの?」

「ただの崖みたいな山らしいけど、行ってみたいからさ。体の動く若い今のうちに行く方が楽だろ」

「あの山に神の龍が住んでるって噂もあるし。噂とか伝説とかワクワクするんだよ」

「2人が行きたいって言うし、どんな山か見るだけなら興味はあるからね」

 神の龍なら住んでる場所知ってる……とは言えないし、シュバイツはずっと岬に居ると思うので別の龍が居るのかな?

 千崖谷って山と言われてるけど、なんで谷って名前なんだろう?

 千崖山と言われないのが気になったので時間が出来たら僕も行ってみようと思う。

 

「僕も少し落ち着いたら行ってみようかな。確かに見てみたい興味はあるからね」

「私もちょっと見てみたいですわ」

「2人ってまだ結婚しないのか?まぁ、千崖谷なんて新婚旅行で行く場所でもないんだろうけどさ」

 大陸間転移はあまり使えないので、シルマまで飛んでセントス経由でミューマ大陸に入る。

 雪月花の3人も一緒にシルマへ転移を勧めたらお願いされたので明日シルマへ向かう。


「あれ……なんだこれは……」

 不思議そうに話す雪村の方を見ると体が光っている、哲とシンもだ。

 僕とカトリーヌの体も光っている。


 その光が少し強くなり、眩しさで視界が飛んだ。

 けっこうな人数が居るのだろう、周りがざわついている。

 視界が戻った時、僕たちは別の場所に居た。

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