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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
出会いと修行編
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エルフの神官との出会いとウェイズとの再会

 激しい音がする場所に着くと石像とギガントグリズリーより少し小さい4体の熊の魔物が戦っていた。

 かすかに笛の音色が聞こえる、風の音ではない。

 魔物が襲い掛かるが石像はビクともしない。

 石像が叩きつけたり蹴ったりを繰り返し魔物は弱っているようだ。


 蹴り飛ばされた1体が近くに飛んで落ちた、僕に気が付いて襲い掛かってくる。

 剣を抜き急所を一突き、石像に攻撃されて弱っていてすぐ倒せた。

 ほかの3体も倒し終わったようだ……重要な問題が1つ。

 この石像って魔物なのか?熊の魔物を倒した後、全く動かなくなった。


 木の上から一人の女性が降りてきた。重力無視してるな……魔法か?

 とがった長い耳に緑のロングヘア……エルフだよね、想像してたまんまだ。

「驚かせてしまったかしら、強き人の子よ。ケガはありませんか?」

「大丈夫です、魔物も弱ってましたし、この石像は魔物ではないのですか?」

「この子は魔物ではなく森の守護像のゴーレムです。もし見かけても触るのは良いですが壊さないようにお願いしますね」

 ニッコリ微笑みながら言われたけど熊の魔物が傷1つ付けられない石像を壊そうなんて、さらに森の守護像ならなおさらだ。


「この子たちはエルフ族の神官のみが操ることが出来るのです」

 フルートのような笛を吹くとゴーレムは台座の上に移動して止まった。

「マーダーベアの群れが出たと報告があり討伐に来たのです、誰にもケガが無くてよかった。私の名前はサリエ。エルフ族の神官です」

「僕は流 幻妖斎、人間です。ペリエスタに向かっている途中で音がしたので心配で見に来ました」

「ご心配をおかけしました。街道を行けばペリエスタまで3-4時間です」


 あと少しだなと思っていると僕の倒した魔物もサリエが引き取っても良いかと聞かれたのでどうぞと答える。

 森の中に魔物の死骸を放置するとさらに強い魔物が生まれる可能性もあるそうだ。

「あなたに森の加護がありますように」

 両手を合わせて祈るように言われた次の瞬間、光に包まれるようにサリエと魔物の死骸が消えていった。

 初めて見たけど転移魔法なのかな?使えると便利そうだな。

 オーラのための魔法だけど今後のために少し学んだ方が良いかな?と思いだした。


 街道に戻り歩いていると後ろから声をかけられた。

 ウェイズだ、シェスとアイゼンももちろん一緒。


「数年ぶりか?しばらく見ない間にしっかり鍛えられたようだな、かなり強くなったのが分かる」

 ウェイズが僕をまっすぐ見つめて言った。

 

 闘気を見る感じではシェスとアイゼンは僕と同じくらいの強さだろう。

 そういえばウェイズって強いのかな?闘気を全く出してないのだ。


 気になったので試してみたくなって闘気をウェイズに向けてみようとした……瞬間。

 シェスとアイゼンが構えて静かな口調で言う。

「いくらお前でもマスターに敵意を向けるなら全力で排除する」

 僕は即座に冗談だといって誤魔化したがもうやめよう。

 この2人の反応の速さは闘気がどうのではない天性の勘や実戦経験からくるものだろう。


 ウェイズが取りなしてくれたので無事収まった。

 旅の目的を聞かれたのでオーラの習得のためペリエスタに基礎魔法学を学びに行くと伝えた。

「確かにオーラと魔法は似たようなものだからの、魔法は使える方がいろいろ便利でもあるから良い機会じゃな」

 そういった後ウェイズがしばらく考えて思い出したように言ってきた。

「魔法と言えばお前に最適な者がおるぞ、ここから少し離れているが魔法に関してはワシより上で右に出る者は居ないだろうな」


 そんなすごい人が?いや、そもそもワシより上と言われてもウェイズの魔法見たことがない……。

「旧知の仲じゃから紹介してやるぞ、ちょっといろいろ変わり者だが魔法の実力は確かじゃ」

 ウェイズの旧知の魔法使い……魔女か?頭の中でトンガリ帽子のお婆さんが窯を混ぜているイメージが浮かんだ。

「魔法の基礎から各種族の歴史まで幅広く熟知しているし、妖精や神々についても詳しいはずじゃ」

「妖精や神々?普通に見ることが出来るんですか?」

「妖精はまだ見たことないのか?たまに見かけることがあるし定期的に門が開いて妖精界へ移動できるぞい、神は最近地上で見ることはないのぅ」


 実際、この世界の事や常識ほとんど知らないし異世界人だとバレるとよくないと言われた。

 グリアの常識を知らな過ぎてエルフの街で学ぶのも問題が起きそうだ。

 ウェイズの知り合いなら異世界人でも気にしない人かもしれない。

「ぜひ紹介してください。それとこれはお借りしていたお金です」

 借りていたお金とともにユベリーナで購入した金平糖を数袋渡した。

 

 少し分かりにくいところなので入り口まで案内してくれるそうだ。

「アドリンスとルギードのエリア境で街道からかなり離れていて訪れる者も皆無の場所じゃ」

 アドリンスって何?と思ったら人間の国の名前だそうだ、国の名前がアドリンスでユベリーナは国内の領地の名前らしい。

 この辺りもいろいろ聞いて纏めておかないとな。


 目的地までは4-5日かかると言われた。

 街道から外れると魔物をちらほら見かける。

 警備隊が組織されていて街道付近の魔物は討伐されるそうで街道から離れると危険が増すそうだ。

 

 寝る前にシェスとアイゼンはいつも手合わせしている。

 切磋琢磨できる仲間がいつもいるのは羨ましい。

 焚火の前で2人を見つめる僕にウェイズが聞いてきた。

「暇なら食後の運動でもどうかね?疾風にどこまで鍛えられたか見たいしの」

 断る理由もない、逆に願ってもないことだ。猛者集団レグリアのトップの実力を見せてもらおう。


 シェスとアイゼンは手を止めこちらを見ている。

「尾綿の得意な武器を使っていいぞ。真剣で良い、本気でかかってくるのじゃ」

 短い間とはいっても武神と言われた師匠に教えられ少しは認められた自負もある。

 ウェイズは剣を抜きいつでも良い。と言うが闘気を出していない。

 だが良いと言うからには良いのだろう。多少の傷ならポーションで回復できる。


 短刀2本で舞うように攻める。速さにも少しは自信がある。

 年寄りが剣1本で防ぎきれるわけがない……そう思っていた。

 キンキンキン……まったく当たらない。

 1歩も動かず片手の剣だけで全て打ち払われる。

 闘気を出してないのは僕程度に使う必要がないからだろうと実感した。


 せめて一発だけでも、と思った瞬間、すごい力で両手の短刀が同時に撃ち落された。

「これくらいで良いじゃろう。強くなったがまだまだじゃ。もっと修行していつまでもこの世界で生き続けられる強さを手にするのじゃ」

 自分の力不足を実感させられながらも楽しい。もっと強くなりたい。


 ウェイズとの手合わせを思い出しながらしばらく一人でイメージトレーニングをして夜が更けていった。

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