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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
ミューマ大陸編

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金色の髪の女剣士

 ブラストマンモスは僕たちに向けて突進を繰り返してくる。

 体が大きいので避けるのは容易い。

 左右の前足を切りつけたら動きが止まり、鼻を大きく振り上げ叩きつけてくる。

 もう一度、鼻を振り上げたと思ったら凄い突風が吹いた。

 鼻息でこれだけ強い風が、と思ったら小石が散弾のように飛んでくる。

 最初に叩きつけた時に砕けた地面の意思を吸い込んで飛ばしてくるようだ。


 カトリーヌの悲鳴が聞こえたので目をやると怪我をしている。

「飛んで来た石がかすっただけです、大丈夫」


 あの散弾攻撃を連発されると回避するのが大変だ。

 新しく買った短刀にオーラを纏わせて一気に近づいて翔雷を撃つ。

 鼻を切断されてバランスが取れなくなったのか横転した。

 そこにカトリーヌが強烈な一撃を加えて倒した。


「オリハルコンの武器って攻撃力が凄く上がりますね。体への負担も少ないです」

「格闘武器で相性が良いのもあるかもね。ところで、さっき変な声が聞こえなかった?」

「変な声ですか?私は何も聞こえませんでしたよ。周りに人も居ないし気のせいじゃないですか?」


 あの時だけだったし気のせいか、ブラストマンモスが走ってくる風の音だったのかな。

 倒した後に出ていた、皮と牙を回収して4層へ移動する。

 いきなり雰囲気が変わって地下迷宮と言う感じだ。

 壁や通路があるので見通しも悪い、不意打ちにも気を付けておく必要があるな。

 

「地図があって助かりますね、昨日決めた道順で進むんですよね?」

「そうだね、道順は少し遠くなるけど無駄な戦闘は避けたいから、それが良いかな」

「今回は仕方ないですね……」


 実は昨夜、道順を決める時に少し揉めた。

 カトリーヌは宝箱がある部屋やトラップなどいろいろ探索して見たかったようだ。

 時間が限られているので僕は早く移動したいと言ったら珍しくプリプリ言われた。

「エルバート族長との約束だからね」

 僕のこの言葉で納得はしてくれたようだ、正直いうとダンジョンでの宝探しや探索は僕も興味があったが今回は仕方がない。

 遅れたりすると師匠や轟鬼にも迷惑が掛かると困る。


 この階層から魔物の種類が変わっている。

 4層目は主にゴブリンとオークだ。

 オークって豚みたいなやつだと思うが見た事ないので、少しだけ興味はある。


 地図のおかげで戦闘はかなり回避できているが、どうしても徘徊している魔物には遭遇する。

 オークにも遭遇したが想像した感じの姿でちょっと興奮した。

 ゴブリンより大きく力はあるが動きが遅いので閃でスパッと倒していく。

 迷宮タイプは閉塞感があってあまり好きになれない。


 点在するセーフエリアで休憩や睡眠をとりながら、ボスの前まで来た。

 見覚えがある敵……ゴブリンキングだ。

 1人の人間がたたずんでいるので注意して近づくと、こちらに気が付いて話しかけて来た。

 

「私が今からボスと戦うところだ、悪いが待っていてくれ」


 後ろ姿では男かと思っていたら声が女性だ、金髪のショートカットで片手剣を持っている。

 カトリーヌでも1人では勝てないと言っていたが大丈夫なのか?

 ボスを倒すと確か結構な時間待たないと駄目と聞いたから彼女に聞いてみる。

 

「5層に進みたいのですが戦利品は必要ないので同行させていただけませんか?」

「良いよ。ただし追加で条件がある。ゴブリンキングに手を出すな、私が単独で討伐する」


 こちらを見て、そう言ってきた。

 同行するなら僕たちが倒せ、と言うなら分かるけど手を出すなって珍しいな。


「分かりました、強化魔法が使えますが補助もしなくて良いのですか?」

「あぁ、必要ない。私があの程度の魔物に負ける想像が出来ないからな」


 凄い自信家だな……僕たちは了解して同行する事にした。

 カトリーヌが心配そうだけど、危なくなったらサポートするつもりだ。

 

 女剣士は剣を抜き魔法を凄い速さで連続で唱えだす。

 確かこの詠唱は、身体強化魔法と移動加速魔法、最後のは雷の魔法剣だな。

 剣から黄色の稲妻が美しく迸る(ほとばし)


「お前たちは危険だから、ここから動くな」


 一言だけ言い残しゴブリンキングの元へ走って行く。

 剣を横に振り抜き、身体強化のおかげか高く飛び上がって、そのまま剣を振り下ろす。

 十文字に切断されたゴブリンキングは一瞬で倒された。


 戦利品を回収した女剣士は、呆気に取られている僕たちに、行くぞとだけ声をかけて階段へ向かって行く。

 階段の途中の休憩エリアで、少し話したが女剣士はここで帰ると言っている。

 名前を聞いてみたが教えてくれない。


「私は冒険者と慣れあう気はない。もう会う事もないだろう、忘れろ」


 それだけ言い残して装置を作動させ帰って行った。

 あの強さがあるなら各地の武闘大会でも優勝できそうだけど見た事が無いし、カトリーヌも知らないと言っている。

 ダンジョンで生計を立てている人も結構いるそうだが、そんなレベルの強さじゃない。

 気にはなるが敵意も無い様子だったから、今はとりあえずダンジョン攻略だ。


 しっかりと睡眠と食事をとって準備をする。

 次の5層目は初体験で難関のアンデッド系の魔物が居るからだ。

 

 アンデッド系魔物には光か炎属性で倒すのが効率的だが、その名の通り死んでいるので倒すのが大変なのだ。

 首を刎ねても動くため体内にあるコアを破壊する必要がある。

 コアは基本的に心臓の位置か頭部にあり破壊すると灰となって消えるそうだ。

 死者を魔法で操りアンデッド化は出来るがグリアでは禁忌魔法に指定されているため『基本的に』ダンジョンでしか見かけない。

 

「ライオネルクローに光と炎属性を付与しておくけど、無理しないよう慎重に行くよ」

「多属性の同時付与って、やっぱり幻妖斎様は魔法も凄いんですね」

「こう見えても魔道の部の優勝経験もあるし、先生が優秀だからね」


 魔法付与しているときに言われてしまったが他属性同時って一般的ではないのか……気を付けよう。

 そもそもカトリーヌには話しても良いのじゃないかと思うが、シュバイツに止められてるから秘密にしている。

 彼女が魔法を使えないから、あまり何も言われないが魔法使いが居る時にやるとマズい事を結構してるんだよな。

 無詠唱だとか、超高威力だとか、他属性魔法とか……魔法使いが同行する機会の来ない事を願おう。


 スケルトンなどの骨系はカトリーヌの格闘で砕いてもらい、その他アンデッドウルフなどの動物系は短刀で切る事にした。

 唯一、僕にとって幸いなのはゾンビのような腐乱した人型の魔物が居ない事……情けないがちょっと怖いのだ。

 ライオネルクローの威力はすさまじく、スケルトンを殴ると骨が砕けていた。

 カトリーヌもアンデッドの相手はあまりしたくないようで戦闘を回避しながら進んでいったが生物を探知するようで、かなりの数を相手にしている。

 手に入れたアイテムは、骨、毒の牙、呪骨と需要がなさそうな物ばかり。

 点在するセーフエリアで魔法の掛け直しをしたりするが、この階層では他の人を全く見ない。

 次はダンジョンボスのベヒーモスだけだし、アンデッドのアイテムは需要なさそうだから仕方ないのかな。


 5層ボスの部屋の前まで来た。

 2人で戦闘方法と作戦の最終確認をする。

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