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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
ミューマ大陸編

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ひったくり事件のドワーフ

 イルゴルの街は思ったよりも大きかった。

 街の中は当たり前なのだけど、ドワーフだらけで違和感がある。

 人間としては普通位の身長だが僕より高い人を見ない。

 これって宿とか入れるのかな?

 不安だった建物の大きさも杞憂であった。

 

 セントス経由で交易をするため、いろんなお店と言うか倉庫が並んでいる。

 武器を見ようと思っていたけど個別で売ってる感じじゃないな。


 倉庫の近くに居る商人に声をかけて回る。

「武器を作ってもらいたいのですが、腕の良い職人ってどこに行けば会えます?」

 知らない別種族に突然聞かれているからか、「知らない」「他を当たれ」と追い払われる。


 その中でも数名の人から挙がった名前が「首都の鍛冶屋ロイド」と言う人物だ。

 武器の制作ならロイドが最高だ。と教えてくれた人が口を揃えて言っていた。

 やはり腕の良い職人は首都に集まるのかな?

 族長に会うため首都へ行くので同じ目的地だ。


 街と街の間は乗合馬車が不定期で運行されているそうだ。

 不定期なのには理由があり、魔物が出るため馬車に被害が出て修理する時間が必要になるという。


 行き方は東に向かえば良いだけだ。

 今いるイルゴルからメーザラと言う街を経由して首都マジアルに着く。


「魔物が出るならギルドに馬車の護衛依頼が出てるんじゃないですかね?」

 カトリーヌが言ったのでギルドに行って確かめにいく。

 メーザラの街までの馬車の護衛依頼が出ていたので受けた。

 徒歩での護衛依頼は経験があるが、馬車の護衛依頼って初めて受ける。


「馬車への損害は気にしなくて良いです、客の生命だけは守ってください」


 分かりました。と返事をしたけど馬車の損害がある前提って事だ。

 出発は翌日の昼前、東門に集合するように言われた。

 僕たちは今回メーザラ経由でそのまま首都へ向かう事にした。



 馬車は思ったより重厚で頑丈そうな造りだ。

 乗っている客の安全を考慮しているのだろう。

 メーザラに向けて出発をした。

 馬車の左右と後方に足を置くための板と振り落とされないための取っ手がある。

 護衛はそこに乗って移動するので歩くより、かなり早いと思っていた。

 実際は街道が悪路で揺れが凄いためあまり速さは出ない、というより出せないのだろう。

 途中、何度も客が「酔った」と言って休憩を挟む。


 魔物も何度か遭遇したがカトリーヌが全て倒していく。

 獣人で女性な上に格闘という珍しさから、乗っている人がジロジロ見ている。

 見るだけで話しかけてこないのは、個別依頼ではない護衛任務のときは護衛に話しかけない、と言うマナーがあるそうだ。

 護衛の注意が離れて他の人が危険になると困るからと言う。

 

 数日後、何事もなくメーザラに到着した。

 正確には結構な魔物と遭遇したが俗にいう雑魚だったので問題が無かった。

 ギルドの人が、馬車に被害が無いなんて驚いた、と言っていたのだけど馬車の護衛って低ランクの弱い人の仕事なのかな?


 報告が済んだので、そのまま首都に向かうか、一泊して向かうかをカトリーヌを相談していたら声を掛けられた。


「この後お時間ありますか?首都マジアルまで個別で護衛依頼をしたいのですが可能ですか?」

 乗合馬車に乗っていた、カトリーヌだけでなく僕の事もジロジロ見てたドワーフだ。


「えぇ、僕たちも首都に向かうので良いですよ。依頼でなく、ご一緒しましょう」

「個別依頼で費用も出します。あの時はお礼の品も用意出来ませんでしたし……」


 お金には困ってないし、道を知ってる人となら僕も安心だと思ったんだけどな。

 それに馬車の護衛ってギルドを通してるからお礼と言うか報酬はしっかり貰えてるけど?

 僕とカトリーヌが不思議そうにしているのを見て彼が話した。


「ほら、セントスでひったくりにあった時、助けていただいたコデルと言います」

「あ、あの時の方でしたか。すいません、僕たちもビックリして顔を覚えてなくて。取り返したのは僕たちでなく治安維持の部隊の方ですよ」


 お礼を言われて少し話した記憶はあるけど、ラルドがひったくりの手を切断した衝撃で正直、被害者の顔は全く覚えてない。

 仮に僕たちがあの場に居なくても結果は同じだったと思う。

 人間と獣人の男女なので、護衛へ来た時にすぐ分かったが例のマナーもあり話せなかったそうだ。


 グリアには乗合馬車のほかに貸し馬車と言うものもある。

 貸し馬車と言うのは、日本で言うレンタカーみたいな馬車になっていて、馬車を丸ごと借りることが出来る。

 もちろん結構な費用は掛かる。

 裕福な家系や大きめの商人などは専用馬車を持っているのが通例だ。

 娘のためにと馬車を用意した轟鬼に最初は親バカと思っていたが普通だと後で分かった。

 そう言えば最初に出会った時も専用馬車に乗っていたな……。



 用意されていた馬車は乗合馬車を小さくしたような感じで1人では大きいサイズだ。

 それでも一番小さいのだと言う。

 コデルと言うドワーフは悪路の馬車慣れしているのか全く酔ったりしない。

 それどころか寝ていた……この揺れでよく寝られるな。

 一人旅には慣れていて、どこでも寝ることが出来るそうだ。


「ゼルディア大陸から来たんですよね?冒険者さんですし、やはりダンジョン目的ですか?」


 晩御飯を食べ終わった後に突然聞かれた。

 首都の北側にベシコウと言うダンジョンの街があって獣の皮や爪や牙が多く取れるので冒険者に人気と言う。

 地上では絶滅した種類の獣の皮も取れるようで高額取引されている。

 族長に会うと言うのは伏せて僕は理由を話した。


「武器を探していて、良い職人だと多く名前が挙がったロイドさんと言う人に制作を依頼しようと首都に向かってます」

「あぁ、ロイドですか。私からもお願いしてみますが、かなり頑固なので急ぐなら無理だと思いますよ」

「頑固?人間には作らないとか、気に入った人にしか作らないとか、そういうタイプですか?」

「あ、いえ。種族は問題視してませんし、人物を見て決めたりもしないんですが……融通が利かないのです」


 そう言う頑固さでは無いなら何とかなりそうな気もする。

 さすがに種族で選ぶとかだと無理だとは思うんだけど。


「仕事が丁寧で見た目や切れ味も良く、現在活動している職人では間違いなくトップだと思います。そのため依頼も多くて個人が今から注文しても早くて10年はかかるかと……」


 そこまで待っても良いと多くの人が思うほどの腕前なのだろうが早くて10年?それは流石に遅すぎる。

 首都はもうすぐそこだし、ダメもとで行ってみるか。

 

「コデルさんってロイドさんと親しいんですか?」


 私からもお願いしてみる、と言うから大口の取引先か友人とかだろう。

 特注が無理でもロイドの造った短刀で良い物があればお願いしてみようかな。


「私の兄です。兄と私と妹の3人兄弟で優しいのですが、割り込みを許さない!と言う感じの頑固なタイプなので私がお願いしても優先的に作ってくれるか保証はありません」


 このコデルって、ひったくりされた時に助けただけなんだよな。

 命を助けたとかで恩人と言う訳でもないのに、兄だからと言って人気職人にお願いしてくれる程のこともしていない。

 正直な話、顔を覚えてないどころか、ひったくりの件すら覚えてなかった。

 また、いつもの質問をしてみた。


「コデルさんってひったくりから助けただけですけど、どうしてそこまで優しくしてくれるんですか?」

「あなたは『ひったくりから助けただけ』と言いますが、私はそれ以上の感謝をしています。詳しい話は……すいません」


 そう言うと彼は馬車の中に戻って寝る準備を始めた。

 セントスで起きた事件だ、場所が場所なので言えない理由があるのかも知れない。

 

 数日後、目の前には活気あふれる大きな街に到着した。

 ドワーフエリア、ヴィルゲータの首都マジアルだ。

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