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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
緩衝地帯セントス編

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シュバイツに会いに行った

 師匠に挨拶を済ませ僕は転移魔法を使った。

 向かった先はセントスではなく龍の岬の入り口にいる。

 岬の入り口にある2つの巨岩、これより奥へは転移できない。

 神力による結界が張られているためだ、ただ魔法自体は使えるので移動加速魔法を使う。


 岬の先端まで行くと石に座り海を見つめている子供が居る。

 シュバイツって普段から海を見ているけど何をしてるんだろう?


「お主がここに来るのは旅に出てから初めてだな。少しはグリアに慣れたか?」

「多くの人が協力してくれて少しは慣れてきました。チェインの解除はまだですが……」

「目的に向かい進む気持ちを忘れなければ焦らずとも良い。ここには何をしに来た?」

「ベヒーモスの時に見かけて師匠の所に行っていたので久しぶりに会いたくなって……」


 会いに来た理由を不意に聞かれて少し言い淀んでしまった。

 シュバイツには感謝していて恩人だと思っている。

 子供に見えるが神龍だ、。会いたくなったから来ただけなんだけど、あまり頻繁に会いに来るのは失礼なのかな?


「次に来るときは婚約者をつれてきて我にも紹介しろ。お主は特別だ、好きな時に来て良いぞ」


 ん?まさかシュバイツも考えが読めるんだろうか?

 ラルドが神は考えが読めると言っていたが神龍だから神なのかな。


「もしかして、人の心が読めたりするんですか?」

「我にその力は無い、しかしお主の考えなど想像するのも容易いわ」


 そんなに単純な思考では無いと思いたい。

 昔から感情が顔には出やすいと言われるから気を付けないと。


「ウェイズの居場所ってわかりませんか?探してるんですが足取りが全くつかめなくて」

「奴の居場所は分かるが教えることは出来ぬ。チェイン解除の助力になるのでな」


 そう言えばそんな事を言っていたな。

 チェイン解除と言うよりはポーチの封印の方が気になっているんだけど。

 一度会ってチェインを解除した後なら知りたい時に教えてやれると言われた。

 シェスやアイゼンの場所ならと思い質問したがもちろん拒否された。

 常に一緒に居るんだから当たり前と言えば当たり前か。



 まだ確認しておきたい事があった。

 貰った杖にオーラなどを付与すれば剣の代わりとして使えるか?ということだ。

 ラルドに壊れる心配は皆無と言われたが聞いておかく必要があると思って確認した。

 

 問題は無いそうだ。

 ただ、オーラはそれ自体が刃物のような物なので杖でも斬撃が出来る。

 しかし魔法剣は魔法を付与するだけなので壊れはしないが杖の場合は打撃になり効果が低くなると言われた。


 シルフと契約をして風の刃と言う技が使えると言ったら少し驚かれた。

 上位妖精が契約すること自体かなり珍しいようだ。

 契約できたのはラルドの命令だけど、そこは秘密にしておく。


 風の刃などの上位妖精と契約した者が使用できる特殊な技は魔法ではないので魔法禁止の場所でも使える。

 その場合でも普通は魔法禁止の場所では魔法は使えない。

 もし使用してしまうと、普通の人間ではない事がバレてしまうので魔法の使用にだけは注意しろと念を押された。


 以前も言われたけどカトリーヌは「グリアに不死者は昔から結構いる」と言っていた。

 別に普通ではないとバレてもそこまで問題ではないのでは?と思った。


「我から言わせると不死者は死なないだけで普通の人間なのだ。不死者で魔法が使える者もいるが禁止場所では使用できない。現在グリアに神龍の涙を飲んだ者で存在するのは3名だけだ」


 そう言う事か。

 魔法禁止結界内で魔法が使えると護衛対象の人にとってはこの上ない脅威になる。

 普通の人間ではない、と言うのは神や上位妖精の力を持つ者か神龍の涙を飲んだ3人の誰かという事になる。



「お主はセントスから東のミューマ大陸に向かうつもりだな?」

「はい。ドワーフと小人の族長に面会するのと武器の新調をしたいので、その予定です」

「人間の領地は東西の大陸の双方にあるのは知っているな?チェイン解除のため会う族長はミューマ大陸にある人間領の方に存在する」

「それは知ってますけど……?」


 西のゼルディア大陸の人間領に族長がいれば会いたいと思い僕も少し調べた。

 正確には両方の大陸に族長が居るが族長会議に参加する公式の人間族長は東に居るのは他種族でも知っていて有名な話だ。

 

「我から1つ助言してやろう。真実の中に混ざりし虚構、それに惑わされるな」


 どういう意味か分からないが覚えておこう。

 嘘に惑わされるなという事だと思うけど、何を聞いても「創造神からの制約があるため詳しくは言えぬ」としか答えてくれない。

 まさか、実は西の族長が本物でしたと言う事は無いよな?


「日も沈んでいくな、お主はどうする」

「僕はとりあえずセントスに戻ります。ミューマ大陸について調べて準備しておきたいのです」

「そうか。会いたくなればいつでも来るが良い。お主なら歓迎しよう」

 

 年齢は遥かに上でも外見だけ見ると子供なんだよな。

 結婚してる同級生にこれ位の子供が居るがシュバイツは子供らしさが無い。

 でも、話しをするときは僕の話を遮らず最後まで聞いてくれる。

 注意しておかないと時間を忘れて話していたこともあった。


 気が付いたら辺りはもう暗くなっている。

 シュバイツに挨拶を済ませて移動加速魔法で岬の入り口へと急いだ。


「さて、帰りますか」

 誰も居ないのに独り言を呟いて転移魔法を使った。


 ネーブルタワーの居室に戻った。

 フォーゲルは机に向かい書類などを確認しているようだ。


「早いな、数日は戻ってこないものだと思っていたぞ。師の要件はなんだった?」

「闘気のコントロールのやり方でしたよ」

「幻妖斎は短刀のほかに格闘も使うから闘気の扱いは重要だからな。カトリーヌはラルドに護衛をさせて街の宿に泊まらせている。もちろん無事だ」


 セントスに居る間は安全だろう。

 カトリーヌはかなり強いので暴漢程度は問題ないのはフォーゲルも分かっている。

 自身の夫人が殺害された過去もあるから心配して護衛してくれているんだろう。

 ラルドって風の神なんだよね、神に指示できるって普通に考えたら凄い事だよな。

 戦って勝ったりしたのかな?

 

「ラルドとフォーゲルって戦ったらどっちが強いの?」

「フッ、人型のあいつに一太刀当てるのが精一杯だ。神に勝つなど本当に可能なのだろうか?」

「僕は反応することも出来なかった。ラルドに指示してるから勝ったと思ってましたよ」

「俺がセントスのエリアマスターを引き受けた時にいろいろあってな……。まぁ気にするな」


 彼はあからさまに触れないで欲しいと言わんばかりの表情で言った。

 気にするなと言われると逆に気になってしまうけど流石に聞けない。

 引き受けたと言っているが確か武力でエリアマスターになったって轟鬼が言っていたような気がする。

 

 少し重たい雰囲気になったので話題を変えることにした。


「東の大陸ってどんな場所なんですか?」

「俺もあまり行った事が無いので詳しくない。力になれなくてすまんな」

「カトリーヌも連れて行きたいんですが通行は可能ですか?」

「それは問題ない、彼女はBランクだろう」


 通行許可証を貰ってはいたが冒険者のランクってセントスでも重要視されてるんだ。


「ゼルディア大陸よりも魔物が少し多いので気を付けろ」

「数日準備していろいろ調べてから出るようにします」


 フォーゲルは深く頷いていた。

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