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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
緩衝地帯セントス編

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妖精の世界とラルド

「お前は地球へと戻るため聖魔戦争に参加するんだろう?」


 フォーゲルに突然聞かれた。


「もちろん参加します。登録だけしておこうと思ってます。」

 登録しておけば開始される時に強制転移で来られるらしいし。

 

「それなら妖精の世界に一度行ってみてはどうだ?雰囲気が分かるだけでも本番での足しになるだろう」

「でも、聖魔戦争が始まってないと移動のゲートが開かないと聞きましたよ?」

「お前だけならラルドの力で移動できる。もちろん争い事は無しだがね」


 カトリーヌも来たそうだったがラルドの力では1人しか連れて行けないそうなので我慢してもらう。

 ヱーヴェの階段へと案内して貰うが石碑があるだけの広場に案内された。

 階段は聖魔戦争が開始されている間だけ現れると言われた。

 登録も石碑の台座に触れるだけで完了したようだ。


「あれ?冒険者ランクの確認とかは無いんですか?」

「お前がBランクなのは確認が取れているから問題ない、体裁上の確認だけだからな」


 実は登録は冒険者でなくても出来るそうだけど実力が無いと行っても無意味なので確認している。

 セントスは緩衝地帯なのでギルドから登録希望者のランク確認を頼まれているだけだそうだ。

 この階段自体が冒険者ギルドの出来る前から存在するのだから当たり前と言えば当たり前か。


「フォーゲル殿、カトリーヌをよろしくお願いしますね」

「フッ、街の案内でもして待つことにしよう、俺の連れに手を出す愚か者は居ないから安心して良いぞ」

「さて、転移するので幻妖斎殿は私の近くへ。なお、妖精の世界で私以外との会話は厳禁です」


 ラルドの近くに行くがやっぱり変だ、この人から気配が全くしない。

 転移陣も、魔法詠唱も無く気が付いたら見覚えのある巨大な樹の根元に居た。

 妖精が沢山いる。


「この樹って神樹トニミマーナ?」

「誕生の樹と言う名前だ、トニミマーナの形を真似て作られてはいるがね」


 ん?ラルドの口調が変わった感じがするな……。


「ここは聖魔戦争以外では人類が単独で足を踏み入れることが出来ない妖精の世界エッセンだ」


 そう言われたが僕は来てるんだけど。

 ピーフェはエッセンに帰ると言っていた、この世界のどこかに居るなら探してみようかな?



 ラルドはこの場所について少し説明をしてくれた。

 妖精界エッセンは長方形の形をしている。

 聖魔戦争時にヱーヴェの階段から転移すると誕生の樹の目の前の場所に来る。

 誕生の樹の真ん中に空洞があり空洞を見るように立ち左が光、右が闇の領地になる。

 誕生の樹を中心に半径50メートル程度は創造神により結界が張られていて全ての攻撃や魔法が無効化される。

 聖魔戦争が終わると人類は強制的に地上に戻されるので長期滞在は不可。


 張られている結界がヱーヴェと言う名前で、結界内に転移する階段なのでヱーヴェの階段と言うそうだ。

 結界は透明なので葉には地面で確認するしかないそう、結界内は地面が荒れ地になっている。

 各領地の最奥にはそれぞれ妖精王が居るが聖魔戦争でも王は倒せないので覚えておけと言われた。



 ラルドが少し領地を案内しようと言って左に、つまり光の領地に歩き出す。

「ちょっと良いですか?出来れば闇の領地に行きたいんです」

 ピーフェって確か闇を信仰してるって言ってたから闇の領地に行きたいんだけどな。


「私が闇の領地に入ると些細な事だが問題が起こる。そちらに行きたいなら聖魔戦争を待つんだな」

 言っている意味が分からないな、光は良くて闇はダメなのか。

 今回は仕方ないから従うしかない、仮に会えても会話できないんじゃ寂しいしね。


 妖精が数名近づいてラルドに話しかける。

「いらっしゃいませ、ルドラ様。今日はどのようなご用向きで?」

「この人間を案内しているだけだ。騒がせてしまったか?すまないな」


 妖精たちは軽く挨拶をして立ち去って行った。

 妖精が様付けするなんて普通にある事なのか?


「ラルドさん、妖精があなたの事をルドラ様と言ってましたがどちらが正しいのですか?」

「どちらも正しいぞ、私は風を司る神ルドラ。一応光属性の風の神になる。地上ではラルドと名乗っている」


 神様に会ったの初めてだけど、何故フォーゲルに敬語使ってたんだろう?

 もしかして弱い神なのか?


「フォーゲルには迷惑をかけているからな、敬意を表しているだけだ」

 

 あれ?独り言を呟いてしまっていたのかな。


「神は人類の心の中を読める。そして私は弱くない。チェインに必要だろう、試してみるか?」


 もしかすると勝てる可能性もある、手を抜いて協力してくれるかも知れない。

 確かに良い機会だし、カトリーヌは居ないから心配なく戦える。

 僕は軽く頷いて「お願いします」とだけ伝える。


「お前だけを連れて来たのはフォーゲルの頼みで、神の強さを見せるためと言っていた。場所を変えよう」


 何かを呟いたと思ったら何もない空間に移動している。

 真っ白すぎて目が変な感じだ。


「ここは神の力を持つものだけ入れる場所だ。グリアでありグリアではない場所になっている。」


 言い終わった後に一瞬、姿がぶれたと思ったらラルドは何かを持っている。

 それを無造作にこちらへ放り投げて来た。

 人間の手?


「弱いな、反応すら出来ぬか。期待外れだ。この場所は痛覚を感じなくて良かったな」


 僕の腕が肘から切断されている。

 痛みを感じないと言っても全く気が付かなかった、切られたことさえも。

 恐怖と言う感覚は無い。

 そんな事は問題無いが攻撃どころか動きがほとんど見えない。


 短刀を取り出して構える。

 ルドラは呆れたように言い放った。


「ふぅ、まだ人型のままなのだが、その壊れかけのゴミで何をする。神剣を何故使わない?」


 人型って言う事は本当の姿は違うのか?

 元の姿になればもっと強くなるという言い方だ。

 

「神剣ってポーチに入ってると言う剣ですよね?封印がされていて使えないんです」

「神力による封印か、これはウェイズの力だな。私が解いてやろうか?」

「いえ、本人に聞きたい事があるのです。神剣を普段使いは出来ません。このままでまだ良いです」


 確かピーフェが封印されていてウェイズなら解除できるかも?と言っていた装備だ。

 神剣なんて普通使わないし、実用的に使える短刀を手に入れたくて後回しになっている。

 仮に神剣があったとしても動きが見えないのでは意味が無いと思った。

 封印されているには意味があるだろう。

 

「フォーゲル殿はラルド様が神様なのは知ってるんですか?」

「知っているよ。私はグリアの神でお前の世界の神ではない。『様』など無しでラルドと呼ぶことを許そう」

「でも……」

「この先、私の正体を話したり様付けで呼べばお前の愛する者の命を貰う事にする。ルドラの名も口にするな」


 静かな威圧を感じる。

 これ以上は反論しただけで問題が起こりそうだ。

 そうは言っても呼び捨ては出来ないので、ラルドさんと呼ぶことで認めて貰った。


 この後、「お前の力を見たい」と言われ木刀で攻撃と防御を見せた。

 ラルドは明らかに手を抜いて僕の動きを見ているだけだった。

 もちろん攻撃はまったく当たらなかったけれど……。


「神龍の涙も服用しているな、魔法を想像で使えると思うがこれを使えるか?」


 ラルドがそう言った後に魔法を使用する。

 魔法、と言えるのかこれ?

 大量のすさまじい大きさの竜巻と突風が広範囲で吹き荒れる。

 端が目視出来ない広範囲まで広がっている。


「ルドラブラスト」

 ラルドが使った魔法な名前だ。

 試しに使用してみる、一応は再現できた。

 それを見てラルドは納得していない感じで見つめている。


「まだ理を乱すような力は無いな」


 あまり使用するなと言われた、こんな魔法を使ったら大問題が起こるのは目に見えている。

 神の力を直接見ることが出来ただけで良かったと思うようにしよう。

50話を過ぎました。

後書きまで読んでいただき、ありがとうございます。


気に入ってもらえたらブックマークや評価などしていただけると嬉しいです。


これからもよろしくお願いします。

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