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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
出会いと修行編
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初めての戦闘


 どうやら少し前から山の麓に(ギガントグリズリー)と言うクマの魔物のつがいが出現していて討伐依頼が来ているそう。

 山に近くへ着くと魔物がいる方へ迷うことなく移動する。

 相手の気配を察知することで位置がわかるらしいが闘気を扱えないと無理と言われた。

 そこにデカいクマが2匹、大きい方はマイクロバスくらいの大きさがあるぞ……。

「あの2匹を倒しなさい、爪にはマヒ毒がある、頭を噛まれたら頭蓋骨も砕かれるので気をつけてな」

 そう言うと短刀を2本を麻痺を治す飲み薬を渡された。練習用の木刀ではなく刃が付いているものだ。

「危なそうになっても助けないのでダメだと思ったら逃げなさい、ただし逃げれば町に被害が出ると思ってやりなさい」

 討伐依頼が出るくらいだからどこかしらで被害がすでに出てるのだろう、覚悟を決めるしかない。

「大きい方がオス、小さい方がメスで近づいたらオスだけが攻撃してくる、オスといる場合メスは見てるだけでオスが倒されたら逃げるがメスも必ず倒しなさい」


 短刀を両手に持ち魔物に近づく。

 グモモ~と声をあげてオスが突進してくる、師匠が言うようにメスは何もしてこない。

 速いけど対応はできる、軽く横に避けて短刀を振ると魔物の横っ腹が切れたが怯まず僕の前で立ち上がり左手を振り下ろしてきた。

 後ろに身をかわし空を切った左手を切りつけるとグギャギャ〜と叫び声を上げる。

 少し可哀想になり手が止まる、次の瞬間僕の脇腹に激痛が走った。

(え?蹴り?)魔物の左足が脇腹に当たったようで肉が裂け流血していた。

 痛みと血を見た恐怖で動きが鈍ったようで魔物の動きがさっきより早く感じる。

 爪にマヒ毒があると言っていたのを思い出しもらった薬を飲む。

「その薬、効果が出るまで1分くらいかかるからの~。お前が倒せないと被害が拡大するぞ、大切な人を守ると強く意識して学んだことを思い出すのだ。優しさの意味を間違えるな」

 背後から師匠の声が聞こえて少し落ち着きを取り戻した。


 少し距離を取り息を整える。

 (優しさの意味を間違えるな) 師匠からよく言われている言葉だ。

 今はこの魔物を倒さなければ被害が大きくなる、結果的に誰かに非難されても……。

 体に鳥肌が立つ感覚に襲われゾワゾワした後、全身が温かくなっていく、少し体が軽くなって麻痺も解けたようだ。

 僕の姿を見た師匠が呟いた「やっと出発点まで来たか」

 後から聞いたら闘気が発現した瞬間だった……らしい。


 再び立ち上がり魔物が攻撃してきた右手を左手に持った短刀で受け流しそのまま一回転して遠心力を使い右手に持った短刀で相手を刺す。

 教えてもらった(陣風)と言う技だ、魔物の首筋に刺さった。

 その勢いのまま背後に回り込み心臓辺りを一突き、絶命したようだ。

 メスが逃げ出すが僕はそれを何もせず見ていた……。

 倒すのをためらったわけではない、体が動かなかった。

 背後にいた師匠がすさまじい速さでメスに追いつくと素手で倒した。


「ギガントグリズリーはBランクの魔物だ、初めてにしてはよくやった」

「メスのほうは倒せなくてすいません、体が突然動きにくくなって……」

「闘気の過剰放出で体に疲労が出たのだろう、これからコントロールできるようになれば良い」

「この魔物たちはどうするんですか?」

「お前確かマリスのポーチを持っていたな?それに入れて持って帰るとしよう」

 マリスのポーチってウェイズから貰った小型のポーチだよな?

 こんなデカい魔物2体も入るのかな?

「持ってますけど使い方がわからなくて」

「上側のポケットから物を入れると自動鑑定してくれる、取り出しは左右の口からで左手側からは飲食可能なものが、右手側からはそれ以外が出る」

 とりあえず試してみようとギガントグリズリーをポーチに入れた、ポーチの入り口に入れたい物の一部を振れればスルッと入るようだ。


「体は動きそうか?日が暮れる前に家に戻るぞ」

「まだ少し動きにくいですが歩けそうです」

 朝より確実に移動速度が落ちた僕のスピードに合わせてくれた。


 家に着いた頃には少し薄暗くなっていた。

「討伐完了を知らせておくか」

 そう言うと師匠が紙に何か書いて鳥の足に結び付けた。

 伝書鳩のようなもので手紙をギルドが見たら確認に来るらしい。

 本来なら街へ直接報告に行き報酬を貰うのが決まりで今回はギルドから直接の指名依頼のため例外だそうだ。


「初めての実践はどうだった?普段に比べて動きが硬かったな」

「熊が蹴ってくると思わなくて油断してました、血を見て少し焦って体が硬くなり動きが落ちました」

「魔物は常識では考えられないことをしてくる、常に油断しないようにしなさい、初回にしては良かった。及第点だ」

「そういえば闘気を使うとあんなに疲れるんすか?オスを倒して気が緩んだ瞬間に体が動かないほどの疲労がありました」

「闘気のコントロールが出来ていないからだ、闘気の発現が出来たからコントロールは徐々に慣れればいい」


 コントロールに慣れるまでどれくらい時間がかかるんだろうか?

 不安だ……。

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