表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
グリアの5種族 ゼルディア大陸編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/136

大会と会議

 武闘大会と言っても今回は魔道の部なので対人はない。

 種族によって重視する物は違うようでエルフだと魔道の部が評価が高いようだ。

 予選と本選が分かれている武術・総合の各部門と違って出場者が3組に分けられ3日間で行われる。

 マーサが言っていたように威力が数値で表示されるので素人にも結果が分かりやすいので人気なのだそうだ。


 控室に集まって審判員から説明がある。

 使用魔法に制限はないが打てるのは1発のみで決められたエリアから出てはいけない、自己強化は可能。と言うだけだった。

 質問があるので手を挙げて聞いてみる。

「1つの魔法から分裂する攻撃は大丈夫ですか?高威力魔法で観客に被害が及ぶことはありませんか?」

 観客の安全は守られてるのかな?魔法が逸れたりする可能性も全く無い訳でもないだろうし。

「マジックアローの様に発動時に複数出せる魔法は1本にしてください。1つの魔法から分裂する場合は問題ありません。武闘大会中は観客席に強力なシールドを張っているので被害は気にしないでください」

 100本の矢を出して攻撃はダメで1本が100本に分裂するのは大丈夫なのね。


 控室の全員がクジを引く。

 紙に書かれている数字で何日目の何番目に出るか分かるが見物人が多い2日目と3日目が参加者には人気なのだそうだ。

 もちろん1日目に出て数値が高ければ優勝でいつ出るかで優劣はない。

 僕が引いた番号は(3-30)と書いてるな。最終日の30人目という事で初日と2日目はやることがない。

 カトリーヌと大会でも見物しようかと思ったら初日以外は満席でもう席が取れないという事だったので初日だけ見物することにした。

 3日目は僕が出るという事で婚約者は関係者として招待できると言われたのでうれしい。


 開会が間もなくという事だったので宿に戻ってカトリーヌを誘った。

「デートで武闘大会と言うのも趣がないけど良かったら一緒にどうかな?」

 これって地球だと婚約者とのデートで総合格闘技の大会見に行かない?って誘ってる感じなんだよな。

 本人は結構喜んでくれているし、後から聞いたが大会観戦はデートでよく使われると言われた。


 今回の大会は、武術の部の後に総合の部があり最後が魔道の部になっている。

 最初の武術の部の予選が開始されたが以前僕が参加したシルマでの大会より人数が少ないな。

「獣人は武術の部が好きですからね、普通はこれ位の人数ですよ」

 そうなのか、でもこれ位の人数の方が見ている方は楽しいかも知れないな。

 舞台の上に10人が上がり残った1人が本選に行ける、これが6回行われて予選通過は6名だ。

 圧倒的な強さの人は居ないけどみんな結構強い。

 僕たち2人が「あの人が勝つ」と予想した人が不意に押し出されて負けた、乱戦だとこういう事もあるんだよね。


 総合の部はさらに人数が少なかった。

 武術と魔法が使える人って少ないだろうし仕方ないのかな。

 5人で戦う。これが6回行われる。

 これは期待外れだった、確かに魔法も使えるが中途半端なのだ。

 戦いながら詠唱したりするのでその間に攻撃されたりするので長い詠唱の魔法は使えない。

 試合開始前に強化魔法を使用してはダメなので正直見ていて弱い。

 カトリーヌに「総合の部はいつもこんな感じ?」と聞いたら「予選はいつもこんな感じですね」と言っていた。

 予選はという事は本選は違うのか。興味があるけど明日は席が取れてないんだよな。


 魔道の部は初日は25人だ。

 舞台の真ん中に木偶が置かれていて離れた所に丸が書いてありその中から撃つようだ。

 順番に魔法を撃っていく。

 見るまでは魔法撃つだけなのを見て楽しいのか?と思っていたけど意外と楽しい。

 大きな岩を落としたり、竜巻を出したり、水の柱が出たり結構派手なのだ。

 普段魔法を見る機会のない観客が大盛り上がりになるのは分かる気がする。

「皆さん詠唱がずいぶん長いですね、幻妖斎様はもっと早いのに不思議です」

 そもそも僕の詠唱って雰囲気出すためで無詠唱でも可能なんだけど、いろいろマズいので唱えてるだけだ。

「修行の仕方ですかね。僕の魔法の先生は優秀なのです」

 とりあえず誤魔化しておく。

 ただ、シュバイツの所に居る間に魔法に関する知識はかなり頑張って学んだので学問的な事は問題がない。

 初日の最高点は1200点だったが高いのか低いのかが分からない。

 ただ、1200点と出た時に会場が盛り上がっていたので低くは無いのだろう。


 昼前から開始された大会は夕方過ぎに終わった。

 会場から帰る人並みはすごく食事できるお店はどこも満席で大繁盛だ。

 僕たちは宿に帰った。

 

 魔道の部以外は予選だったからと言うのもあると思うが正直な話、全体的にレベルはあまり高くない。

 前回が獣人メインだったからかも知れないが……。

 カトリーヌにそれを言ったら「シルマの大会は少し特殊ですからね」と言われた。

 武闘大会は通常、各国の部隊に所属しているものは参加できないがシルマのみ認められているのだという。

 予選から上がってくるのが2名だったのもその理由らしい、通常は予選から6名でシード2名という事の様だ。

 各国に闘技場は2~3か所で1か所は首都にある、首都の闘技場のみ部隊所属が出場可能。

 シルマが特殊なのは大厄災の復興で追加されたためステルド(獣人の国)だけ闘技場が4か所ある。

 初期の頃は復興を祝う祭りもかねていたそうでシルマのみの特例は族長会議できちんと認められていると言う。


 族長会議……?

「年に一度、5種族の族長が緩衝地帯セントスに集まり殺し合いを無くすために種族間で取り決めや懸案事項を確認し解決するための会議ですわ」

 この会議のおかげで昨今は大きな戦争などは無いようだ。

「あれ?グリアって確か、人間・エルフ・ドワーフ・獣人・小人・亜人の6種族だったよね?その会議にどの種族が参加してないの?」

「参加してないのは亜人族ですね、人間とのミックスで生まれた比較的新しい種族なので認知されてはいますけど国が無いため族長が居ないんです」

 詳しいね、と言ったら「こう見えても前族長の娘ですし有名な会議ですわ」と微笑みながら言われた。

 毎年開催と言うと僕がグリアに来て2回は開催されているはずだけど存在自体を初めて知ったな。

 ほぼ隔離状態で修行や勉強していたから仕方ないか。


 その日にセントスへ行けば5種族の族長に会えるのでは?と思ったが無理だと言われた。

 事前に日時の通告があり族長のみが大賢者と名乗る存在に強制転移させられるので他の者は入れないし会議が終わると元の場所に戻ってくるという。

 大賢者?チェイン解除に必要な条件で大賢者に会うがあったな。緩衝地帯セントスに何か鍵があるのか?

「父の話では大賢者はその場におらず場所がセントスかどうかも不明で会議の内容や他の族長の顔や声は覚えているがどんな場所だったか思い出せず一切記憶がないと言ってました」


 静かに聞いていたピーフェが忠告してきた。

「その話が本当なら関わらない方が良いぜ。人間や妖精に出来るのは記憶の封印程度で記憶の部分消去は神の領域だからな、大賢者ってやつは神か神の力を行使できる人間だ」

「でも、記憶の封印か消去かは分からないんじゃないの?」

「封印されていたら会議の内容も覚えていないはずだ、場所や背景だけ思いだせないならその部分の記憶だけ消されているという事になるんだよ」

 元の世界に帰還するために関わらない訳にはいかないがピーフェがそこまで心配するのだから細心の注意をしないとな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ