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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
グリアの5種族 ゼルディア大陸編

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大会本選

 今日は武闘大会の本選の日だ。


 本選の出場者はディール、マーク、アムザ、メルディス、ジェームス、フォーゲル、流 幻妖斎、カトリの8名。

 僕とカトリと言うのが予選突破者でフォーゲルと言う人は欠員が出たため前日に招待されたそうだ。


 試合のカードはクジ引きで決定された。

 第一試合、ディール vs マーク

 第二試合、アムザ vs カトリ

 第三試合、ジェームス vs 流 幻妖斎

 第四試合、メルディス vs フォーゲル

 第五試合、第一試合の勝者 vs 第二試合の勝者

 第六試合、第三試合の勝者 vs 第四試合の勝者


 舞台の上に参加者が並び開始を待つ。

 特徴的な衣装の男性が司会と審判をするようだ、部族の服なのかな?

「これより開会式を行います、本日は我らが獣王ダグラス様がご観覧になります。特別に一言いただけるようなのでお願いします」

 轟鬼が出てくると会場が割れんばかりに盛り上がり、全員が立ち上がって迎える。

「今回は急な観覧となり運営の者には苦労を掛けた。今回も強者ばかりで楽しみだ、健闘を祈る」

 挨拶が終わると参加者はそれぞれ待機するスペースに案内された、舞台の袖で戦闘が良く見える。

「第一試合のお二人は舞台へ。そのほかは各自の試合までこちらで待機してください」


 そして第一試合が始まる。

「第一試合はディール選手とマーク選手の対戦です。ディール選手の入場!」

 ゲートからディールが歩いて出てくる。

 舞台の真ん中に着いて手を挙げて歓声にこたえる。

「シルマの護衛隊長であるディール様、前回は惜しくも準優勝となりましたが今回は尊敬するダグラス様の前で優勝を目指しています」


「続いてマーク選手の入場です」

 ゲートから出ると小走りで舞台に上がりディールと握手を交わした。

「シルマ方面の若き街道警備隊長マーク様は初の参加です、街道付近の安全を守る戦闘力を見せられるか?」

 ディールの武器はナックルを使用した格闘主体でマークは片手剣を使用するようだ。


 開始の合図とともに距離をとって出方をうかがっているようだ。

「ディール様が相手とは言っても負けられない!」

 マークが距離を詰めて攻撃を開始する。

 片手剣を両手持ちにして振っているので早く力強い、でもそれだけだ。


 昔の自分を見ている感じで歯がゆかった、マークの攻撃は基本に忠実すぎるので読みやすいのだろう。

 街道警備隊という事は魔物が相手だろう、魔物相手と対人では戦い方を変える必要があるが若いって言ってたので経験の差かな?

 ディールは的確に攻撃を打ち払っている。


「まだまだ経験が必要だな、少し眠っていろ」

 腹部へ打撃を放ちマークがガードするがこの攻撃はフェイント。

 左拳がマークのあご先を打ち抜いてその場に崩れ落ちる。


 審判が気絶を確認してディールの勝利を宣言した。

 勝者のディールが大歓声の中、轟鬼の方を向くと胸に手を当ててお辞儀をして待機スペースへと移動した。



「第二試合はアムザ選手とカトリ選手の対戦です。アムザ選手どうぞ、こちらへ」

 ゆっくりと歩いて舞台の上に着くと腕組みをしている、いかにも力自慢と言う感じで強そうに見える。

「アムザ殿はこの街一番の怪力の持ち主です、街の人々は彼の怪力に助けられた事も多いのではないでしょうか?」


「カトリ選手こちらへどうぞ」

 ピョンピョンと身軽に舞台の上に上がっていく。

「予選から勝ち上がったカトリ選手、その力を存分に発揮してください」

 どちらも格闘のみのようだ、カトリと言う人はフードをしていて顔が見えない。

 昨日の感じだと女性と思うけど怪力男相手にどう戦うのか見ておかないと。


 舞台中央で握手を交わした後からアムザの様子がおかしい。

 「それでは第二試合開始です!」

 「降参だ!俺じゃ勝てねぇ」

 え?何もせずに降参?

 「だ……第二試合、カトリ選手の勝利です」

 怪力自慢のアムザがブルブル震えながら会場を後にしていった。


 会場がざわめく中でメルディスと言う人が手を挙げて発言する。

「アムザの様子がおかしかった、何かの脅迫や毒か精神干渉系の魔法を使ったのではないか?」

 確かに登場したときは威勢が良い感じで突然弱気になったので疑う理由も分かる。

「毒の使用は禁止ではありません、脅迫やアイテムの使用はありませんでした、また魔法使用の形跡も認められません」

 メルディスは「そうか、なら良い」と納得したようだ。

 次はいよいよ僕の出番だ。

 


「第三試合はジェームス選手と流 幻妖斎選手の対戦です、ジェームス選手こちらへ」

 サササッと素早い動きで中央に移動した、この人も顔を隠してる。

「ジェームス様は偵察隊の隊長で多くの功績を残してきました。その体術で相手を圧倒してください!」

 短剣を持ってるな、獣人って格闘のイメージが大きいから新鮮だ。

 

「流 幻妖斎選手、舞台へどうぞ」

 僕が舞台の方へ移動していると激しいブーイングと罵声が飛び交う。

「エルフの犬め!ひっこめー」「人間風情が獣人の偵察に来たのかー」など言いたい放題だ。

 先日、偵察隊と護衛隊に連行された噂が回っていると思う。

 部隊の人たちの誤解は解けていると思うが街の人には伝わってないのだろう。

 正直やりにくい……勝っても負けても非難されるんだろうな。


「静かにしろ!」

 対戦相手のジェームスがそう叫ぶと罵声が収まった。

「この者の嫌疑は晴れている、俺とディールが証人だ。武闘大会の予選を勝ち上がった者を他種族だからと見下す奴は恥を知れ!」

 轟鬼の方を向き胸に手を当てお辞儀をした。

 偵察隊の隊長という事はダメルたちの上官だ、族長の指輪を持っている事も報告が行っているはず。

 指輪を持っていることを観衆に言わなかったのは轟鬼に対する配慮だろうと思う。

 僕が負けた時に「前族長が弱い者を認めた」と言われないよう。


「ありがとうございます、助かりました」

「すまないな、ただ勝負は勝負だ。ダグラス様がお認めになった力を見せて貰う、審判始めて良いか?」

「は、はい。それでは試合開始」


 少し前かがみの独特な構えだな、こちらも短刀を構える。

 それと同時に攻撃してきた、偵察部隊だからと甘く見ていたが速い。

 よく考えたら偵察部隊だから速さ必要だよね。


「俺の攻撃をここまで捌くとはな、本気で行くぞ」

 キン……キンキン……キキキキキン……。

 攻撃がどんどん速くなるのと同時に力も上がってきている。

 あれ?この人なんか外見が変わって……獣化だ。

 轟鬼のとは違うけど何の動物だろう?

 

「獣化しました!ジェームス様はカンガルー族の獣人です。速さと跳躍力が大幅に上がります」

 前かがみの構えってカンガルーだったからか。

 攻撃の速度自体はあまり変化ないけどすごい速さで移動と跳躍して角度をつけて攻撃してくる。

 たまに蹴り攻撃までしてくるのが厄介だ。

 攻撃だけでなくたぶん防御も強くなってるだろうからダメージを与えるには打撃の方が良いだろう。

 切り殺すわけにもいかないし。


「獣化した獣人ってこんなに強いんですね、僕も力を使わせてもらいますよ」

 武器を鞘に納めて素手で構える。

「獣人相手に素手で来るか、舐められたものだな」

 闘気を身に纏う、オーラに変換するわけではないので少しいつもより強めで問題ないだろう。

「これは?闘気か、流石はダグラス様が認める男よ」


 ジェームスが激しく跳び回り攻撃をしてきた。

 僕は懐に飛び込み腹部へ掌底を入れた。

 ドッゴーーン、すごい勢いでジェームスが観客席の壁まで吹っ飛んで壁にめり込んでしまった。

「激しくぶつかりましたが大丈夫でしょうか?全く動きません、少し心配です」

 30秒のカウントダウンが始まった。

「場外30秒経過しましたので流 幻妖斎選手の勝利です」


「ジェームスさん大丈夫ですか?」

 急いで舞台を降りて様子を見に行くと意識を取り戻していて安心した。

「獣人は打たれ強い、余計な心配だがダグラス様のお認めになった力を体感できてうれしく思う。次に当たるであろうメルディスは前大会の優勝者なので手ごわいぞ」

 メルディスさんって前回の優勝者だったのか。

 

 場内が大注目の第四試合が始まる。

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