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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
グリアの5種族 ゼルディア大陸編
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初めてのダンジョン

「ここがダンジョン……」

 洞窟みたいなイメージだったけど入り口とか綺麗で宮殿の入り口のよう。

 人が全く居ないのは特殊変異個体のボス討伐があるので今日から5日間は僕たち以外立ち入り禁止になっているのだとか。

 他のパーティの獲物横取りとかは心配しなくて良くなったな。


「依頼は3階層ボスだ、お互いの戦力を知っておきたいので1層は俺たちが、2層は流幻が倒す事にしないか?」

 雪村の発言だけど確かに特殊変異個体のボス前に実力を知らないとお互い困る。

「良いですよ、会ってから倒した魔物って弱めの奴ばかりだったからね」

 了解したけど3人の実力は大体把握している。

 そもそも1層目の敵なら哲や雪村なら単独でも全く問題ないレベルでしかない。


 入り口から階段を降りると草原が広がっていた。

 ダンジョンって迷路みたいなイメージしていたから驚いてしまった。

 フィールドタイプの階層は続いてる感じでも見えない壁があり無限ではないとシュバイツが言っていたな。

 箱庭みたいな感じかな?と思っていたけど実際に見ると見渡す限りの草原だ。


「俺たちの戦い方をよく見ていてくれ」

 雪村が言った後に3人は顔を見合わせ陣形を組んだ。

 アグーラビットやウォークバルブという球根の魔物が多数いたが最低のGランク冒険者でも一人で狩れる程度だ。

 哲と雪村は木の武器を使っている。


 複数体に囲まれた状態を作り魔物の攻撃を哲が盾で受け止めたり叩いて受け流したりする。

 隙を見て雪村は的確に攻撃を当てている。

 一番驚いたのはシン、後方からの指示が的確で身体強化魔法に加え相手の動きを阻害する魔法も使っていた。

 

 お手本のような戦い方で派手さは無いが美しささえ感じて安心してしまう。

 自称勇者パーティと言っていたがペリエスタの門番も知っていたしコカトリスとも戦っていた。

 僕はこの3人の中に入ってどのように動けば良いかいろいろと考える。


 何度か戦闘を繰り返して前に進んだ。

 「そろそろボスだな、次は対ボス用の戦い方をするので良く見ていてくれよ!」

 ボスは人面樹と言う木の魔物だった、流石にここは普通の武器を使うようだ。

 さっきと比べて違和感がある、人面樹が雪村にたまにターゲットを変える。

 最初は哲のターゲット固定が弱いのかと思ったけど見ていて故意であることに気が付いた。

 

 ターゲットを受け持つものに回復や補助魔法をすると回復役にターゲット移動する事が多い。

 雪村がターゲットを受け持つ短い間に哲へ回復や補助魔法をしている。

 それを完璧にこなしているのは信頼の証だろうな。

 このパーティに魔法使いが居ないのはある意味正解だろうなと思ってしまった……。


 ギャギャギャ~と悲鳴を上げて人面樹が倒されて消えた。

 ダンジョン内だと倒した魔物がアイテムを直接落とすので解体などは必要ない。

「ふー、こんな感じだ。参考になったか?」

「派手さのない戦闘で退屈だったでしょ?」

 哲とシンがアイテムを集め終わって戻ってきて呟いた。

「次の層ではお前の戦い方を見せて貰うぜ!魔法使いのソロは珍しいからな」

 雪村は相変わらず元気そうで僕の戦い方に興味があるようだ。

 ここのダンジョンは3階層ごとに難易度が上がり1-3層はボスが違うだけだと事前に教えてもらっている。


 ボスの人面樹を倒した跡に2層への階段が出来ている。

 階段を移動していると広い踊り場のような場所があったけどダンジョン内部での安全な場所で寝たり食事はこの場所と言うのが普通らしい。


 僕は3人に「今は僕たち以外ダンジョン内部に魔物以外居ないんですよね?」と確認した。

「ギルド命令だからね、私たち以外は誰も居ないわ。侵入を許したらギルドの信用問題になるしね」

 シンが断言して残りの2人もウンウンと頷いていたので安心した。


「ダンジョン内で魔法を使って草木が焼けたりして地形が変わっても戻るのかな?」

 結構大切な事なのだけど聞くの忘れていた……。

「あー、魔法使いならではの疑問か。そこは大丈夫。数時間で戻るしその階層から術者が移動するか死ねば即戻るぞ」

 少し安心したけど、雪村たちは「ダンジョン未経験なのマジなんだな」と驚いていた。


 魔物を見つけるたびに魔法で攻撃をしていた。

 魔法と言ってもファイアーアローやウインドカッターの初歩的な魔法に分類される攻撃ばかり。

 雪村が「おい、そんな魔法見ても意味がない。流幻の使える魔法で高威力なのを見せてくれ」と言ってきた。

 確かに戦術的にはどのレベルの魔法が使えるかを知っておきたいのも分かる。


「その前にちょっと見せておくけど魔物が僕に近づいても気にしないで欲しい、一応護身は出来ると見せておきたくてね」

 ウサギや球根の魔物がピョンピョンと僕に近づく、哲たちが「体当たりしかして来ないけど当たると結構痛いぞ」と忠告してきた。

 7体が近くに来たところで腰から短刀を出して素早く間合いを詰めスパパパっと切って倒すのを3人は口を開けて見ていた。


「じゃ、ボスへ行こうか」と僕が言うと「まだ結構な数の魔物が残ってるぞ」と言われてしまった。

 もちろんこの階層の敵をすべて倒す魔法も想像は出来るけど、それをしちゃうと流石にマズいだろうと考えた。

「ボスを先に高威力魔法で倒そうかと思ってさ」

 僕がそう言うと、「なるほど」と納得してくれた。


 この階層のボスはウサギ型のフロートラビットと言う魔物だ。

 直径2メートルくらいで結構大きいが丸々してモフモフしてほぼ球体のウサギだという。

 その反面かなり凶暴で爪や牙の攻撃は通常の熊クラスで名前の通り耳をパタパタさせて空中を浮くことが出来ると言う。

 空飛ぶ真ん丸なウサギか~、モフモフでかわいいのかな?


 見せてくれと言われたのは高威力魔法、ボス単体に使う方がイメージはしやすい。

 動物に対抗するなら動物だろう、炎と言えばやっぱり不死鳥とか?と考えたけどあまり派手すぎて怪しまれても困る。

 無難にトラとかライオンがウサギを捕らえる!と言う感じで行こう。

 少し離れた所にフワフワ飛んでいる巨大な丸い物体が見えた、あれウサギなの?


「ダンジョンボスはアタックゾーンがあってそこに入ると戦闘が開始される」と哲が教えてくれた。

「ゾーンに一度入らないと攻撃が通らないから流幻が呪文詠唱開始したら俺がゾーンに入ってやろうか?」

 雪村が提案してくれたけど、それでは僕の力を見せることにならないだろう。

「大丈夫だよ、そこで見ていて」

 僕はそう言うと歩きながら呪文を唱えだす。

「大いなる炎よ、契約に従い形を成し我が敵を焼き尽くせ!」


 突き出した杖の先から炎の虎が姿を現す。

 (空を飛んでる敵だし、翼ある方が良いかな?)

 そんな想像してしまったので虎の背中に翼が生えてフロートラビットに嚙みついた。

 噛まれた場所から燃え上がり悲鳴すらなく消え去った。

 威力も見た目も高威力って感じでいい感じだ。


 周りにはまだ多数の魔物が居るので倒さないと。

「光よ矢となり敵を打ち抜け、ライトニングアロー」

 頭上に掲げた杖から無数の光が矢となって飛び出しすべての敵を倒した。

 離れた複数の敵への範囲攻撃が出来るアピールもこれで良いよね。


 それを見ていた3人が「えっ?」「マジ?」「うそでしょ」と呟いていた。

 やりすぎたのかな……。


「なぁ、魔法の動物変化ってAランク魔法だったよな?」

「あの虎には翼生えてたわよ、幻獣化だとSランクよ!」

「それにあの光の矢の本数に命中率おかしくないか?」

 雪村、シン、哲の会話が聞こえてしまった。


「その前に移動詠唱だけでもすごすぎるわよ!威力が激減するんだからね」

 シュバイツからは「無詠唱はマズいから何か呪文的なものを言っておけ」としか言われてなかった。

 不死鳥がフィールドを焼き尽くすとか、炎の竜巻が駆け巡るとかを想像しなくて良かったと思いながらも不安だ。


 これは……疑われて質問攻めになるんだろうな。

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