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不死者が望む戻らない死  作者: 流幻
ミューマ大陸・小人領ゼンペリム編

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サンドワーム討伐

「強力な神剣の波動を感じできてみたが、やはりお前か。ほぼ完璧に神剣を制御出来ているようだな」

 突然目の前に現れたロキは、僕が神剣を制御出来ているのを確認してニヤリと笑っている。

 また手合わせか?でもブリュンヒルデが扱える今なら少しは勝算があるかも知れない。

「今は忙しいのじゃ。幻妖斎に用があるなら後日に出直してまいれ。」

「ちっ!ジジイまで居るのか。不死者探しでこんな廃墟まで来てるとはな」

 ロキが居るならサンドワームの討伐をお願いすれば一瞬で終わるんじゃないか?

 カトリーヌがウェイズにビンタしたから正直ちょっと気まずい感じだし。

「俺はウェイズのジジイと違って地上に関与できない。サンドワーム程度ならウェイズも出る必要すらないだろう。討伐にブリュンヒルデは使うなよ」

 心を読まれたようで、それだけ言い残してロキは消えた。

 

「今の人は誰ですか?威圧感が無いのに全く動けませんでした」

 アイゼンが驚いた顔でウェイズに質問する。

 離れていたメイヴィス達も走って近寄って来た。

「あやつはロキと言う闇属性炎の神じゃの。危害を加えてくることは無いから安心して良いぞ」

 神と聞いて驚いていた一同の中でカトリーヌだけが落ち着いている。

 ウェイズは理由をなんとなく分かっている様な感じだ。

 大騒ぎになるのではないかと心配していたけど、すぐに全員落ち着いていた。

 4人は不死者だし、ウェイズも神みたいなものだ。

 シェス達なら「マスターに危害を加えないなら問題はない」と言う考えと思う。


「確認しておきたいのですが、神剣を使用するとどれくらいの被害が周囲に発生するんですか?」

 今回は使用しないとは言っても、これはハッキリしておかないと困る。

「今の制御の感じでは被害は出ない。周囲に影響が少しあるくらいじゃろう」

 影響と言うのは周囲に居る闘気を使えない相手が軽いめまいを起こしたりする程度で人命に被害が出ることは無い。

 ただし、制御が崩れるとそれまでの力が暴発する『神力暴走』と言う現象が起こる。

 その威力は魔力暴走の比ではなく、街を壊滅させるほどの広範囲に被害が出る。

 地上で使用する場合は、制御を崩さない、オーラを使用しないのどちらかにする必要がある。

 神剣自体ほ強度が高く基本的には折れない上に、切れ味も良いのでオーラを使用しなくても普通の魔物程度は倒せるようだ。

(魔力暴走ってエルフの森でマーサやピーフェが言っていた現象だよな)

 妖精やエルフの前族長が危険と言う現象より危ない……となるとその威力は計り知れない。

「オーラで制御しないと軽めと言っても重さも結構ありますから、あまり使用しない方が良いですね」

「使い処は自分の判断で決めれば良い。綺麗事だけでは済まぬ時もあるからの……」

 少しだけ気になるが、自己責任で使えという事なのかな。


 その後、カトリーヌとレグリアのメンバーはデリエスの街に戻り明日の準備を整える事になった。

 僕はウェイズの結界があるうちに神剣の制御を繰り返していく。

 回数を重ねて行くと神剣の扱いと制御もかなり慣れて来た。

「これだけ扱えるなら、もう良いじゃろう」

 慣れて来たと言っても不安が残っているが、ウェイズに言わせると「ほぼ完璧な制御」という事だ。


 

 翌日、アイゼンが住民にカトリーヌを轟鬼の娘であると紹介した。

 サンドワームの討伐で混乱すると困るため、カトリーヌの指示に従って欲しいとお願いをする。


 外に出て改めて見ると砂漠だ。

 かなり広い、ここをレグリアの4人と僕が横一列になって進行し潜んでいるサンドワームを討伐する。

 横一列と言っても隣の人が米粒のように見えるほど距離は開いている。

 お互いにサポートが出来ない位の距離になってるけど「サンドワーム程度なら問題は無い」と口を揃えて言われた。

 ウェイズは街の外から砂漠に入って少し進んだ場所で待機する。

 流石に砂漠が広大過ぎるから、討伐漏れした街に流れて来るサンドワームを倒すようだ。

 一度、集合して軽く作戦会議をした。

 

 これだけ距離が開いていると探索漏れがあるのでは?と思った。

 サンドワームは振動に反応すると言っても、些細な振動でも広範囲から探知する。

 その性質上、この距離でも問題は無いと言われた。

「この広大な砂漠を歩いて探索となると時間は掛かるな。一気に姿を現してくれたら楽なんだがこの広さでは魔法探知も面倒だしな」

 持ち場へ移動する前にメイヴィスと言う男が少し面倒くさそうに呟いた。

 不死者と言っても特別な不死者の僕やシェスとアイゼンとは違い、疲労はあるし腹も空く。

 ただ何匹居るか分からないのに、それを問題にしていないという事はそれだけの実力があるという事か。

(魔法探知も出来るのか、リュートも魔法使ってるし不死者って魔法使える人が多いのかな?)

「メイヴィスさんって魔法で探知も出来るんですか?」

「探知と言っても弱めの魔法を砂地に沿わせて撃つだけだからな」

 あまり知られていないが、魔法での振動でも探知して襲ってくるようで威力は無くても良い。

 要するに魔法で砂地に振動を与えるだけで良いけど、これだけ広いと連発で魔力が切れてしまう。

「それなら出来ると思います。威力は皆無でも良いんですよね?」

 僕の発した言葉に全員がこちらを向いて声も出さずに驚いている。

「本当に可能なのか?幻妖斎が嘘を言うと思ってはいないのだが……」

 アイゼンが聞いて来た。

 僕が理由を説明すると納得してくれて作戦が変更になった。


 砂漠の4隅にアイゼン、シェス、メイヴィス、アイリエの4人を配置する。

 僕が砂漠の中央まで移動加速で移動して魔法を発動。

 魔法が4隅まで到達したら4人が上空に魔法を放って報告後、中央部に向かいながら討伐開始。

 僕はそのまま中央で襲ってくるサンドワームを退治する。



 急な作戦変更だから大丈夫かと思ったら全員慣れていて問題なさそうだ。

 各自が持ち場についた合図を確認した。

 僕は移動加速魔法で加速して一気に走って行く。

 反応してサンドワームが飛び出してきたが無視して中央まで一気に移動した。


 さて、ここからは本番だ。

「威力が無さ過ぎて探知されないとかだと困るぞ……」

 独り言を呟いて魔法を発動する。

 一度だけ見た、そして発動も出来た、忘れることが出来ない神の魔法。

『ルドラブラスト』

 ラルドが使って見せてくれた魔法だ。

 

 大量のすさまじい大きさの竜巻と突風が広範囲で吹き荒れる。

 見た目だけで威力は。ほとんど無いがサンドワームは反応して飛び出してきている。

 3階か4階建ての建物位の高さがあるから目立つ。

(多すぎないか?目視できるだけでも40から50体は居るぞ。冒険者に頼んでいたら大惨事になっていた気がする)


 サンドワームがこちらに向かって移動してくる。

「光の風よ、集いて全てを切り裂く刃となれ」

 天の短刀に風の刃を纏わせる。

 武器に纏わせることで攻撃範囲を拡大出来る、と聞いていたので何度か試していた。

 最大で5メートル程度の長さになる。

 次々と襲い掛かって来るサンドワームの大群を移動加速で近寄って切り刻んでいく。

 口から酸弾を吐いてくるが、軌道が変わることは無いので対応は可能。


 気が付くと周りに居たサンドワームを全て倒し終わった。

 シェス達が中心部に向かってくるので、僕はあまり移動せず戦っていた。

 目印扱いの様なものだ。

 暫くすると4人が中心部まで来た、砂漠をこの速さで移動して魔物の殲滅まで行っている事には驚かされる。


「数は多かったが物足りないな。討伐漏れは無かっただろうな?」

 シェスが確認をすると、全員が「問題ない」と報告していた。

 ウェイズが居ない時はナンバーが上位の者が統率するらしい。


「よし、マスターへ報告に戻るぞ。幻妖斎も着いて来てくれ」

 ウェイズに報告をして街付近へ戻った後に、魔法陣を解除すると言う流れになっている。

 僕たちはウェイズが居る方向へ歩いて行く、あと少しで姿が見えるくらいの場所まで来た。


 グモモーン。

 

 激しい音が聞こえ、突然前方に巨大な影が立ち上った。


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