第36話 エピローグ:4月1日
大学に入学が決まって4月1日になった。俺は、二宮姫乃を朝から呼び出していた。場所は坪井川沿いの広場。図書館の裏で人目に付かない場所だ。
「ここって、前に告白したところよね?」
「そうだな」
「また、朝からなの?」
「だから恋人同士になってデートしたいって言っただろ」
「婚約者なのに、恋人になりたいの?」
「うん。俺は付き合いたいんだ」
俺は姫乃を見て言った。
「……姫乃、俺はお前が好きだ。付き合ってくれ」
「エイプリルフールじゃないよね?」
「だから、違うから。もう台無しじゃないか。もう一度言うから」
俺は再び姫乃を見た。
「……姫乃、好きだ。俺と付き合ってくれ」
姫乃は俺を見た。そして、ついに言った。
「うん。圭、私も好き。付き合おう」
俺の告白はついに成功した。
「長かった……ほんとうに長かった……」
俺は空を見上げ、感慨にふけっていた。走馬燈のように今までの告白が頭をめぐる。
「あのときはごめんね。私もほんとうに嬉しい」
そのときだった。突然、破裂音が響く。驚いて周りを見ると大きなクラッカーを持った永井と福原、それに内田さん。告白作戦会議のメンバーが居た。
「「「おめでとう!」」」
「お前ら……」
「あなたたち……」
「佐原、よかったな」
「佐原君、おめでとう。姫乃ちゃんも」
「佐原君、ついにやったわね」
「うん、お前ら、ありがとう」
俺は泣いていた。自然に涙が出ていた。気がついたら姫乃も告白作戦会議のメンバーもみな泣いていた。
「ほんとにありがとうな」
「ありがとう」
俺たちはしばらく泣いていた。
「よし、みんなで食事に行こう!」
「そうね、行きましょう」
俺たちは5人で駅ビルに歩き出した。すると、福原が言う。
「あ、あと真理ちゃんから報告あるよ」
なんだろう。
「どうでもいい報告だけどね。私も彼氏出来ました!」
「えっ、おめでとう!」
俺は内田さんに言った。
「ふふ、ありがとう」
「え、ちょっと待って!」
姫乃が声を上げた。
「なんだ?」
「だって、内田さん、彼氏居るって言ってなかった?」
「ああ、居たんだけど別れてたんだよ」
「いつ?」
「高一の秋だっけ」
「はあ? 彼氏居ない状態でずっと圭といちゃいちゃしてたの?」
「いや、いちゃいちゃはしてないから。ただ本の話してただけ」
「私、内田さんに彼氏居るって聞いたから我慢してたのに」
「いや、だからそれは……」
姫乃が怒りそうだから秘密にしてたなんて言えない。
「ちょっと、圭。後で話をしっかり聞かせてもらうからね」
「ご、ごめん」
「もう圭は私の彼氏なんだから。他の女とイチャイチャ禁止」
「わかってるよ」
「恋人同士で婚約者なんだからね」
「わかったわかった」
「そして大人になったら結婚するんだから」
「そうだな、約束だ」
「うん、約束」
(完)
これにて最終話になります。
ありがとうございました。




