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第34話 11月1日

 まだ続きますが、残り2話となりました。

 たくさんの方に読んでいただき大変ありがたいです!


 そして、11月1日がやってきた。

 朝、告白作戦会議からメッセージが届く。


永井『最後の作戦だ。必ず成功させろ』


佐原『了解』


 この日までに俺は平日は毎日近所のスーパーでバイトし、休日はより時給が高いイベントスタッフなどのバイトを行った。そしてある程度の資金を貯めることが出来た俺は念願のものを購入することができた。全てはこの「最後の作戦」のためだ。



 放課後、姫乃が俺の席にやってきた。


「圭、今日は一緒に帰れるのよね?」


「うん、帰ろう」


「よかった。先月は一緒に居られる時間が少なかったから」


「ごめん。行こうか」


 俺たちは久しぶりに帰り道を一緒に歩いた。


 そして、いつもの分かれ道にさしかかる。


「姫乃、ちょっと時間いいかな」


「うん。え? 告白はもうしないんだよね」


「うん、告白はしないけど、ちょっと公園に寄っていかないか」


「なによ、いいけど」


 俺たちは公園のベンチに座った。


「姫乃、俺たちは大学生になるまで付き合えない、ってことでいいよな」


「うん、ごめん」


「謝らなくていいから。俺も納得してる」


「ありがと」


「でも、そうなると俺たちはただの幼馴染みだ」


「そうね」


「でも、俺はそれは嫌なんだ。特別な関係になりたい」


「特別な関係?」


「うん」


 俺は、姫乃の前で片膝をついた。

 そして、ポケットに忍ばせた箱を取り出し、開けた。


「それって……」


「姫乃、俺と将来結婚する約束をしてくれ。つまり、婚約だ」


「婚約?」


「うん。付き合わなくても婚約者にはなれるだろ?」


 これが最終作戦だった。婚約者は結婚を約束した相手のこと。しかし、その2人が付き合っていないという状況もありえる。付き合わずにより特別な関係になる。それが婚約者だった。


「圭……でも、それは何?」


「指輪だ。婚約の証としたい。俺のもあるから」


「もしかして、これのためにバイトを?」


「うん。一ヶ月分でごめん」


「何言ってるのよ。付けて」


 俺は姫乃の左手薬指に指輪をはめた。


「圭のも付けてあげる」


 俺は自分の指輪を取り出す。姫乃は俺の左手薬指に指輪をゆっくりとはめた。


 そして、俺は姫乃を見て言った。


「姫乃……俺と婚約者になってくれるか?」


 姫乃は俺を見つめる。そして、言った。


「圭……喜んで!」


 姫乃が俺に抱きついた。


「うぅ……うわーーーん……」


 そして、姫乃は泣き出した。俺も姫乃を抱きしめた。


「ごめんね、付き合わなくて」


「だからそれはもういいって言ったろ」


「うん、そして私を婚約者にしてくれてありがとう」


「こちらこそ、ありがとうだよ」


 こうして俺たちは婚約者になった。



◇◇◇



 親にも報告が必要だが、とりあえず後で報告することにした。


 そして、俺は告白作戦会議にメッセージを送った。


佐原『作戦成功。繰り返す、作戦成功』


永井『作戦成功、了解した。二階級特進で曹長とする』


佐原『そりゃありがたいことで』


福原『おめでとう!』


内田『おめでとう。これでもうこの会議も終了だね』


佐原『だな、お前らのおかげだ』


永井『うむ、これにて告白作戦会議は終了とする』


 こうして、半年以上にもわたる告白作戦会議は幕を閉じた。




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