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第3話 ファミレス

 放課後、俺が帰ろうとすると永井巧とその彼女である福原里美が俺を呼び止めた。


「一緒に帰ろうぜ、詳しく聞かせてもらうって言ったろ」


「は? まじかよ」


 そこに二宮姫乃が近づいて来た。


「なになに?」


「あ。姫乃ちゃん。今、一緒に帰ろうって言ってたところ」


 福原が姫乃に言う。


「そうね、じゃあ私も一緒に帰ろうかな」


 姫乃がそう言ったことで俺たちは4人で帰ることになった。


「フードコートでいいか?」


 永井が俺たちに言う。


「え? どこか寄るの?」


 姫乃が聞いてくる。


「いや、こいつが俺たちのことを聞かせろって言ってるんだ」


「あ、そういうこと。うん、いいわよ。でもこちらもあなたたちのこと聞かせてもらうから」


 なるほど、交換条件か


「うん、いいよ」


 福原はあっさり受け入れた。


 俺たちはバスセンター地下のフードコートに行く。

 ドリンクを買い、そこに4人で座った。


「じゃあ、聞かせてもらおうか」


 永井が言う。


「その前にお前たちが先だな」


 俺が言うと永井が「俺たちは普通だよ」と返した。


「中2のときに俺が里美に告白して付き合いだした。以上」


「おいおい、それだけかよ。なんで告白したかを言えよ」


「なんでって、好きになったからだろ。里美は明るくてみんなの人気者で、俺には手が届かない高嶺の花って感じだったけど、勇気を出して告白したんだ」


「え、タク、私のことそんな風に思ってたんだ」


 福原も初めて聞いたらしい。


「高嶺の花って。私は庶民派だよ。高嶺の花って姫乃ちゃんみたいな人でしょ」


「私? そんなことないと思うけど」


 姫乃はそう言うが、確かに姫乃は高嶺の花という感じだ。俺はそれに手を出す愚か者か。

 俺は福原に聞いた。


「福原さんは永井のことはどう思ってたんだ?」


「うーん、いいなとは思ってたよ。でも、好きって感じじゃ無かった」


「じゃあ、なんで付き合ったんだ?」


 さりげなく聞いたがこれは大事な質問だ。姫乃が俺と付き合うために、何が足りないのかが分かるかもしれない。


「うーん、正直言うと告白のムードに流されてかな」


「ムード?」


「うん。体育祭が終わって、タクのかっこいいところを見せられた後、夕日の中で告白されたから、思わずオーケーしちゃった、みたいな」


「マジか」


「そうよね、やっぱりムードが大事よね」


 姫乃が俺を見ながら偉そうに言ってきた。


「あれ、そう言うってことはまさか……」


 福原が感づく。


「そう、私も圭に告白されたのよ」


「「え!」」


 姫乃の言葉に永井と福原は驚いている。


「でも断ったの。だって、朝からデート前に告白だったんだもん」


「佐原、お前……」

「それはないなあ」


 2人が俺を責める。


「バカ、それは今月だけだろ。その前は違うから」


 俺は姫乃に言ったが、それを聞いた永井が言う。


「その前? お前、何回も告白してるのか」


「そうよ。圭は毎月1日に告白してくるの」


「「は?」」


 永井と福原はあきれて俺を見た。


「じゃあ、もう結構な回数、告白してるのか」


「そうだな、中2からだから20回は超えたかな」


「お前、メンタルすごいな。全部、フラれてるんだろ?」


「……まあな。毎回、真剣だし、結構メンタル削られるよ」


「ふふっ。でも、圭は私をあきらめきれないから何回も告白するのよね」


 姫乃は楽しそうだ。


「お前が完全にはフラないからだろ。次は可能性あるっていうから俺は告白してるんだ」


「だって、将来どうなるかは誰にも分からないでしょ」


 それを見ていた永井が言った。


「なるほどなあ。佐原、お前大変だな。俺はお前を応援するよ」


「あ、ありがとう」


 すると、福原が言う。


「私、なんとなく姫乃ちゃんの気持ち分かるなあ。私は姫乃ちゃんを応援しよ」


「うん。ありがと、里美ちゃん」


「お前ら、そんなことでいいのか? 俺たちのことで喧嘩するなよ」


 俺は2人が心配になって言った。


「え? 大丈夫よ。だって――」


 福原が言いかけたところで永井が遮る。


「まあまあ、それ以上は言わなくていいだろ」


「そっか。そうだね」


「ま、俺たちはお前らに協力するって事だ」


 何かよく分からんが、今までは一人で頑張ってきたからありがたいことだ。



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