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第24話 作戦会議

 翌日、午後2時のいつものファミレス。告白作戦会議のメンバーが集まっていた。

 司令の永井巧、副司令の福原里美、立場不明の内田真理、それに未だに二等兵の俺だ。


「告白しない作戦はもうやらないって、どういうことだ?」


 永井が聞く。


「負担が大きすぎるんだよ。俺にとっても姫乃にとっても。いい方向にならないし、第一成功しない」


 昨日、姫乃が泣き出したことはさすがに言えなかった。だが、いろいろあって作戦失敗したとは伝えている。言葉を濁した俺に対し、彼らは深くは聞いてこなかった。


「そっかあ。負担が大きいのは困るよね」


 福原が言った。


「ずばっと告白して、成功か失敗か、それでいいだろ」


 俺は考えてきたことを言った。原点に立ち返るべきだ。


「なるほど、了解だ。だが、もうほとんどのパターンはやったのだろう?」


 永井の言うとおりだ。放課後の体育館裏、夜景が綺麗な公園、夜の動物園、夕焼けの海、さらには朝の広場まで。至る所で俺は告白してきた。だが、全ては失敗に終わっている。


「諸君、何かいい考えはないかね?」


「そうねえ、私のアイデアは出し尽くした。じゃあ、真理ちゃんはどう?」


 福原が内田さんに聞いた。


「無いことも無いけど……」


「え? どんな?」


「二宮さんは友達にも佐原君の告白のこと言ってるでしょ。だったら、それを利用できると思う」


「周りを巻き込むって事か」


 永井が興味を持ったようだ。


「うん。二宮さんの友達は佐原君が告白することに対して騒いでいた。それは決してマイナスのイメージじゃ無いと思う。告白というシチュエーションにあこがれを持って騒いでいたというか……」


「そういう感じだったよな」


「であれば、あの友達が居るところで告白してみたらどうかな」


「なるほど。そうすると、友達は答えに注目する。そこでは確かに断りづらい」


「はあ? 姫乃の取り巻き達の前で告白かよ。恥をさらすだけじゃないか?」


「ちなみに、今までこういうことをやったことは?」


「……無い」


「よし、決まりだな」


 永井は決定のように言うが、やるこっちはたまったものじゃない。


「ちょっと待てよ。9月1日は始業式の日だぞ。いつやるんだ」


「そうだな、午前で帰れるから最後だな。ホームルームが終わった後、帰るときに教室でやるぞ」


「はあ? 姫乃の取り巻き達だけじゃなく無関係のやつらもいっぱい教室に居るだろ。どうするんだ?」


「そんなやつらに聞かれても問題ないだろ」


「マジか……」


 俺はクラスメイトがたくさん居る中で告白することになってしまった。

 だが、確かにこのような告白はやったことが無い。もしかしたら、もしかするかも。俺はこの告白に可能性を感じ始めていた。


「それにしても真理ちゃん、いいアイデア思いついたね」


 福原が言う。


「そ、そうかな」


「うむ。内田さんには参謀長をやってもらおう」


「参謀長……わかりました」


 内田さんは永井に敬礼した。


「なんでだよ。じゃあ、俺は? 二等兵のままか?」


「当たり前だ。全く作戦遂行できてないからな」


「……」


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