第20話 作戦会議
7月2日の放課後のファミレス。告白作戦会議のいつものメンバーが集まっていた。
もちろん、メンバーは司令の永井巧、副司令の福原里美、どういう立場か分からない内田真理、それに未だに二等兵の俺だ。
「改めて、なぜ告白したのか、聞かせてもらおうか」
肘をつき、両手を組んでいる永井が言う。
「だから、姫乃が俺のことが好きだって言うから。だったらうまくいくかと」
「「「はぁ」」」
他のメンバーがため息をついた。
「……なんだよ」
「完全に姫乃ちゃんのペースに乗せられてるよね」
「うむ。告白しない作戦は無理があるのかもしれんな」
「姫乃ちゃんの手にかかると佐原君は意のままだから」
「なんでだよ!」
俺は反論しようとするが、これまでの実績からも反論しようが無かった。
「で、8月はどうするの?」
内田さんが聞いた。
「8月か。8月1日は夏休みだな。去年はどうしたんだ?」
「去年は確か海に行ったな、熊本港の。で、夕日の中で告白した」
「なるほど……」
3人はどういう作戦をとるかを考え出した。
「あの……質問だけど、今は告白しない作戦をやってるよね?」
内田さんが言う。
「そうだね」
「8月1日が夏休みなら、会おうとしなければそもそも2人は会わないよね。だったら、告白も当然出来ないのでは?」
「うむ。要はただ家に居ればいいだけだな」
「……また姫乃が来るかもしれないぞ」
「だったら、私たちが佐原君の家に遊びに行けば、その間は告白できる雰囲気じゃないよね」
内田さんが言う。
「なるほど。それはいいな。じゃあ、そうしよう」
永井があっさり決めた。
「はあ? 家に来るのか?」
「うむ。みんなで押しかけて夏休みの宿題でもやるか」
「いいね、賛成!」
「でも、内田さんは彼氏もいるし他の男の家とか難しいだろ」
俺は反論する。
「2人だけならそうだけど永井君と福原さんが居るから大丈夫よ」
「そうなんだ……」
「よし。家で宿題作戦だ。みんなで朝から行こう」
「「おー!」」
うーむ。しかし、そんな作戦で上手くいくだろうか。姫乃はそんなに甘くないと思うが。




