表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/36

第19話 7月2日

 7月2日の朝。俺は寝不足だ。昨日は告白作戦会議のメンバーから袋だたきにあっていた。好きって言われて調子に乗って告白するなんて愚か者だ。相手の手のひらで転がされている、といった感じだ。実際、その通りだから何も言えない。


 俺が自分の机で寝ようとすると、ちょうど姫乃が教室に入ってきた。


「おはよう」


「あ、姫乃ちゃん。おはよう」


 取り巻き達が挨拶を返す。


「姫乃ちゃん、昨日結局告白されなかったの?」


 取り巻きの誰かが聞いた。


「ううん、されたよ」


「「「ええーー!」」」


 取り巻き達が騒ぎ出した。はあ、うるさい。


「で、でも、佐原君はしないって言ってたよね?」


「うん。でも、圭は結局私のこと好きだから、告白せずにはいられなかったみたいね」


「うわ、すごっ!」

「さすが、姫乃ちゃん」


 取り巻き達は姫乃を褒め讃え始めた。いや、すごいのは姫乃じゃなくて俺だろ。


 すると、中川が俺のところに近づいて来た。


「ねえ、姫乃ちゃんはああ言ってるけどほんとに告白したの?」


 まあ、この間の俺の発言と態度を見ていたら信じられないのは分かる。


「……まあな」


「「「キャーー!」」」


 取り巻き達も俺の発言を聞いて騒ぎ出す。姫乃が得意げに見ているのがむかつく。


「なんで? この間はしないって言ってたじゃん」


 中川が疑問に思うのも分かる。果たして正直に言うべきか。姫乃が俺を好きだと言ったからだ、とか言ってしまうのは、それを信じて調子に乗って告白して玉砕という感じになってしまう。ここはごまかすか。


「ま、俺は姫乃が好きだからな」


「「「キャーー!」」」


 また、取り巻き達が騒ぎ出した。姫乃も得意げに見ているんだろう……と思って様子をうかがうと、なぜかちょっと不服そうな顔をしていた。なんでだ。俺が姫乃を好きって言ったのはまずかったか? いや、誰もが知ってるだろ。


「へぇー、てっきり内田さんに乗り換えたと思ってたよ」


「なんでだよ」


「そうよねえ。圭は私が好きだから」


 姫乃が近づいてきて話しに入ってくる。


「お前が来るとややこしくなるから向こうに居ろ」


 俺は姫乃を追い返したところで内田さんが教室に入ってきた。


「おはよう」


「おう、おはよう」


 すると、中川がなぜか内田さんに話しかける。


「内田さん、佐原君が姫乃に告白したって」


「お、おい……」


 なんで、内田さんに言うんだ。


「うん、知ってる」


「え、知ってたの?」


 中川が驚いた。内田さんは告白作戦会議のメンバーなので当然知っているが、中川さんからすればまだ教室に来たばかりなのに内田さんが知っているのはおかしいことになる。


「あ、噂で聞いたから」


 内田さんはごまかした。どこの噂だ。


「ふーん」


 中川は不審そうだったが席に戻っていった。


 内田さんが俺に聞く


「何かあったの?」


「いや、姫乃が告白されたことをみんなに言い出しちゃって」


「そっか」


「ごめんな、迷惑掛けて」


「いいよ。これも作戦遂行のため。それにしても今後どうするの?」


「うーん……」


 今後どうしたらいいか、全く見当が付かない。そんなとき、スマホが振動した。


永井『告白作戦会議、本日招集』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ