一話 転生
伏瀬さんの大ファンです。内容はどうしても寄せてしまいますが、何卒、よろしくお願いします。
俺の名前は最上俵伊、29歳で一人暮らしの中小企業の平社員だ。え?彼女?いないいない。童貞に決まってるだろ。
……それはさておき、特徴が何もない俺だが、一つ、人とは違う点がある。それは……
(おい!手が止まってるぞ!明日上司に出すんだろ!)
「わかってるって!」
「ん?どうした?」
「いや、何でもない」
今同僚の北野に気にされたがそれはさておき、そう、俺には何かが憑いているんだ。
ありがたいことに、こいつはハイスペックで、おかげで大企業に「入社してくれ!」と懇願されたりした。もちろん承認した! こんなブラック企業いられるかって話だ。
明後日行くつもりだが、まずこの仕事をしてから行く。「今から行けばいいじゃないか!」と言うやつもいるだろうが、上司が邪魔してきたので、こいつの力をフル活用して──
(んなめんどいことするかよ)
できなそうだ。
まぁ、と言っても9割は終わっている。明後日を楽しみにしよう。
(……おい、もう終わってるだろ)
(……あ、本当だ)
「上司〜!」
「なんだ?」
「終わったので出しに来ました」
「…ふむ、ご苦労だった。これまで扱き使ってすまなかったな、今からでも行けるらしいからいってこい。」
「あ、ありがとうございます!」
な〜んか優しかったけど、ま、いっか
そうして数年後…
「もう定時だから帰ろうぜ!」
「……え?」
同僚の加藤に言われてふと時計を見ると、もう定時をまわっていた。なかなかにこの職場は楽しく、つい集中して時間を忘れてしまう。
「あぁ、本当だ。帰ろうか」
そうして会社のすぐそこにある横断歩道の信号を待っていた。
「おい!あそこ!」
「え?」
加藤が指さしたところを見ると、銃腰に着け、刺身包丁を男が走ってきた。後ろに警察が見えたので、逃げているのだろう。
「危ない!」
気がついたら男がすぐそこにいた。一瞬だった。刺さるまでが。警察が取り抑えたのが見えた。
「おい!大丈夫か!?しっかりしろ!」
「大丈夫なわけ無いだろ、馬鹿かお前。この位置じゃ心臓を一突きだ」
「そうか…」
「加藤」
「何?」
「今すぐ逃げろ、お前まで死んだらど」
その瞬間、何かを打つ音が何回か聞こえた。
今、俺はどうなっているのかというと、五感はすべて使えず、思考しかできない状態だ。
(何が起きたんだ?)
(刺されたうえに銃を乱射された)
(そんなオーバーキルされてたのかよ。っていうか話してる途中だったんだが?)
(安心しろ。五感が使えないイコールあの世行きということではない。転生するか、天国地獄に行くか、病院で目覚めるかはわからぬがな)
(そっか、良くはないが、まだ可能性はあるな……いやさすがに死んでるか……)
(少なくとも、まだ焦る時ではないだろう)
軽い絶望を抱えて会話をしながら、ただただこの虚無の時間を過ごした。
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