拾壱話 封印と勝利
〜試験当日〜
「試験ってどんな感じなんだろ?」
「毎年違いますからね」
遂に試験当日なわけだが、正直受かる気がしない。なぜなら、技とか能力とか一つも持ってないからだ。いくら素があったからって使えないと意味がないからな……
「お、ここかな?」
しばらく進むと人が大勢集まっている場所に出た。そこでしばらく待っていると、一人の若々しい男が出てきた。
「皆さん、こんにちは。私はこの総合育成強化学園・全立エニシスアース学園の学園長、ガータル・スペラードです」
その男がこの学園の学園長であるということと自らの名前を明かすと、周りの受験生のほぼ全員が仰天した。
「皆、どうしたんだ?」
「スペラード家はこの世を支配している者の一家……最強なんです」
「え、マジで?この学校すげぇーな」
「この世支配してて最強だと知った人の反応ではないですね……」
「皆さん、この学園に来ていただき、誠にありがとうございます。今日行う試験では、この学園の教師達と戦ってもらいます。ただし、普通の戦闘ではなく生徒、教師ともに心臓部にある板を破壊された者は失格、直ちに退場していただきます。試験場の構造は教えませんので、自分で見てどういう構造かを理解してください」
学園長はそれだけ言って立ち去ろうとした。が、突然足を止め、こう言った
「一つ忘れてました、皆さんを試験場に連れて行かないとですね」
その人はそう言うといきなり指を鳴らした。その瞬間、俺たちはすでに試験場と思われる場所にいた。
「は?え、どゆこと?」
「多分、あの人の能力だと思います……」
「勝てるやついねぇだろあれ」
そこに行くと二人の人が見えた。女と男、それぞれはあの学園長とは別人のようだ。男は言った。
「受験生の皆さん、おはようございます。私はこの学園の副学園長を務めます、ルシファーと言います。そしてこちらが……」
「いやいやいや、ちょっと待って?地獄の最下層にいるとされる堕天使が副学園長やってんの?色々とおかしくない?この学校」
「まぁ、えーと、こちらがこの学校最高クラス『メトシェラ』の頂点に位置する者ですが、異世界のニホンという国より偶然来てしまった化け猫との戦闘の際、皆を守るために化け猫の能力をまともに受けてしまい、記憶、またこの者が存在した記録が全て奪われてしまいました。この目につけている包帯は化け猫が渡してきたもので、『この包帯を巻かなければ、お前らの国は崩壊する』という警告、脅しのもと装着しています」
「あ、ホントだ」
確かに彼女の目には包帯がつけられていた。
「じゃあ、話せる?」
「あ、いや、その、私」
「ふむ、話せないか」
「ちがっ……」
「いや、大丈夫。無理しなくてもいいから。まぁ、そうだな、いつ始めてもいいんだが……皆、いつ始めてほしい?」
この言葉を聞いた受験生達はそれぞれ考えていた。3分、5分、1分、30分といろいろだ。だが、一人身勝手なやつがいた。そいつは一切事が進まない状況に苛立っていたのか、少し荒げた声で言った。
「今、始めて」
久しぶりに来ました。最近は全然進めてなかったのでね……