第零話 いつの日か思い描いた希望
─────「死とは何か」─────
君達はこんなことを問われたら、何と答えるか。この問いに答えるならば、通常「心臓が止まること」「呼吸しなくなること」「脳波が止まること」みたいに具体的に答えるだろう。それは抽象的なことを理解することがそもそも難しく、理解しやすくするために具体的にしようとするからだ──
まぁそんなことはどうでもいい。今から俺達の行く世界は、遥か遠くの未来にあったことか、太古の昔にあったことか……そんなことは忘れてしまった。そこは過去と未来が共存し、それぞれが紙のように薄っぺらな境界線のみで分け隔てられている世界だ。そこで俺たちは……少し待ってくれ、連絡だ……何? 会議? そんな話は……緊急? わかった、少し待て。すまない、急ぎの用事ができた。というわけで最後に一つ。この映像を観ているものは変り者で運の良い……いや、悪いかもしれない者だ。誰か知らないが、俺はお前が特別だと思う……それだけだ。映像はここで終わりだ。果てしない時の先でも良いから、この映像が見られることを望む──────
私はこの映像を見て懐かしさを感じた。