第7話 入学試験
お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。第1章の前半戦の後半?に差し掛かる7話です!
今回は、新キャラも登場させているのでお楽しみに。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆朝 試験当日◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おはようございます、律様。今日は待ちに待った試験当日ですね。」
「ああ、3ヶ月の成果を見せる時だな。」
俺は、やる気ばっちり出発の最終確認をした。
「では、出発しましょうか、律様。」
「ああ、行くぞ。いざ国立精霊術師大学校入学試験へ!」
俺達は宿を出て、試験会場へ向かった。
試験会場までは、アリアが案内してくれた。
大通りをまっすぐ行って、わき道を通ってから中央広場の中心にある。
そこまでは約1時間くらいだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆国立精霊術師大学校 試験会場内◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「受験番号と名前をお願いします。」
係りのお姉さんが尋ねた。
「大鷹律。受験番号は28796542です。」
お姉さんが機械に入力すると、カウンターに置いてある印刷機から受験票が出てきた。
「大鷹さん。試験に使う部屋は第4講義室で筆記試験。実技試験は室内と屋内に分かれるのですが、どちらがいいですか?実施内容は同じになります。」
「じゃあ、屋外で。」
「わかりました。ではこれを」
お姉さんは、受験登録シートと時計に似たモジュールを渡した。
「ありがとうございます。では、行ってきます。」
「あと、そちらの方は従者ですか?」
お姉さんはアリアの方を指さした。
「はい、私は律様の従者のアリア・スクラディスです。」
「では、アリアさんは従者専用待合室で試験が終わるまでお待ちください。」
アリアは、別の係の人に連れられて別室へ向かった。
「では、頑張ってください。」
俺は、指示された通り第4講義室へ向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆第4講義室内◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
中に入ると席に案内された。
「こちらの席に座ってお待ちください。あと5分後試験説明がありますので。」
「わかりました。」
俺は、待っている間に受験者登録シートを書いた。
「ねえねえ、ちょっといいかな。」
突然後ろに座っている人が話しかけてきた。
「えっ?どうかしましたか?」
俺は、驚き交じりに聞いた。それもそのはず、とてつもない美少年だったのだ。
「ここなんだけど、なんて書いたらいいのかな?名前の下の部分。」
「ここは、受験番号を書くんだと思いますよ。受付でもらいませんでしたか?」
「なるほど。ありがとうございます。」
と話していたら、試験監督者が来て話が始まった。
「受験登録シートはもう書きましたか?試験開始前に回収するので、書いてくようにしてください。次は、バンド型受験装置についての説明です。まず、横にあるボタンを押して起動しけ下さい。『Conect』が出たら、受験登録シートの上に置いて『レジストウォッチ』と唱えてください。それで登録完了です。」
レジストウォッチ、レジストは登録という意味らしい。
それを唱えて登録を完了させると、試験開始まで10分を切っていた。
「では、試験開始までお待ちください。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆試験開始3分前◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
3分前になると、監督者が精霊術を唱えて、テスト用紙が宙を飛んで各座席に届いた。
「おぉ。」
心の中で少しびっくりする。ミリスの精霊術を見たあとでは、あまり驚かなくなったが、やはり驚いてしまった。
そして3分後試験が始まった。時間は3時間30分、知識との戦いが始まった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆試験終了 & 30分休憩◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「あの・・あの・・あの!」
後ろから声をかけられた。
振り返ってみるとさっきの美少年だった。
「あっ、君はさっきの・・・えっと、名前を聞いていなかったね。名前は?」
「そうだったね。僕はアレン・フェン・アルフォード。よろしく。アレンと呼んでくれ。」
「よろしくアレン。俺は大鷹律だ。」
と話していると、俺とアレン・・・特にアレンの周りに人だかりができていた。
「えっと、この人たちは?」
アレンは少し困ったような顔をして、「ファンかな・・・」
アレンは、『アイドル』とかなのかなという考えが浮かんだので聞いてみたら、俺は唖然とした。
「僕は、あの、この国の三大貴族の1つアルフォード家の息子なんだ。。。」
俺は、ミリスにそんなことを聞いたなと思いだした。
「ということは、将来はこの国を担っていく一員となる人間じゃないか。そんな貴族様がなんで俺なんかにしゃべりかけたんだ?」
俺の記憶の中の貴族は、国民のことを顧みず自分の利益を優先する人種だからだ。
「偏見が過ぎるよ。この世界の貴族、その中でも僕はあまりそういうのは気にしない方だから。
でも、話しかけて反応してくれたのは君が初めてだよ。だいたいの人はぺこぺこしてるだけだからね。」
「まあ、俺はこの世界の人間じゃないからな。」
「なるほど、興味深いね。でもそれは後で聞くことにしよう。実技試験が始まるからね。」
「そうだな。」
俺たちは、屋外実技試験場へ向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆屋外実技試験場 A区画◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「よく来た小童ども。今日はここで試験を行ってもらう。」
「おぉ、おれは・・・」
目線の先には、ボウリングのレーンのようなものに1㎥の水晶と石が混合したようなものが5つ置いてあった。
「これは、精霊術の力量を計るもので、込めた術の量によって精霊石が進む仕組みになっている。」
「これは面白そうだね。」
アレンは、興味津々で装置を見ていた。
「あれは、最大限に精霊術を込めていいものなのか?」
俺は、小声で現場にいた教師に聞いた。
「無理だな。あれを壊そうと思ったら、国立図書司書ミリス様と同等かそれ以下じゃないと壊れない。そういうものだ、壊せるものなら壊してみろ。」
その教師は、俺を挑発するように言った。
「律君、あれは無理だよ、あれは数百年壊れていないらしい。」
「なるほどな・・・わかったよ。」
俺は、思った。『ぶっ壊す』と。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆試験開始◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
このレーンの長さは約30mほどで、受験者は良い方で、15m。本体に届く者は今のところいなかった。
「次は僕の番だね、じゃあ行ってくるよ。」
と、意気揚々に向かったアレンは、30mで止まり、満点だった。
「ほぉ、流石貴族。精霊術もお手の物というわけか。」
「そこまでじゃないよ、これは難しい試験だよ。」
「いやみかっ、見てろよ~アレンの記録を抜いてやるからな。」
俺は、試験台の前に立ち、ミリスに教えてもらったように、体に精霊術を十分に巡らせ、最高潮に達したと思った時に放った。
『ズビュン、ドォン』
地面を揺らすような衝撃波が走った。
砂煙が晴れると、本体は『跡形』も無かった。
「・・・・」
試験中の受験性、その場にいた先生を含めて、全員の手が止まった。
「有言実行」
小声で言った。もし壊すことが出来なければ、ミリスやアリアとの3か月間が無駄になるからだ。
「ははは、君はなんていう力を持っているんだ。僕は、貴族の中でも上位の実力と自負してたんだけどな。」
「たまたまだよ。」
「たまたまで、それが出来たら怖すぎる。大鷹律、後で別室へ来るように。」
その場にいた教師にそう言われた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆試験終了 学校内応接間◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「大鷹君、君のことを調べさせてもらったが、君は『異世界人』なのだね。」
「はい。」
「そして、ミリス様にこの世界のことを教わり、希少な上位精霊を仲間にしたと。」
「はい。」
「では、最後に。なぜ当校を受験した?」
俺が言う答えは決まっていた。
「こちらの世界で言う『異世界』俺の国に帰ることだ。」
「なるほど。君の実力なら入学は約束されたようなものだ。どの学部に所属するかは、明日の合格発表にて記載されいているので確認しておくように。では、退出してくれ。」
「はい。失礼しました。」
俺は、一礼して部屋を出た。
その後俺は、アリアのいる従者専用待合室へ向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆従者専用待合室◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「律様、お疲れさまでした。そういえば先ほどから律様の話題が聞こえるのですが、何かしたのですか?」
「そうだな、ここで話すのもなんだし、帰りながら話すよ。」
俺は、少しにやけながら答えた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆帰路◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おーい、律君何も言わずに帰るのかい?貴族に話しかけてきてくれた貴重な人だというのに。」
「自分で貴重というなよ。恥ずかしいじゃないか。」
「律様、こちらの方は?」
「ああ、そうだった。こいつは、アレン・フェン・アルフォード。」
アリアは、少し思い出したような顔をして、「アルフォード家の末裔ですか、あの小さかった貴族がここまで、200年たつと変わるものですね。」
「この家系を知っているのか?」
「ええ、律様。この家系はかの大戦において十分な功績を働いた『平民』が貴族になった、異例なケースの貴族なのです。」
「へぇ、なるほどね。」と話していると、大通りに差し掛かかった。
「じゃあ、律君。僕はこっちだから、また明日。」
アレンはぺこりと一礼すると、俺も一礼し返し、宿へ向かって足を向けた。
「改めまして律様お疲れさまでした。先ほど律様が話題に出たのは精霊術の力が強すぎて、試験台の本体を破壊したからなのですね。」
アリアは、誇らしげに話した。
「まあ、これもミリスのおかげだな。明日、大図書館へ行ってみるか。今日は疲れて、もう動けないからな。」
などと話しながら帰ると、宿へと着いた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆宿 270号室内◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「あぁ、疲れた。こんなに疲れたのは、精霊術構文を暗記した時以来だな。」
俺は、部屋に入るなりベッドに横になった。
「アリアもありがとね。いろいろと。」
「そんなことありません。律様。今日は律様の実力でなしたことです。誇っていいことですよ。」
そう言うアリアの顔には、笑顔が咲いていた。
「とにかく、合格の確約ももらえたし、この世界での新しい知り合いもできたし、今日は濃厚な1日だったな。」
俺の顔には、アリアのような笑顔4割、疲労6割だった。
「すまんアリア、今日はもう寝る。夕食は、自分で食べてくれないか?」
「わかりました律様。本当に今日はお疲れ様でした。おやすみなさい。」
そこからの俺は早かった。3ヶ月訓練の後すぐに試験、疲労はMAXだったので、すぐ眠った。
読んでくれてありがとう。
書き終わったのが夜中の1時で体力と睡魔が限界です。
第8話もお楽しみに!ではまた~