カフェ・ルミエールの新メニュー(7)
史と美智子が自室に戻ってからも、由紀は晃に粘った。
「ねえ、父さん!知恵貸して」
もう、スリスリ状態である。
晃は、少し困惑。
「父さんに言われてもなあ、父さんは学者だしねえ」
「それでも、由紀がそこまで言うのなら」
晃は、これで由紀のスリスリに弱い。
由紀の顔もパッと輝いた。
晃の表情に「希望」を感じたのである。
「じゃあ、父さんがお風呂から出たら、部屋においで」
「何か、探してみよう」
晃は、由紀の頭をやさしく撫でる。
これも、由紀の子供の頃から、何も変わらない。
「わーい!やった!」
その由紀の反応も、子供の頃と同じ。
素直に、晃の風呂から出るのを待つのである。
晃が風呂から出て、少しして由紀を呼び出す。
「さて、和風洋菓子とか洋風和菓子だよね」
晃の部屋にウキウキと入った由紀の目の前には、PCからプリントアウトしたのか、様々なお菓子の写真がズラリ。
「ザラメと醤油を練り込んだバウムクーヘン」
「奈良春鹿の純米酒を練り込んだバウムクーヘン」
「静岡だったかな、カスタードクリームをスポンジにいれて富士山の形をしたお菓子もあるよ」
「うさぎ饅頭の餡が、苺クリームとかね、いろいろアレンジできるかな」
「小倉餡とチョコレートを練った虎屋風の焼菓子もあるね」
・・・・
とにかく、面白い。
二人の検討会は、深夜まで続いた。




