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史と里奈(5)
洋子が里奈にささやいたことは
「女の子たちは、みんな史君を狙っているから、素直には教えてくれない」
「だから、私がマスターに連絡してあげる」
「マスターなら史君の好みも何もわかっているよ、涼子さんにも言っておくから」
だった。
「はい、わかりました!」
里奈は、途端に元気ハツラツ。
何のことやらまるでわからない史と、カフェ・ルミエールを後にしたのである。
そして、洋子の言葉通り、土日など学校も柔道部の練習もない日は、マスターの家に通い、料理を教わることになったのである。
マスターも熱心に教えてくれた。
「まあ、しょうがない、史君と里奈ちゃんのためだ」
「洋子さんも難しい判断かなあ」
「あのアルバイトの女の子も、まったく・・・」
苦笑いしながら、料理の基本、包丁の使い方とか煮物、焼き物のイロハを教え込む。
涼子も、時折は指導をする。
「あのね、史君は、もう少しタンパク質が必要」
「そろそろ大人の身体にならないとさ」
「いつまでも、可愛いだけじゃダメさ」
「それにしても、女心は難しいねえ・・・」
里奈も必死に料理の練習をした。
「とにかく史君は、他の人には絶対渡さない」
「誰が何と言っても渡さない」
既に、柔道以上の「闘志」が里奈の瞳に宿っている。




